RCIは価格に時間の要素も取り入れた、オシレーター系テクニカル指標です。
こちらのページでは、RCIの見方・使い方について解説していきます。
RCIとは?
RCI(Rank Correlation Index)は、日本語では順位相関係数と言います。
イギリスの心理学者、チャールズ・エドワード・スピアマンが提唱した理論統計学に「スピアマンの順位相関係数」があります。
これは2つの特性の順位データから相関を求めるというもので、これをテクニカル分析に応用したのがRCIとなります。

一般的なテクニカル指標の多くは、「価格の上昇・下降率や、上下の変動幅」を元に計算されています。
しかしこのRCIは、価格そのものではなく、「時間と価格に順位をつけて、その相関関係を元に指標化」しています。
そのため、売られすぎ・買われすぎによる相場の過熱感から売買する逆張りのほか、トレンド系の性質もあることから順張りにも使えるのが、このRCIなのです。
RCIは直近の価格更新を重視している
RCIは100%と−100%の間を推移し、直近が高値更新なら100%、直近が安値更新なら−100%となるテクニカル指標です。
計算式はこちらです。
$$ RCI = \{1-\frac{6d}{n^2(n−1)} \}×100 $$
d = 日付の順位と価格の順位の差を2乗し、合計した数値
n = 任意の期間
- RCIの算出例
- まず過去5日間に期間において、当日を1位、前日を2位、2日前を3位…と過去にさかのぼるごとに、日付に順位を付けていきます。次に価格に順位を付けていきます。
4月1日から4月5日の5日間において、毎日高値を更新する上昇トレンドだったと仮定して、価格の高い順に、4月5日を1位、4月4日を2位、4月3日を3位…として順位付けしていきます。4月5日を例に見ると、日付と価格が1位で相関しており、n(期間)は5、dは5日間合計が0となります。毎日上昇した場合 日付 終値 日付順位 価格順位 日付と価格の差の2乗 4/1 101円 5位 5位 (5−5)×(5−5)= 0 4/2 102円 4位 4位 (4−4)×(4−4)= 0 4/3 103円 3位 3位 (3−3)×(3−3)= 0 4/4 104円 2位 2位 (2−2)×(2−2)= 0 4/5 105円 1位 1位 (1−1)×(1−1)= 0 このように設定期間で毎日高値が更新されると、RCIは100%となります。
例:RCI =(1 − 0)× 100 = 100
先ほどの価格の順位とは逆に、4月1日から5日間にかけて毎日安値が切り下がると、RCIは逆相関となります。
毎日下落した場合 日付 終値 日付順位 価格順位 日付と価格の差の2乗 4/1 105円 5位 1位 (5−1)×(5−1)= 16 4/2 104円 4位 2位 (4−2)×(4−2)= 4 4/3 103円 3位 3位 (3−3)×(3−3)= 0 4/4 102円 2位 4位 (2−4)×(2−4)= 4 4/5 101円 1位 5位 (1−5)×(1−5)= 16 こちらの5日間の場合、dは16+4+0+4+16=40で、n=5、d=40で計算すると、RCIは−100%となります。
計算式などは覚える必要はありませんが、仕組みが理解できれば、トレンドが強いときは価格更新によって、RCIが天井・底に張り付く理由にうなずけると思います。
RCIの期間ですが、短期線、中期線、長期線の3本がそれぞれ「9日・26日・52日」となる組み合わせが多く使われています。
先ほどは5日を例に解説しましたが、これを複数期間で計算し、3本表示される仕組みです。
FX会社によっては、デフォルトで「5日・25日・75日」となっていることもあります。
比較的短い期間の分析であれば「9日・26日」、長期間なら「5週・13週・26週」が使われることもあります。
RCIの見方・使い方【逆張り】
期間内に連続して価格の上昇があれば100%となるRCIですが、100%に近づくほど、買われて上昇した相場は過熱したと見られて、高値圏であると判断されます。
連続して価格の下落が続き-100%に近づくほど、売られて下降した相場は過熱したと見られて、安値圏であると判断されます。
これが、RCIを逆張りで判断する基本的な見方です。
通常は70%以上が買われすぎ、−70%以下が売られすぎのラインとして使われています。
まずは短期RCI(9)の動きに注目してください。

このラインに差し掛かった地点で売買しようとすると、さらに上昇や下降が継続する可能性もありますので、天井圏や大底圏で反転した地点を見ていくと、シグナルの信頼性も高まります。
70%の反転で売り、−70%の反転で買いとするポイントは以下の丸部分です。


ただし±80%だけで判断しようとすると売買ポイントが少なくなってしまうため、こだわりすぎは厳禁ですが、早くサインを知れる点については有利となります。
- 上昇して80%を上抜けした短期RSIが、天井で反転して下降に転じ、80%を下抜けたら売りサイン。
- 下降して−80%を下抜けした短期RSIが、大底で反転して上昇に転じ、−80%を上抜けたら買いサイン。
RCIを使った逆張りの決済(新規)ポイント
±70%に達せずとも反転すれば、利食いや逆張りでのエントリーに使うことができます。
以下の画像では70%、−70%に達する前に反転していますね。
反転の勢いが強いときは±70%の手前で転換もします。
必ずしも±70%に達しなければいけない、というルールではないことは理解しておくと便利です。
RCIのダイバージェンス
RCIでダイバージェンスを見つけると、逆張りによる新規注文や利食いに使うことができます。
先ほどと同じチャートですが、中央部分のレジスタンスラインに注目してください。
価格は高値を更新していますが、RCI(9)は先行して下落していますが、これが価格とRCIの逆行現象「ダイバージェンス」というものです。

丸の部分でもダイバージェンスが発生していますが、反転を示唆する売買サインとしてRCIではダイバージェンスにも注目してみてください。
なおダイバージェンスやリバーサルといったサインは、以下の記事で詳しく解説しています。
ダイバージェンスとリバーサル(ヒドゥン・ダイバージェンス、コンバージェンス)の見方・使い方について解説していきます。こちらのページでは、MACDのダイバージェンスを例に具体的な使い方をご紹介します。 各オシ[…]
RCIの見方・使い方【順張り】
相場がもみ合ってくると、時間と価格の相関性が見られなくなってくるため、RCIは0ラインに近づいてきます。
相場の過熱感を見るオシレーター系ながらも、トレンド系の性質を持つRCIの特徴がここにあります。
トレンドの波に乗る手法である順張りは、この0ラインを基準としてトレンドの方向性を探っていきます。
RCIが0ラインより上で推移しているなら上昇トレンド、0ラインより下で推移しているなら下降トレンドと判断していきます。
以下は、先ほどの逆張りの売買サイン(白の矢印)に、0ラインのブレイクを点線で加えたものです。

±70%に比べると売買サインは遅れるデメリットはありますが、0ラインに注目することで、±70%では見えない売買サインを確認することができます。(黄色の矢印部分)
- マイナス圏にあったRCIが上昇し、0%を上抜けしてプラス圏に転じたら、買いサイン。
- プラス圏にあったRCIが下降し、0%を下抜けしてマイナス圏に転じたら、売りサイン。
これは、マイナス圏からプラス圏への転換、プラス圏からマイナス圏への転換を見て、もみ合っていた相場に方向性が出てくるポイントを捉えていく、といったイメージです。
ただし、長期RCIの場合はサインが遅れやすいので、注意するようにしましょう。
短期RCIの場合は頻繁に0%を上下するため、トレンドを捉えるにはダマシも多くなりがちですが、その分サインも早まります。
順張りは移動平均線を併用して、ゴールデンクロス・デッドクロスなどのトレンド転換を見て、ダマシを極力排除していくのがおすすめです。
トレンド相場での押し目買い・戻り売り
トレンドとなって価格の上昇(下降)が続くと、中期RCI(または長期RCI)は±100%に近い水準で横ばいで推移します。
大底圏から上昇トレンドに転じたとき、下落した短期線が再び上昇すれば、買いサインとすることができます。
天井圏から下降トレンドに転じたときの売りサインも、見方は一緒です。

- 中長期RCIが大底圏で上昇しているとき、0%以下まで下落した短期RCIが上昇に転じたら、買いサイン。
- 中長期RCIが天井圏で下降しているとき、0%以上まで上昇した短期RCIが下降に転じたら、売りサイン。
ポイントは中長期のRCIで明確なトレンドを確認することです。
大きくトレンドが発生している相場では、順張りが効果的であると言えますね。
短期RCIと中期RCIのクロス
他のテクニカル指標同様に、RCIでもゴールデンクロス・デッドクロスが売買判断に利用されています。
ただ、短期RCIは上下に頻繁に推移しますので、天井圏か大底圏において、中期RCIとクロスする地点を見てタイミングを計っていきます。

- RCIが底値圏で、短期RCIが中期RCIを上抜いたら買いサイン。(ゴールデンクロス)
- RCIが天井圏で、短期RCIが中期RCIを下抜いたら売りサイン。(デッドクロス)
クロスするときのポイントですが、中期RCI、短期RCIどちらもトレンド方向の向きであれば、信頼性も高くなります。
この2本線が重なる売買サインは「二重天井」「二重底」として活用されています。
3本のRCIの「三重天井」や「三重底」で判断する
3本のRCIが天井圏や大底圏で重なる「三重天井」「三重底」も売買サインとして捉えることができます。
2本よりも3本のRCIが天底に張り付くときは、非常に強いシグナルとして知らせてくれます。
「三重天井」「三重底」で大きなトレンドを見る
中期線と長期線の張り付きは、非常に強いトレンドが発生しているシグナルとなりますので、2本が天井で横ばいなら上昇トレンド、大底で横ばいなら下降トレンドと見ていきます。

見方としては、長期線→中期線の順にトレンドの強さや方向性を確認していき、短期線を売買タイミングに活用する形です。
- 3本のRCIが天井に張り付いているとき、短期RCIが上昇したら買いサイン。
- 3本のRCIが大底に張り付いているとき、短期RCIが下降したら売りサイン。
短期線の反転で押し目買い・戻り売り
こちらのチャートではRCIを、【9・26・52】に設定しています。
三重底のときに短期線が上昇すれば戻り高値をつけるシグナル、三重天井のときに短期線が下落すれば戻り安値をつけるシグナルとなります。
この一連の動きを売買のポイントに使っていきます。
- 2〜3本のRCIが天井に張り付いているとき、天井から下落した短期線が再び上昇したら、買いサイン。(押し目買い)
- 2〜3本のRCIが大底に張り付いているとき、大底から上昇した短期線が再び下降したら、売りサイン。(戻り売り)
売買サインとなる短期RCIだけではなく、中期RCIと長期RCIでトレンドを見極めていく点にも注目してみてください。
【まとめ】RCIの売買サインなど
基本的な使い方をまとめました。
- 期間は「9日・26日・52日」が広く使われている。
- もみ合い時は0%前後、0%以上で上昇トレンド、0%以下で下降トレンド。
- 80%以上で買われすぎ、−80%以下で売られすぎ、±100%は天底圏。
逆張り
- 下降して-80%を下抜けしたRSIが、大底で反転して上昇に転じ、-80%を上抜けたら買いサイン。
順張り
- マイナス圏にあったRCIが上昇し、0%を上抜けしてプラス圏に転じたら、買いサイン。
- 長期RCIが上昇しているとき、下落した短期RCIが上昇に転じたら、買いサイン。
- RCIが底値圏で、短期RCIが中期RCIを上抜いたら買いサイン。(ゴールデンクロス)
- 3本のRCIが天井に張り付いているとき、天井から下落した短期線が再び上昇したら、買いサイン。(押し目買い)
逆張り
- 上昇して80%を上抜けしたRSIが、天井で反転して下降に転じ、80%を下抜けたら売りサイン。
順張り
- プラス圏にあったRCIが下降し、0%を下抜けしてマイナス圏に転じたら、売りサイン。
- 長期RCIが下降しているとき、上昇した短期RCIが下降に転じたら、売りサイン。
- RCIが天井圏で、短期RCIが中期RCIを下抜いたら売りサイン。(デッドクロス)
- 3本のRCIが大底に張り付いているとき、大底から上昇した短期線が再び下降したら、売りサイン。(戻り売り)
各社のチャート機能は、こちらのページで詳しくご紹介しています。
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