カップアンドハンドル(=カップウィズハンドル)は価格が下落してから元の水準までの上昇し、その後の調整による下落と保ち合いのブレイクアウトで形成されるチャートパターンです。
強気のトレンド継続を示唆することから、トレーダーに注目度の高いパターンとなっています。
それではカップアンドハンドルについて解説していきます。
カップアンドハンドルとは
カップアンドハンドルは直訳すると「取っ手とカップ」、つまりコーヒーカップの形状をイメージとしたチャートパターンです。
カップウィズハンドルとも呼ばれており、こちらは「取っ手付きカップ」を意味します。
アメリカの有名な機関投資家であるウィリアム・J.オニールにより、1988年の著書「How to Make Money in Stocks」でカップアンドハンドルは定義されました。
和訳された「オニールの成長株発掘法」でもカップアンドハンドルをはじめ、「オニールの投資法」が紹介されていますので、興味がある株式投資家はぜひご覧になってみてください。
カップアンドハンドルは、もともと株式投資における長期のチャート分析手法として知れ渡っていますが、もちろんFXやCFDなどの分析にも活用できます。
オニール氏オリジナルの手法から、FXの分析に応用する方法まで解説していきます。
「カップアンドハンドル」オリジナルの定義
上昇トレンドののち、「U」の形をしたカップと下落するハンドルによってカップアンドハンドルが形成されます。
カップは7〜65週間、多くは3ヶ月〜6ヶ月ほどの期間でカップが形成されます。
カップの頂点(高値)からから底(安値)の株価調整幅は、12〜15%から33%となります。
またカップの底の形状ですが、V字型となるケースもありますが、多くを占める丸いU字型のほうが好ましいです。
特徴として、カップの底付近で2〜3回の小幅な下落によって、その銘柄が必要な調整ができたと示されます。
取っ手となるハンドル部分は、通常1〜2週間以上かけて形成されます。
なおハンドルがなくても価格が上昇することも多くあります。
ハンドルが出現するときはカップ全体の上半分に形成され、その銘柄の10週移動平均線よりも上に現れます。
カップの下半分や10週移動平均線よりも下のハンドルが出現したときは、価格の上昇に失敗しやすい傾向にあります。
このとき安値が切り上がるか、価格が切り上がらずに下値が横ばいとなるケースは、上方へのブレイクアウトに失敗する可能性が高くなります。
適切なハンドルの下落幅は、高値から8〜12%以内となります。
カップとハンドルが接する地点の高値から水平な地点に、価格が達したら買いシグナルとなります。
そしてカップの深さと同じ高さが利食い目標、つまり売りどきとなります。
エントリーの際には、ハンドルの安値にやや下に逆指値をセットしておくこともポイントです。
トレーダーごとのリスク許容度やそのときのマーケットのボラティリティに応じて、逆指値を入れる位置を決めるようにしてください。
上記の期間やパーセンテージは、あくまで株式投資におけるオリジナルの定義となります。
FXの場合は、オシレーター系テクニカル指標やボリンジャーバンドを組み合わせて売買判断に活用していきましょう。
カップアンドハンドルの実例を見てみよう
それでは株式におけるカップアンドハンドルの実例を、Appleのチャートで見ていきましょう。
ご覧のとおり、カップアンドハンドルを明確に確認できますね。
基本的な売買ルールによるエントリー(新規注文)とイグジット(決済注文)のポイントが、上の画像の丸の箇所となります。
カップアンドハンドルによる売買のポイント
以下はエントリーのポイントとなるレジスタンスラインを引いたチャートです。
このケースでも価格は移動平均線を上回っている条件を満たしていますね。
高値の水平ラインよりも利幅が大きくなりますので、より利益を追求するならレジスタンスラインのブレイクアウトでエントリーをするのがおすすめです。
トレンドに乗れているなら、カップの深さと同じ高さで決済するのではなく、終値が移動平均線を割ってきたら決済することで、より利幅を伸ばすことができます。
カップは短期であれば1ヶ月でも形成されます。
きれいな形が形成されることはそう多くは発生しないため、形状にこだわりすぎないこともポイントです。
またオニール氏の著書では、類似パターンとして「取っ手付きソーサー型」も紹介されています。
取っ手付きソーサー型はカップ型よりも長く浅い形状となり、例えるなら中華鍋のようなパターンとなります。
天地が逆となる逆カップアンドハンドルもある
ダブルトップや逆ヘッドアンドショルダーのように、下落を示唆する逆カップアンドハンドル(=インバース・カップアンドハンドル)というパターンもあります。
以下が逆カップアンドハンドルの例です。
前述のとおり、きれいな形状が出現しにくいチャートパターンのため、形状にはこだわりすぎないようにしてください。
FXのチャートでカップアンドハンドルを見てみよう
カップアンドハンドルはFXのチャートでも出現します。
以下は米ドル/円の例です。
以下はポンド/米ドルの例です。
上記の描画例のように、取っ手部分は右肩下がりとなる調整後に上昇し、直近の高値をブレイクアウトする動きがカップアンドハンドルです。
このパターンを識別できるように、しっかりと形状を覚えておきましょう。
カップアンドハンドルの「ダマシ」を回避する方法
どんなチャートパターンであっても、想定した反対方向に動く「ダマシ(騙し)」が起こることは共通です。
カップアンドハンドルでダマシを回避するための3つの方法をご紹介します。
必ず逆指値注文をセットする
ブレイクアウトの局面は、機関投資家などの大口トレーダーによる注文によってダマシが発生しやすい要因となっています。
ブレイクアウトしたと一般トレーダーを食いつかせておいて、すぐさま反対方向に大量のオーダーをすることで自分たちの思惑通りに利益を手にする、という流れですね。
そのためブレイクアウト後に反転してしまったら、その後に再びブレイクアウトするタイミングを見計らってエントリーする戦略もできます。
大口トレーダーによるダマシは一時的な値動きとなる場合が多いですが、トレンドの流れが大きく変わって下降トレンドとなる可能性も否めません。
この場合、そのままポジションを保有すると大きな損失となってしまいます。
ですから反対に動いたときのために「自分が許容できる損失はここまで」と、事前に損切りを逆指値注文で入れておくことが大切です。
小さく損切りを行うことで、再び発生する大きなトレンドのチャンスを狙っていくことが可能となります。
ダイバージェンスでトレンドの継続を判断する
ダイバージェンスとは、オシレーター系テクニカル指標に発生する逆行現象のことです。
価格とオシレーター系テクニカル指標の動きに、トレンド継続を示唆するダイバージェンスが見られたらダマシの回避に役立てられます。
トレンド反転を示唆するダイバージェンスと、トレンド継続を示唆するリバーサル(隠れダイバージェンス)があります。
カップアンドハンドルの場合は、エントリーの際にリバーサルが発生しているか注目してみてください。
相関通貨ペアで同じトレンドが発生しているか確認する
似たような値動き傾向のある通貨ペア同士の値動きを見比べることで、ダマシの回避に役立てることができます。
同じ大陸・地域同士の通貨は相関しやすい傾向にあります。
例えば米ドルとカナダドル、ユーロとポンド、豪ドルとNZドルが代表的です。
つまり米ドル/円の分析なら、カナダドル/円のチャートも見てトレンドを判断する活用方法となります。
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カップアンドハンドルの使い方【まとめ】
カップアンドハンドルは初心者には見つけにくいパターンで、さらにきれいな形状が出現しにくいチャートパターンです。
きれいな形状ほどダマシとなりにくいものの、整った形状が出現しにくいとはなんとも皮肉ですね。
ポイントとしては、価格が底から反転して直近高値をつけたあと、調整して下落後、再び直近高値をブレイクアウトする値動きのことを指しています。
直近高値を抜ける値動きがあれば、大きなトレンドをとなる可能性が高くなります。
パターンの識別ももちろん大切ですが、相場の天井・底やトレンドの方向性、直近で節目となる価格はどこであるか、こうしたポイントにもしっかり着目してください。
経験あるトレーダーほど、このパターンを認識してトレードに活用できるでしょう。
チャートは経験則のとおりに動きやすい性質もありますので、チャートの足種やオリジナルの日数などのルールに捉われずに売買に活用してみてください。
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