ロンドン版の仲値、ロンドンフィキシングの基本から戦略まで解説!

ロンドンフィックス

ロンドンフィキシングって聞いたことありますか?

FXをはじめてから時間の経過とともに、自然と耳に入ってきた人は多いのではないでしょうか。

ロンドンフィキシングの基本から具体的な戦略まで詳しく解説していきます。

目次

ロンドンフィキシングはイギリス版の仲値

日本では市中銀行がその日の基準として使うレートとして、毎営業日の仲値公示で決定されます。

  • 仲値の時間:日本時間9:55

かんたんにいうと、街の銀行窓口で個人が旅行の前提で行うときの両替や、企業が銀行と外貨で取引するときに使われるレートのことです。

為替レートは日々動いていますが、一日を通して変動していると、銀行も顧客と取引するときに提供レートにズレがあると円滑に業務が進まないですよね。

それを解決する目的として仲値があるという認識でまずは大丈夫です。

イギリスの街並み

日本の仲値に対し、イギリスのロンドンフィキシング(London Fixing)は仲値に相当するイベントとなります。

そして土日を除く平日は、毎日ロンドンフィキシングがあります。

  • ロンドンフィキシング(夏):日本時間24:00(ロンドン時間15:00)
  • ロンドンフィキシング(冬):日本時間25:00(ロンドン時間16:00)

そもそもfixには「決める」「固定する」という意味があるように、ロンドンフィキシングに関しては「ロンドン市場の値決め」を指しているんですね。

フィキシングを略して、ロンドンフィックス(London Fix)とも呼ばれています。

日本では、主に三菱UFJ銀行が9:55に公表した基準レートの仲値(TTM)を元に、10:00に各市中銀行が独自にTTS(売値)とTTB(買値)を提示しています。

これに対して、ロンドンフィキシングはWM/ロイターという民間企業が公表しています。
ロイターと言えば、為替ニュースを配信している会社で知っている方も少なくないかもしれませんね。

なお日本では、市中銀行が9:00の営業開始から約1時間で基準レートが決まっています。

対してロンドンフィキシングの為替に関しては、ロンドン市場が終了するタイミングで算出・公表が行われています。

そもそも仲値は銀行が顧客に提示するレートを決める日本独自の慣習で、海外では仲値に相当するものはなかなか見当たりません。
ですから仲値とロンドンフィキシング、それぞれの目的は全くの別のものであるといえます。

仲値についてはこちらの記事も合わせてどうぞ。

ロンドンフィキシングをもっと詳しく!

日本ではロンドンフィキシングという名称が先行していますね。

為替のフィキシングに関しては、正しくはWM/ロイター FX ベンチマークレート(WM/Reuters FX Benchmark Rates)といいます。

WM社とロイター社(現社名はリフィニティブ社)によって、さまざまな為替の基準レートが算出・公表され、株式や債券の評価に使うように金融機関のデータに使用されています。

もともと現地の標準時間16:00の前後1分間(15時59分30秒〜16時00分30秒)で算出時の修正が行われていました。
しかし過去に不正があったことで、2014年12月20日以降からは前後5分間(15時57分30秒〜16時02分30秒)で算出しています。

この情報は過去にロイターもニュースで取り上げています。

とはいえ実質的には、ロンドン市場の終値がロンドンフィックスのレートと判断されています。

金などのベースとなる価格も値決めされている

また為替レートだけではなく、ロンドンでは金の現物価格(スポット価格)の値決めも行われています。
現物価格というのは、そのときの需要に基づいて決める価格のことですね。

日本では混同されがちですが、為替の値決めをロンドンFXフィキシングとするなら、金の値決めはゴールドフィキシングといい、それぞれ公表機関が違うので別で考えなければいけません。

実はそれぞれ、発表される時間も違います・・・。

とその前に、ちょっとだけロンドンの金に関する歴史をご紹介しますね。

ロンドンのゴールドフィックスの歴史

以前ロンドンのスポットフィックスというと、5人のメンバーの会議によって決定された各貴金属(金、銀、プラチナ、パラジウム)価格のことです。

ロンドンゴールドフィックス(London Gold Fixing, Gold Fix)は、第一次世界大戦の終結後、ロンドンの金市場としてスタートしました。

1919年から2004年までの85年間、ロスチャイルド5つの加盟銀行(ノバスコシア・スコシアMocatta、バークレイズ銀行、ドイツ銀行、HSBC銀行USA、ソシエテ・ジェネラル銀行)によって、ゴールドフィックスの会長ネイサン・メイヤー・ロスチャイルドのロンドンオフィスで価格が決められていましたが、2004年以降衰退した歴史があります。

その後歴史的なロンドンゴールドフィックスの代わりとして、2015年にロンドン金塊市場協会(LBMA)のゴールドフィックス価格(Gold Fixing Price)がスタートし今に至るというわけです。

はるか昔の大英帝国時代に、イギリスはアフリカなどの植民地から金やダイヤモンドを集め、金本位制として金(ゴールド)を基軸通貨とする仕組みを作りました。

今日では基軸通貨はポンドを経て米ドルへと移り変わりましたが、ロンドンは現在でも金など貴金属の現物取引において世界の中心なのです。

ロンドンフィキシングのスケジュール

現在、世界で金価格のベンチマークとなるLBMAゴールドフィックス価格は、1日2回(グリニッジ標準時ロンドンGMTの10:30と15:00)に米ドルで公表されます。

イギリスが標準時間の場合、各貴金属価格の公表スケジュールは以下です。

  • LBMAゴールド価格:1日2回/現地10:30、15:00(日本時間の19:30、0:00
  • LBMAシルバー価格:現地12:00(日本時間の21:00)
  • LBMAプラチナ価格、LBMAパラジウム価格:1日2回/現地9:45、14:00(日本時間の18:45、23:00)

ゴールドの場合、特に現地15:00に公表される午後の価格は、世界で金の指数として重視されています。

FXだけではなく、CFD取引もする人は上記の時間をメモしておくと便利かもしれません。

このように、ロンドンフィキシングではFXの基準レートと同時刻に金価格も発表されるイメージが広まっているのですが、実は1時間ズレがあるんですね。

下記表にまとめてみました。

ロンドン
現地時間
日本時間
(ロンドン・標準)
日本が10月末〜3月末
日本時間
(ロンドン・夏)
日本が3月末〜10月末
FX16:001:000:00
10:30
15:00
19:00
0:00
18:00
23:00
12:0021:0020:00
プラチナ
パラジウム
9:45
14:00
18:45
23:00
17:45
22:00
ロンドンフィキシングの時間

こちらの表を見ると分かる通り、俗にロンドンフィキシングというと0:00前〜1:00前後(夏は23:00前〜0:00前後)の値動きに注目していくのがポイントとなります。

ロンドンフィキシング4つのポイント

それではロンドンフィキシングで注目すべき通貨ペア、当日の時間、月末・期末、トレード戦略について解説します。

ロンドンフィキシングで動きやすい通貨ペア

前述の通り、ゴールドフィキシングはドル建てで公表されますので、金価格の公表は米ドル相場相場に影響を与えるほか、イギリスの指数ですからポンド及びユーロの変動要因ともなります。

  • 対円のクロス通貨:米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円
  • ドルストレート:ユーロ/米ドル、ポンド/米ドル
  • ドルストレート以外のクロス通貨:ユーロ/ポンド

為替ではドルストレートが基準なのはもちろんですが、三大通貨の組み合わせに注目です。

ロンドンフィキシングで注目の時間

俗に言うFX業者でも配信されるロンドンフィキシングとは「FX」のことを指しているケースが大半です。

つまり、ロンドンFXフィキシングでは1:00(ロンドン夏は0:00)前後の値動きに注目しましょう。

大きく動きやすい月末月初・期末に注目

特に月末の営業日や月初は、ロンドンフィキシングに前後にはユーロ/米ドル、ユーロ/ポンドが大きく動きやすいです。

断続的な売買で一方向へのトレンドを見せたり、急に大口のオーダーが入ることでそれまでとは逆の値動きを見せることもあります。

「ロンドンフィキシング前にポジションを決済しておこう」と考えるトレーダーも多く、これも値動きに影響を与える要因となります。

とくに期末(3月末・6月末・9月末・12月末)はイギリスの企業による決算の都合で、ポンドなどの買い戻しが行われやすいです。
この影響により、期末はそれまでのトレンドやテクニカルを無視したイレギュラーな値動きを見せやすいため、通常の平日に比べてより注意しなければいけません。

もしもポンドが大量に買われたら、ポンド/円なら上昇要因となります。

こういった月末・月初のタイミングでは、ロンドンフィキシングに関する情報がマーケットニュースで配信されています。

こちらは、2020年12月末にIG証券で配信されたロイターのニュースの例です。

ロンドンフィキシングの配信ニュース

ぜひ皆さんもマーケットニュースに注目してみてください。

NYOPカットからLDNFix前後を別のトレード機会と考える

そもそもロンドン時間からNY時間にかけたタイミングは、1日のなかでもっとも取引量が多い時間で、さまざまな要因が値動きに影響を与えます。

そのうちのひとつがNYオプションカットで、こちらは毎日アメリカ東部時間の10:00(夏は9:00)、日本時間にすると24:00(夏は23:00)に取引が行われています。

NYオプションカットでは、取引量が大きいほど、その設定価格に近づいて売買の攻防が繰り広げられやすい性質があります。

そして権利行使となりカットオフタイム=24:00(夏は23:00)を通過すれば、オプションの影響が消失して当日の高値や安値を更新をするような値動きを見せやすい傾向があります。

これを利用して、NYオプションカット後にロンドンフィキシングまでのトレンドを狙い、ロンドンフィキシング前に決済するのが1つ目の手法です。

ロンドンフィキシング5分〜10分前には売買が活発化しやすいので、このタイミングで決済するのがポイントです。

ロンドンフィキシング時にはトレンドが反転することも多いため、反転後のトレンドを再び狙うのが2つ目の手法です。
ただしそのまま朝まで保有しては翌週に窓開けリスクもあるため、確実なpipsを狙うのがポイントです。

1:00(夏は24:00)ジャストのタイミングは不安定な要素が大きいので、とくにスキャルピングはあまりおすすめしません。

NYOPカットからロンドンフィキシングまでの値動き(2021年2月末)

こちらは2021年2月末の5分足チャートですが、なんとなくイメージしやすいと思います。

NYオプションカットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてどうぞ。

三大市場のタイムスケジュールはこちらの記事でご確認いただけます。

ロンドンフィキシング【まとめ】

ロンドンフィキシングの基本、注意点、戦略をまとめると以下です。

ロンドンフィキシング のまとめ
  • ロンドンフィキシング前後は為替が大きく動きやすい
  • 発表前後は値動きを予想しにくい
  • 月末・期末ほどトレンドを無視した値動きをしやすい
  • 円安方向に動きやすい傾向がある
  • NYオプションカット後に発生したトレンド方向に乗って、ロンドンフィキシング前に手仕舞い
  • ロンドンフィキシング後の反転に乗って逆張り

月末のロンドンフィキシングはイレギュラーな値動きを見せますが、その分多くの金額が動くことで為替も大きく変動するため、スキャルピングとデイトレードをするトレーダーに注目されているのも事実です。

しっかりと過去チャートで分析を行って、当日の戦略を考えていきましょう。

まずはイレギュラーな値動きを見せにくい平日から注目してみるのがおすすめです。

以上、ロンドンフィキシングの手法として参考にしてみてください。

ロンドンフィキシング関連のニュース閲覧なら

ロンドンフィキシングはロイターニュースのほか、DZHフィナンシャルリサーチが提供するFXi24などで配信されています。

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