ウィリアムズ%Rの見方・使い方について解説します。
テクニカル指標名 | タイプ | 分析適正 |
---|---|---|
ウィリアムズ%R | オシレーター系・時系列 | 逆張り |
ウィリアムズ%Rとは?
ウィリアムズ%R(Williams’ Percent Range, ウィリアムズ・パーセント・レンジ)とは、アメリカの有名なトレーダーであり、数多くの投資本の著者でもあるラリー・ウィリアムズが、1966年に考案したテクニカル指標です。
オシレーター系テクニカル指標のなかでも、モメンタムインジケーターに分類され、モメンタムには「勢い」という意味があるように、相場の勢いや売られすぎ・買われすぎを判断するのに役立てることができます。
書籍などでは「%Rオシレーター」「%R」と記載されることもありますが、どちらもウィリアムズ%Rのことを指しています。
この%R(Percent Range)は「パーセント範囲」のことで、現在の価格は過去のある取引範囲において、どの水準であるかをパーセンテージで示すという意味があります。
またRにはレンジの意味があるように、デイトレードでレンジ相場を狙うような短期売買の逆張りに使われていますが、長期間での分析も可能です。
ウィリアムズ%Rの最大の特徴でありメリットなのが、値動きに敏感に反応することと、レートに先行してサインが現れることです。
価格が転換するときの動きに注目すると、ウィリアムズ%Rの反応の早さが確認できます。
その一方で、計算式の性質上、小さな値動きに反応が良すぎるため、ダマシの多さが欠点となります。
シグナルが発生したら、トレンド系指標かトレンドラインのブレイクで売買タイミングを見極めていくのがより効果的です。
ウィリアムズ%Rの計算式
ウィリアムズ%Rの計算式は以下です。
$$ Williams’%R = \frac{(Hn – C)}{(Hn – Ln)}×100% $$
Hn= 過去n本の最高値
Ln = 過去n本の最安値
C = 当日終値
つまり、{ (n日間の最高値 − 当日の終値) ÷ (n日間の最高値 − n日間の最安値) } × 100% で求められています。
FX業者の初期設定のパラメーターは「14」が一般的で、これはアメリカでもよく使われている期間です。
国内では「20」で設定する投資家も多く、「10」も使われています。
計算式はストキャスティクスの%Kと似ていて、「ウィリアムズ%R = 高値と終値の差」「ストキャスティクスの%K = 終値と安値の差」くらいの違いしかありません。
そのため売買シグナルの見方は、ストキャスティクスの%Kとほぼ同じです。
ただし、この計算式のままでは上下(買いと売りのサイン)が反対になりますので、通常は「0%〜−100%」の表示で使われています。
ウィリアムズ%R、RSI、ストキャスティクスの違い
似たような傾向のある指標と動き方を比べてみましょう。
上からウィリアムズ%R、RSI、ストキャスティクスとなっています。
どれも売られすぎ、買われすぎの水準を測定するテクニカル指標ですが、見てのとおりウィリアムズ%Rは値動きに素早く反応していることが分かります。
そして、それぞれの形状は似ていますが、もっともなめらかなのはストキャスティクスであることが確認できますね。
RSIはウィリアムズ%Rと同じように荒めの動きではあるものの、ウィリアムズ%Rの方がより鋭角な動きをしています。
つまり、ウィリアムズ%Rは「ストキャスティクスの敏感に動くタイプ」と考えると分かりやすいです。
ウィリアムズ%Rとストキャスティクスは、ほぼ同じテクニカル指標とされており、大きな違いは算出方法です。
ウィリアムズ%Rには、ストキャスティクスにある平滑化の計算式が使われていません。
反転して算出する計算式によって、ウィリアムズ%Rは価格の変化に反応しやすい仕組みとなっています。
ウィリアムズ%Rの使い方
この指標は「当日の価格が、期間内の値動きのどこに位置するか」を示します。
チャートの表示が「0%〜-100%」の場合、-50%を中心の基準値として、現在レートが高値圏に推移するほど0%に近づき、安値圏に推移するほど-100%に近づいていきます。
ハイラインとローラインで反転を捉える
通常は買われすぎが0%~-20%、売られすぎが-80%~-100%の水準となり、このラインを売買シグナルに使っていきます。
また、それぞれのラインはハイライン、ローラインと呼ばれています。
- 高値圏(-20%)= ハイライン
- 安値県(-80%)= ローライン
- 下落してローライン(-80%)に達し、反転して上抜けしたら買いサイン。
- 上昇してハイライン(-20%)を達し、反転して下抜けしたら売りサイン。
上記の見方がもっともスタンダードですが、より早くシグナルを判断するために「-90%」「-10%」で判断するやり方もあります。
-50%のブレイクアウトをエントリーに活用
より明確なトレンドを判断して売買するなら、「-50%」に注目して売買することができます。
これは、MACDなど他のオシレーター系テクニカル指標との見方と共通です。
売られすぎと買われすぎの中間となる「-50%」を抜けてきたら、トレンドの勢いが変化してきたことを示します。
つまり売買サインは以下となります。
- 下落してローライン(-80%)に達し、反転して上抜けしたら買いサイン。
- 上昇してハイライン(-20%)を達し、反転して下抜けしたら売りサイン。
「-50%」をブレイクした方向に売買するやり方は、トレンドの天底を捉えることはできませんが、より明確な売買ポイントを捉えるのに役立てることができます。
ラリー・ウィリアムズの売買スタイル
商品先物と株式のトレーダーであるラリー・ウィリアムズは、デイトレードを中心とした短期売買を得意とする売買スタイルです。
そのため、ウィリアムズ%Rはダマシを排除することよりも、売買サインの早さにこだわって開発された経緯があります。
なお、ラリー・ウィリアムズによるウィリアムズ%Rのパラメーターは「10」です。
株式トレーダーのラリーは、10日を使用し、以下条件を売買ルールとしていたようです。
- -100%に到達後、5日間待ち、-95%(-85%)以上へ上昇後に買い
- 0%に到達後、5日間待ち、-5%(-15%)以下へ下落後に売り
なお、移動平均線を組み合わせて使うのも、彼の手法です。
以下リンクはウィリアムズ%Rの開発者、ラリー・ウィリアムズの解説ページです。
日本語対応していませんが、より深く理解したい方はご参考にどうぞ。
Original Williams %R | Williams Percent R Indicator (%R)
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本書では開発したテクニカル指標、ブレイクアウトなどの具体的な手法だけではなく、資金管理も学ぶことができます。
ガーベージトップ・ガーベージボトム
ウィリアムズ%Rが有効的なのは、「緩やかなトレンド相場」や「レンジ相場」のときです。
相場がはっきりしたトレンドで大きく動くときは、オシレーター系特有の天底に張り付く「ダマシ」が発生します。
この動きのことを、ウィリアムズ%Rではガーベージ(garbage, ゴミ、くず、がらくたの意味)と呼んでいます。
ウィリアムズ%Rの場合、ストキャスティクスやRSIより張り付きが長いことから、ダマシを逆手にとって反転のサインと捉えていきます。
天井の張り付きをガーベージトップ、底の張り付きをガーベージボトムといいます。
逆張りは、先ほどのハイライン・ローラインを基準に仕掛けていきます。
- ガーベージボトムが発生後、ローライン(-80%)を上抜けしたら買いサイン。
- ガーベージトップが発生後、ハイライン(-20%)下抜けしたら売りサイン。
短期的な分析だけだと誤ったシグナルを掴みやすいので、日足など長期の足で方向性を見てから、短い時間足でトレンド転換を図っていくようにしましょう。
ウィリアムズ%Rのダイバージェンス
ウィリアムズ%Rにもダイバージェンスは出現します。
ダイバージェンスとは、オシレーター系指標のみに現れる価格との逆行現象です。
ダイバージェンスにはいくつかのパターンがありますが、大きな相場転換を示唆するシグナルをご紹介します。
- 価格の高値は切り下がっているが、%Rの高値が切り上がっていたら買いサイン。
- 価格の安値は切り上がっているが、%Rの安値が切り下がっていたら売りサイン。
ダイバージェンスは比較的信頼性の高いサインですが、長期の足で発生したら精度はより高まります。
ウィリアムズ%Rの注意点は?
シグナルの点灯が早いウィリアムズ%Rは、トレンド転換の初動を狙う指標ですので、ダマシが多い分、反対に動いたらすぐに損切りすることは必須です。
短期売買に使うなら、損小利大を意識していきたいところです。
パラメーターはデフォルトの14日でも良いと思いますが、相場のサイクルに合わせて10日〜20日で調整するのもいいでしょう。
【まとめ】ウィリアムズ%Rの売買サインなど
基本的な使い方をまとめました。
- ダマシは多いものの、価格に先行性がある。
- 短期〜長期まで幅広く分析に使える逆張り指標。
- トレンドライン分析、トレンド系指標との併用は必須。
- ローライン(-80%)を上抜けしたら買いサイン。
- センターライン(-50%)を上抜けしたら買いサイン。
- ガーベージボトムが発生後、ローライン(-80%)上抜けで買いサイン。
- 価格の高値は切り下がっているが、%Rの高値が切り上がっているとき。(買いのダイバージェンス)
- ハイライン(-20%)を下抜けしたら売りサイン。
- センターライン(-50%)を下抜けしたら売りサイン。
- ガーベージトップ発生後、ハイライン(-20%)下抜けで売りサイン。
- 価格の安値は切り上がっているが、%Rの安値が切り下がっているとき。(売りのダイバージェンス)
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