FX業者の取引ツールに搭載されている「許容スプレッド」という機能をご存じでしょうか?
この許容スプレッド機能を使えば、スプレッドが拡大したときにうっかり発注してしまうミスを防ぐことができます。
スキャルピングやデイトレードといった短期売買では、スプレッドの狭さはトレーダーの生命線ともいえるほど重要です。なぜなら、狭い利幅を狙う短期取引では、スプレッドの広がりがそのまま利益の減少に直結するためです。
この記事では、意図しないスプレッド拡大時の誤発注を防げる「許容スプレッド」機能について解説し、この機能を利用できるFX業者もご紹介します。
許容スプレッド機能とは
許容スプレッド機能とは、あらかじめ設定したスプレッドの上限を超えると、注文画面が自動的にロックされて発注できなくなる機能のことです。


たとえば「スプレッドが1.5pipsを超えたら取引を避けたい」と考える場合は、許容スプレッドをオンにして1.5pipsに設定します。
この設定により、スプレッドが1.5pips以上に拡大したときは、発注ボタンが自動的にロックされ、取引を防止できるようになります。
このように、スプレッドの拡大に気づかずに発注してしまうリスクを軽減できるのが、許容スプレッド機能のメリットです。
スプレッドの拡大を見逃して発注してしまうと、とくにスキャルピングでは収益機会の損失に繋がります。
たとえば、米ドル/円の通常時のスプレッドが0.2銭、スプレッド拡大時に5銭まで広がったとしましょう。
(実際に、FX業者によってはこうした拡大が頻繁に発生します。)
このとき、1万通貨と10万通貨で取引した場合の取引コストの差は次のようになります。
取引量 | スプレッド 0.2銭 | スプレッド 5.0銭 |
---|---|---|
1万通貨 | 20円 | 500円 |
10万通貨 | 200円 | 5,000円 |
10万通貨でスキャルピングを行う場合、スプレッドの違いによっては5,000円ものコスト差が発生します。これでは、せっかくの利益が大きく削られてしまいます。
こうした事態を防ぐためにも、許容スプレッド機能はとても役立ちます。
「許容スリッページ」機能も併せてチェック!
多くのFX業者では、「許容スリッページ」という機能が提供されています。
許容スプレッドが「スプレッド幅」に基づいて発注可否を制御するのに対し、許容スリッページは「約定時のレートのずれ」に対して制限をかける機能です。
相場が急変しているときほどスリッページが起こりやすく、不利なレートで約定してしまうリスクがあります。許容スリッページ機能を使えば、こうしたリスクをある程度コントロールすることが可能です。
また、許容スプレッド機能と許容スリッページ機能は併用することもできます。
許容スリッページ機能に関しては、基本的にどのFX業者でも利用することができます。
許容スプレッド機能を提供している業者はそれほど多くありません。
次に、この機能を利用できるFX業者の取引ツールを詳しく見ていきましょう。
外為どっとコム「スプレッドフィルタ」
外為どっとコムでは、許容スプレッド機能として「スプレッドフィルタ」を提供しています。
スプレッドフィルタは、PCにインストールして使うリッチアプリ版(Windows/Mac対応)で使うことができます。




※許容スプレッドの項目が表示されないときは、左にある「Option」の「+」をクリック


※0.3銭なら「0.3」と入力


ここまでの手順で、スプレッドフィルタの設定が完了となります。
通常時はスプレッドが青枠で表示され、発注できる状態です。
許容スプレッドに達してスプレッドフィルタがかかると、スプレッドが赤枠となり、売り/買いボタンが暗くなって、クリックしても発注できない状態となります。
相場変動時、外為どっとコムのスプレッドはJFXやヒロセ通商ほど拡大しにくいのが特徴です。
またマーケット注文のスリッページですが、自分に有利な方向ならスリッページの範囲外でも約定するすることもポイントとなっています。
許容スプレッド 対応ツール | リッチアプリ版(PCインストール版) |
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JFX「許容スプレッド」
スキャルピングを公式サポートするJFXでは、多くの取引ツールが許容スプレッドに対応しています。
PC向けの「新Java版」、Windows向けの「.NET4版」と共通仕様の「Mac版」、「iPadアプリ版」のストリーミング注文とクイック注文が対応しています。
(※iPhone/Androidアプリは許容スプレッドに対応していません。)
それぞれ以下の手順で、許容スプレッド機能を使うことができます。


右上の「設定」→「詳細オプションの設定」をクリック
許容スプレッドを「使用する」にチェックして、「決定」をクリック


※0.3銭なら「3」と入力






※0.3銭なら「3」と入力






※0.3銭なら「3」と入力
JFXの許容スプレッドは、スプレッドベースではなく「pipsベース」で設定をします。
※JFXの入力単位例
- 米ドル/円など:0.3銭→3(pips)、3銭→30(pips)
- ユーロ/米ドルなど:0.00003pips→3(pips)、0.00030pips→30(pips)
相場が大きく変動している場面では、他社と比較してスプレッドが広がりやすい傾向があります。
それでも、JFXは「スキャルピングを公式に認めている安心感」と、複数の取引ツールで許容スプレッド機能が使える点が大きな魅力です。
許容スプレッド 対応ツール | .NET4版/Mac版、新Java版(PCインストール版) iPadアプリ |
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ヒロセ通商「許容スプレッド」
JFXの親会社であるヒロセ通商も、許容スプレッド機能に対応しています。


取引ツールはJFXと同じタイプですので、どの取引ツールも同様の操作で許容スプレッドを設定することが可能です。
許容スプレッド 対応ツール | C2、.NET4、Mac専用(PCインストール版) iPadアプリ |
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スプレッドはどんなときに拡大しやすい?
現在のFX取引では、多くのFX業者が取引手数料を無料で提供しています(※自動売買の取引を除く)。
そのため、実質的な取引コストとなるのが、売値と買値の差である「スプレッド」です。
各社の取引条件を確認すると、スプレッドは「原則固定(例外あり)」で提供されているケースが大半です。
この「原則固定(例外あり)」とは、通常は一定のスプレッドを維持するものの、相場が大きく変動した際などには一時的にスプレッドが広がる可能性がある、という意味です。


スプレッドが拡大しやすい主なタイミング
では、どのような場面で「原則固定」が例外となり、スプレッドが拡大しやすくなるのでしょうか? 具体的な例を挙げてみます。
原則固定が「例外」になる例
- 経済指標の発表前後
- 要人発言、地政学リスク(戦争・紛争など)など、突発的なニュースがあったとき
- 早朝や取引開始直後など、市場参加者が少ない時間帯
- 年末年始やクリスマスなど、取引ボリュームが減少する時期
- ニューヨーク・ロンドン・東京といった主要市場が祝日で休場のとき
とくに上記の❶〜❸は、日常的にスプレッド拡大が起こりやすいタイミングです。
中でも重要な経済指標の発表時には、相場が大きく動くため、「トレンドの継続」や「トレンド転換」を見極めたいトレーダーにとって、非常に注目度の高い時間帯となります。
許容スプレッド機能が向いている人とは?
このようなスプレッドの急変動から生じるリスクを避けたい方におすすめなのが「許容スプレッド」機能です。
以下のような方には、とくに相性がよいといえるでしょう。
- スキャルピングやデイトレードで、スプレッドが一定以下のときだけ取引したい人
- スプレッドが拡大しているのを見落としてエントリーしてしまうミスを防ぎたい人
- 相場の急変時でも、スプレッドの上限を自分でコントロールしながら取引したい人
スプレッドの変動による予期せぬコスト発生を避けたい場合は、許容スプレッド機能を搭載した取引ツールの活用をおすすめします。
スプレッドの比較を行っているFX業者の一覧はこちらで紹介していますので、あわせてご覧ください。


なお、スキャルピングはすべてのFX業者で許可されているわけではなく、禁止している業者もあります。
スキャルピングに対応したFX業者については、以下の記事で詳しく解説しています。

