スイスの通貨「スイスフラン」の特徴を解説します。
スイスフランの基礎データ
正式名称 | スイス連邦 |
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首都 | ベルン |
中央銀行 | スイス国立銀行(SNB) |
通貨単位 | スイスフラン、ラッペン・サンチーム(補助単位) |
* 主要輸出国 | アメリカ、ドイツ、イタリア、フランス、中国 |
* 主要輸入国 | ドイツ、イタリア、中国、フランス、アメリカ |
値動きの大きさ | 情報量の豊富さ | 金利の高さ |
---|---|---|
★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ☆☆☆☆☆ |
* 貿易量の多い国順 2022年のデータ(スイスの貿易と投資 – ジェトロ)
スイスフランの特徴を知ろう!
ヨーロッパに位置するスイスは、EU加盟国に囲まれながらも、EUに加盟せず自国通貨としてスイスフランを採用しています。
また欧州通貨には世界第2位の流通量を誇るユーロがありますが、スイスフランはユーロに連動しやすい性質があります。
スイスフランというと、それほど多く取引されている通貨ではありません。
BIS(世界決済銀行)によると、2022年の通貨ペア取引量では、米ドル/スイスフランは世界第8位の取引量となっており、取引量が多いドルストレートのなかでも米ドル/カナダドルに劣る水準となっています。
参考リンク:OTC foreign exchange turnover in April 2022 – BIS
日本国内の対円通貨ペアのデータを見ても、メジャー通貨や高金利通貨に比べると、それほど取引されていない通貨ペアです。
スイスは現在日本よりも低水準のマイナス金利を導入しているため、対円で売りポジションの場合だとスワップポイントはそれほど付与されません。
また値動きですが、比較的穏やかな通貨である側面を持ち合わせています。
こういった特徴によって、大きな為替変動を狙いたい方や、スワップポイント狙いには適していないことから、FXではお世辞にもそれほど人気がある通貨ではないのです。
それではスイスフランは、どういった場面で取引されているのかについて解説していきます。
スイスフランはリスクオフのときに買われる通貨!
スイスは永世中立国であるため、戦争など有事の際に買われるリスク回避通貨として知られています。
2001年の米国同時多発テロの際には、「有事のドル買い」の安全神話が崩れ、それ以降は「有事のスイスフラン」として買われるようになった背景があります。
つまり、スイスフランは安全資産という位置付けであり、有事が起こった際には、大きな金額が流入することでスイスフランが上昇する、という仕組みとなります。
このように、スイスフランは世界的に投資家の不安が高まっているときにリスク回避(リスクオフ)として買われやすい通貨です。
逆に好景気であったり、相場の先行きが明るいときは、リスクをとってハイリターンを狙うように、新興国の高金利通貨や新興国株式に資金が流入しやすくなります。
リスクオン (リスク選定相場) | 先行きの見通しが明るいときは、高配当な金融商品に資金流入しやすい。 (FXならトルコリラ/円やメキシコペソ/円) |
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リスクオフ (リスク回避相場) | 先行きが不安なときは、安全資産に資金が流入しやすい。 (FXなら日本円やスイスフラン、米ドル) |
つまり高金利通貨の人気が高いときほど、相場的にはスイスフランが注目されにくいことが分かりますね。
リスクオンとリスクオフをまとめておきます。
日本円も有事で買われやすいですが、有事の際にはスイスフランの注目度がより高いといえます。
また米ドルも有事で買われやすいですが、アメリカで有事があれば売り要因となります。
スイスフランに興味を持ったなら、どの国の通貨が発端であるかに注目してみてください。
スイスフランショックとユーロの関係
2015年にはスイスフランショックがありました。
これはユーロを多く保有するスイス中銀が、ユーロ安によって自国が抱える資産価値が減少することを懸念して「1ユーロ=1.2スイスフラン」の上限(ユーロの対スイスフランの下限)撤廃により起こったものです。
スイスフランを相場の下限で買い、少しでも利益がでたら売るという売買をしていた欧米の投資家たちが、リスクへの警戒感にともない、ユーロ/スイスの買いポジションの損切りが大量に市場に放出したことで、ユーロ/スイス相場が大きく下落することになりました。
このとき破綻した欧米のFX業者もありましたが、スイスフランショックが起こったからといって、スイスフランの信頼性が低下したという訳ではありません。
背景としては、スイスは輸出依存度が高いため、ユーロに対して「スイスフラン高」となる自国通貨高を望んでいません。
そのため今後、ユーロ/スイスフランが大きく下落したら(下落はユーロ売り・スイスフラン買い)、スイス中央銀行は自国通貨安へと誘導するために、ユーロの買い介入をする可能性は否定できません。
ユーロ/スイスフランを取引する日本人トレーダーは少数派だと思いますが、取引時のレートによっては、介入リスクにも注意しなければいけません。
スイスフランの特徴 まとめ
- 安全通貨で知られ、同じ欧州通貨のユーロに連動しやすい通貨。
- 通常時はボラティリティが小さく、穏やかな値動きをする傾向にある。
- リスクオフとなれば、「有事のスイスフラン買い」として買われやすい。
- 今後ユーロ/スイスフランが下落した際は、スイス中央銀行による介入に警戒する必要がある。
スイスフラン/円の値動き傾向は?
スイスの貿易は、その多くがEU諸国と行われています。
EU未加盟の永世中立国スイスですが、隣国で使われている通貨はすべてユーロです。
スイスのチューリッヒ市場は、ドイツ・フランクフルト市場と同じ時間帯に動いています。
つまり基本的に、同じ欧州圏の通貨が動くのと同じタイミングで変動しやすい通貨となります。
隣接するドイツやフランスとは経済的な結び付きも深いことから、スイスフラン/円はユーロ/円の値動きに連動しやすい性質がある、ということも覚えておきましょう。
スイスフランの変動率
それではスイスフランが1日でどのくらい動くのか、変動幅や変動率を見てみましょう。
まずはスイスフラン/円の平均変動幅を見てみましょう。
こちらは2021年1月29日時点における、直近20日間の平均を示すグラフです。
多くの通貨ペアではNY時間がもっとも値動きがありますが、夕方のロンドン時間も同程度のボラティリティがあることが確認できますね。
続いてほかのデータですが、以下は2021年1月29日に取得した1日の変動率です。
米ドル/スイスフランの場合、東京時間は変動がかなり穏やかで、ロンドン時間とNY時間に動きやすいことが分かります。
以下はスイスフラン/円です。
米ドル/スイスフランに比べるとボラティリティが小さいことが確認できますね。
日本円自体も値動きが穏やかで、値動きが穏やかな通貨同士の組み合わせにより、イメージとしては米ドル/円と同じくらいのボラティリティが低い通貨ペアだといえます。
基本的にどの欧州通貨も同じタイミングで変動しやすいことはスイスフランも共通ですが、異なる動きを見せるときは有事の逃避先として買われている局面かもしれません。
※セントラル短資FXの時間帯別変動率は現在利用できなくなっています。
時間帯ごとの変動率をチェックするなら、OANDA証券のボラティリティ グラフチャートがおすすめです。
スイスフランの変動要因となる、スイスの経済指標
注目すべき経済指標は以下となります。
- SNB政策金利発表:スイス中央銀行が3月・6月・9月・12月の中旬に発表。
- スイス・KOF先行指数:6ヶ月先の景況感を予測する景気先行指標。
- スイス・貿易収支:貿易黒字が拡大すれば、スイスフランは買われやすくなります。
- スイス・失業率:失業率の変化は、相場の変動要因ともなります。
スイスフランの情報量は米ドル・ユーロに劣りますので、ファンダメンタルズ的に関わりの深いドイツとユーロ圏の経済指標もしっかりチェックしていきたいところです。
特に最大貿易相手国であるドイツの経済動向には注目していきましょう。
各経済指標を詳しく知りたい方は、下記ページもご参考にしてみてください。
スイスフランの取引はFX業者のココに注目
スイスは現在マイナス金利を導入している国なので、先進国の通貨の中では、スイスフランも超低金利の通貨です。
そのため、スイスフランのスワップトレードに注目が集まっています。
ただしスイスフラン/円は、どちらも低金利通貨なのでスワップポイントに期待できません。
スワップトレードするにあたり流動性のバランスも考えると、米ドル/スイスフランの組み合わせで買いポジションを持つやり方ができます。
米ドル/スイスフランのスワップポイントが高いのはみんなのFXやGMO外貨で、2社ともにスプレッドも狭いのでおすすめです。
為替差益を狙うトレードとしては、米ドルやユーロが暴落したときに安全通貨として買われる局面や、アメリカ、中国二国間に緊張が走る場面で注目してみてください。
おすすめFX会社をご紹介!
スイスフラン/円が低スプレッドであり、米ドル/スイスフランも用意しているのは以下の業者です。
口座さえ用意しておけば、リスクオフのときもすぐトレードできるので、事前に取引環境を整えておきましょう。
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みんなのFXは、スワップポイント狙いでおすすめの業者です。
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