FXを学んでいく過程で、きっと「IMMポジション」というフレーズも耳に入ってくるでしょう。
値動きを形成する大きな存在を知れるだけではなく、中長期目線のトレード予想に欠かせないデータとなるIMMポジションをご紹介します。
そもそもIMMポジションとは?
アメリカには、全米最大の先物取引市場となるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)があります。
CMEは「シカゴ先物市場」とも呼ばれています。
先物市場というと農作物や貴金属、石油などを思い浮かべるかもしれません。
このCMEの一部門である国際通貨先物市場(IMM, International Monetary Market)では、為替の先物のほかに、日経225など株価指数の先物取引も行われており、その取引量は世界最大規模を誇るほどのボリュームとなっています。
つまりIMMポジション(正式名称:シカゴIMM通貨先物ポジション)というのは、CMEの一部門「IMM」でどれくらい為替取引のボジション推移があるかを示すデータのことです。
セントラル短資FXを例にすると、下図のようなIMMポジションが公開されています。
余談ですが、近年ビットコインが取引所に上場したことで話題になりましたが、それもこのIMMで取り扱われています。
注目されている理由
それではなぜIMMポジションがこれほど注目されているのか、もう1点掘り下げていきましょう。
外国為替市場には、輸出入などの貿易による売買を行う企業による参加者(=実需筋)もいます。
しかし外国為替の値動きに大きな値動きを与えるのは、ヘッジファンドや金融機関など為替のプロ(=投機筋)による短期的な売買であり、投機筋の取引が全体の80%ほどと言われています。
実需筋と投機筋の大まかなイメージはこちらをご覧ください。
個人投資家と異なり、こういったヘッジファンドがレバレッジをかけて取引するには、一般に先物市場でトレードする形となりますが、ヘッジファンドがトレードする市場としては、実は世界中を探してもほぼCMEしか機能していません。
このCMEの市場参加者をシカゴ筋といい、シカゴ筋のポジション動向をIMMポジションで知れることとなります。
これがいわゆる、
- シカゴ筋の動向はマーケット全体の縮図を表す。
- シカゴ筋のポジションの偏りは、マーケット全体の偏り。
とも言われている理由です。
ここまで長々と説明しましたが、
『個人投資家の常識では考えられないくらい桁違いな取引量となる、プロのポジション動向をIMMポジションで知ることができる。』
ということだけを理解していたらOKです。
もちろんIMMポジションだけで為替が動くわけではありませんが、値動きを形成する大きな要因であることには変わりません。
リアルタイムのデータではない点には注意!
IMMポジションは、IMMを統括するCFTC(米商品先物取引委員会, U.S. Commodity Futures Trading Commission)という政府組織から、週に一回公表されています。
各取引所が毎週火曜日の取引終了後にポジション枚数(建玉)を報告し、CFTCが集計して金曜日の16:30(夏時間は15:30)に公表する流れです。
日本時間だと翌土曜日、早朝5:30(夏時間は4:30) の公表となります。
つまり最短でも4日前のポジション量となり、公表値は最新のデータではありません。
私たち日本人が月曜日にトレードするとしても、シカゴ筋が保有する6日前のポジション量を示すこととなります。
リアルタイムのデータではないため、IMMポジションの公表によりマーケットがすぐに反応するわけではありません。
しかしながらIMMポジションの推移は、マーケットの方向性を強く意識させる存在として、見逃すことができない存在となるのです。
つまり「週ごとのヘッジファンドの変化から、中〜長期にかけたマーケットの方向性を読み取る戦略」を考えることができます。
IMMポジションの見方
それではIMMポジションの見方をご紹介します。
まずCFTCトップページのサイドバーにある「Commitments of Traders」をクリックします。
続いてページ中程にある「Chicago Mercantile Exchange」にある「Futures Only」の「Short Format」をクリックしてください。
そうすると公表データを閲覧できます。また以下のURLから直接、公表データのページに進むことができます。
こちらのURLに進み、「JAPANESE YEN」と記載のあるところが、日本円のポジション公表値となります。
※もし見つけにくいときは、WindowsならCtrl+F、MacならCommand+Fを押し、ページ内の検索窓に「JAPANESE」と入力して検索してみてください。
IMMポジションでは、COMMERCIAL=商業部門(実需筋)よりも、NON-COMMERCIAL=非商業部門(短期投機筋)のロングポジションとショートポジションが注目されています。
ただし、見ての通り公式データだと英語と数字でかなり見にくく、FX業者が加工したデータのほうが見やすいです。
なお公式データにはありませんが、ロングとショートの差となるNet Noncommercial Position(通称:ネットポジション)は注目度が高いです。
セントラル短資FXの画像を例にすると、「黒い折れ線」がネットポジションとなります。
余談ですが、通貨ペアのところに「日本円/米ドル」と記載されていますよね。
これは通貨先物取引のルールにより、米ドルに対して各通貨が売買される仕組みによるものです。
通常のFXでは、米ドル/円は米ドルの売買を行いますが、IMMポジションでいうところの日本円/米ドルは、日本円の売買を示すものとなります。
ポジション推移は傾きに注目!
まず大前提として、チャート化されたIMMポジションは「傾き」に注目していきましょう。
以下は米ドル/円のデータから1年分(2018年5月8日〜2019年5月7日)をグラフ化したものです。
米ドル/円と逆さにしたネットポジションを重ねて見てみると、相関して推移していることが確認できますね。
米ドル/円を例にIMMポジションを解説
取引量の多い米ドル/円を例に解説していきます。
ネットポジションの推移を見ると、きれいな形状で上下に推移していることが確認できますね。
つまりシカゴ筋では、トレンドフォロー型のトレードが多いと判断できます。
ポジションが極端に大きく偏るとき
ポジションが極端に大きく偏るときは、利食いが行われることでトレンドの勢いが弱まるとともに、トレンドが反転する可能性が高くなってきます。
- 買いポジションが大きく推移するとき → トレンドの勢いが弱まり、下降トレンドに転じる可能性がある。
- 売りポジションが大きく推移するとき → トレンドの勢いが弱まり、上昇トレンドに転じる可能性がある。
ポジションが一方に増加するとき
ポジションが一方に増加しているときは、その方向性にトレンドが継続しているのが分かります。
- 買いポジションが徐々に増加して推移 → 上昇トレンドの継続に期待ができる。
- 売りポジションが徐々に増加して推移 → 下降トレンドの継続に期待ができる。
センターラインを割るとき
買いと売りの転換地点となるセンターラインにも注目してみましょう。
こういった場面では、新規でポジションを建てやすい局面でもあり、含み損があれば損切りともなる局面ですので、反転したトレンドが勢いづいて継続しているのが分かります。
- 買いと売りのポジションが転換するとき → トレンド転換が本格的であることに期待ができる。
IMMポジションの傾きに注目すれば、傾きの継続なら押し目・戻りでエントリーポイントを狙っていき、ポジションが大きく偏ってピークをつけるような動きのときは反転チャンスを狙う、といったトレード戦略に役立てることができます。
IMMポジションの閲覧におすすめなツールや業者
最後にIMMポジションの閲覧におすすめな、各社のツールをご紹介します。
外為どっとコム 外貨ネクストネオ「GFX」
国内で唯一スマートフォンアプリの機能でIMMポジションを閲覧できるのが、外為どっとコムの外貨ネクストネオ GFXです。
投機筋のポジションのほか、「総建玉の推移」を見ることも可能です。
通貨、期間も複数用意されていますので、多角的な分析をアプリひとつで手軽に行うことができます。
外為どっとコムはかなり情報量が多く、大口投資家のオーダー情報を見れるインターバンクオーダーもマーケットニュースで配信されています。
インターバンクオーダーに関しては、下記の記事でチェックしてみてください。
対応通貨・銘柄 | 日本円、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、スイスフラン |
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為替レートの同時表示 | ◯ |
総ポジション数の閲覧 | ◯ |
その他 | IMMポジションの期間は50週、100週、150週、200週から選択も可能 |
\ こちらから無料で「外為どっとコム」の口座開設ができます! /
お申し込みは最短5分、口座維持費等の費用は一切かかりません。
スマホアプリ「FX ORDER」
FX ORDERはスマートフォン(iPhone/Android)で手軽に閲覧できるアプリです。
こちらでは、前回の公表値と比べたIMMポジションの推移を視覚的に閲覧できます。
このほかDZHフィナンシャルリサーチの公開データである、インターバンクオーダー(市場オーダー・メガオーダー)などの情報も閲覧可能です。
閲覧には有料会員限定もありますが、インストールさえすれば、無料で多くの情報を取得できます。
対応通貨・銘柄 | 日本円、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、スイスフラン、日経225 |
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為替レートの同時表示 | ✕ |
総ポジション数の閲覧 | ◯ |
その他 | インターバンクオーダーも閲覧可能 |
外為どっとコム「IMMポジション」
外為どっとコムのPCブラウザ版では6通貨のIMMポジションを閲覧でき、任意の表示期間で見ることも可能です。
2005年からのデータが見れるので、過去のポジション推移を見たい方にもおすすめです。
グラフには為替レートも表示されるので分かりやすく、総建玉(総ポジション)の変動に注目すれば、トレンドの力を測るのに役立つでしょう。
URL:https://www.gaitame.com/markets/imm/
対応通貨 | 日本円、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、スイスフラン |
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為替レートの同時表示 | ◯ |
総ポジション数の閲覧 | ◯ |
その他 |
\ こちらから無料で「外為どっとコム」の口座開設ができます! /
お申し込みは最短5分、口座維持費等の費用は一切かかりません。
セントラル短資FX「シカゴIMM通貨先物ポジション推移」
豊富な情報量が強みのセントラル短資FX。同社のIMMポジションはヒロセ通商、JFX、FXTFにも提供されているほど、有名なサービスとなっています。
セントラル短資FXのシカゴIMM通貨先物ポジション推移は以下URLから閲覧できます。
URL:https://www.central-tanshifx.com/market/indicator/immposition.html
対応通貨・銘柄 | 日本円、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、スイスフラン |
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為替レートの同時表示 | ✕ |
総ポジション数の閲覧 | ✕ |
その他 | 多くのFX業者で採用 |
\ こちらから無料で「セントラル短資FX」の口座開設ができます! /
お申し込みは最短5分、口座維持費等の費用は一切かかりません。
OANDA証券「COT Forex – CFTC’s Commitments of Traders」
OANDA証券では、軽快な動作が魅力のブラウザ型ツールでIMMポジションを見ることができます。
最長で1999年からのデータを閲覧でき、表示期間は6ヶ月、YTD(年初来)、1年、2年、4年、任意の全期間から選択可能です。
OANDA証券の CFTC’s Commitments of Tradersは以下URLから閲覧できます。
URL:https://www.oanda.jp/lab-education/oanda_lab/oanda_rab/cftc_position/
対応通貨・銘柄 | 日本円、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、スイスフラン |
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為替レートの同時表示 | ✕ |
総ポジション数の閲覧 | ◯ |
その他 |
\ こちらから無料で「OANDA証券」の口座開設ができます! /
お申し込みは最短5分、口座維持費等の費用は一切かかりません。
岡三くりっく株365「CFTC建玉明細(大口投機家)」
数ある業者のなかでも、IMMポジションの情報量が抜群に多いのが、岡三オンラインです。
取引所CFD口座「岡三くりっく株365」の取引ツール内からアクセスでき、他社にはないメキシコペソ/米ドルを筆頭に、商品先物から株価指数まで幅広いポジション動向が網羅されています。
各通貨、銘柄のレートも見れるので、値動きとポジション推移の相関を見るにも大いに役立つでしょう。
口座開設後、くりっく株365口座にログイン → マーケット情報 → e-profit株365 → CFTC建玉明細と進めば閲覧できます。
対応通貨・銘柄 | 日本円、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、スイスフラン、メキシコペソ、金、原油、日経225、NYダウ、S&P500 |
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為替レートの同時表示 | ◯ |
総ポジション数の閲覧 | ◯ |
その他 | 情報量がもっとも豊富 |
\ こちらから無料で「岡三オンライン」の口座開設ができます! /
お申し込みは最短5分、口座維持費等の費用は一切かかりません。
IMMポジションの推移を見ていけば、やはり長期的なトレンドの動向を見極めることが重要となるスイングトレードの相場分析に力を発揮します。
しかしながらスキャル、デイトレであっても、ヘッジファンドの動向に注目し、中長期のトレンドの方向性を知っておくことは重要です。
もちろんIMMポジションに頼り切ったトレードは禁物ですが、普段のテクニカル分析に組み合わせて、相場予測に取り入れてみてはいかがでしょうか。