カナダの通貨「カナダドル」の特徴を解説します。
カナダドルの基礎データ
正式名称 | カナダ |
---|---|
首都 | オタワ |
中央銀行 | カナダ中央銀行(BOC) |
通貨単位 | カナダドル($)、セント(c) |
* 主要輸出国 | アメリカ、中国、日本、イギリス、メキシコ |
* 主要輸入国 | アメリカ、中国、メキシコ、ドイツ、日本 |
値動きの大きさ | 情報量の豊富さ | 金利の高さ |
---|---|---|
★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
* 貿易量の多い国順 2023年のデータ(カナダの貿易と投資 – ジェトロ)
カナダドルの特徴を知ろう!
カナダは、豊富に産出される天然ガスや石油などの天然資源を輸出する資源国です。
また広大な国土により、小麦などの農産物や水産物においても世界有数の輸出国として知られています。
つまり資源国通貨であることから、カナダドルは資源価格や商品価格の影響を受けやすい特徴があります。
資源価格のなかでは、WTI原油と金、とくにWTI原油と相関性が高くなっています。
しかし、資源価格の変動が通貨の値動きに与える影響は、同じ資源国通貨の豪ドルほど大きくない傾向にあります。
経済が安定していて、国債が安全資産として認められていることが、その理由として挙げられます。
他国よりも資源価格の影響は少ないとはいえ、原油価格とは連動して推移しやすく、相関性の高いWTI原油という先物取引の指標は高く注目されています。
このWTI原油の価格が上昇すれば、カナダドルは買われやすい傾向にある、ということは覚えておいてください。
値動きにはアメリカ、すなわち米ドルの影響が大きい
なお、値動きに直接的に影響を与えるのは、やはり隣国であるアメリカの経済動向です。
輸出入は同じ北米であるアメリカが多くの割合を占めており、カナダは対米依存度が極めて高いことで、アメリカの経済動向はカナダドルの値動きにダイレクトに影響します。
例えば、アメリカの経済が好調であれば米ドルが買われ、カナダドルも買われるといった流れです。
このように、アメリカとの経済的な結び付きが深いことから、米ドル相場に連動しやすいのがカナダドルの特徴です。
カナダドルの方向性を見極めていく上で、アメリカの経済指標はとても重要なファンダメンタルズ要因となるのです。
そして米ドル、ユーロ、円などのメジャー通貨に比べると、カナダドルの取引量は多くありません。
低い流通量と資源国通貨の性質により、変動幅も大きめです。
そのかわり、カナダドルは機関投資家による大口の売買に影響されにくい通貨のひとつです。
つまり、短期的な利益を狙う投機の対象になりにくいということです。
そのためポンドとは対極のように、短期的にも比較的素直に値動きをしやすく、中長期でも米ドル/円に比べるとトレンドが継続しやすい傾向もあります。
こういった理由で、チャート分析しやすい点を好んでカナダドルを取引しているトレーダーがいるのも事実です。
カナダドルの特徴 まとめ
- 資源国通貨でWTI原油や金価格と相関性がある通貨。
- アメリカと経済の結び付きが強く、米ドルと相関関係にある。
- メジャー通貨のなかでも取引量が少ないので、変動は大きめ。
- 短期的な投機の対象になりにくいため、素直な値動きをしやすい。
- カナダドル/円は米ドル/円よりもトレンドが継続しやすい傾向がある。
カナダドルの通貨ペア
主要8通貨の組み合わせにより、こちらがカナダドルの主な通貨ペアとなります。
- 米ドル/カナダドル(USD/CAD)
- カナダドル/円(CAD/JPY)
- ユーロ/カナダドル(EUR/CAD)
- ポンド/カナダドル(GBP/CAD)
- NZドル/カナダドル(NZD/CAD)
- 豪ドル/カナダドル(AUD/CAD)
- カナダドル/スイスフラン(CAD/CHF)
このなかで注目の通貨ペアをご紹介します。
米ドル/カナダ(USD/CAD)
米ドル/カナダドルはユーロ/米ドル、米ドル/円、ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルに次いで取引量世界第5位の通貨ペアです。
カナダはアメリカの政策金利を追従傾向にあり、アメリカと陸続きだけあって経済も密接に関わっていることから、カナダドルは米ドルと同じように動きやすい傾向があります。
こういった理由で、数あるメジャー通貨ペアにおいて、同じ北米通貨ということもありボラティリティはそれほど高くありません。
原油価格がポイントとなってきますが、原油価格の上昇はカナダドルの買い要因となるため、米ドル/カナダドルと原油価格のチャート形状は逆相関となります。
中長期でトレンドを見ていくなら、原油価格の上昇ならカナダドル買い、つまり米ドル/カナダドルは下落、原油価格の下落なら米ドル/カナダドルは上昇と判断ができます。
WTI原油はNYダウなど米株と相関しやすい傾向にあり、先行しやすい米株にも注目です。
カナダドル/円(CAD/JPY)
一般に米ドルとカナダドルは正相関が強いと判断されています。
ですが、米ドル/円とカナダドル/円、2つの通貨ペアで相関係数を見てもそれほど高くありません。
むしろカナダドル/円は長期で見ると、同じ資源国通貨である豪ドル/円や、豪ドル/円に相関するNZドル/円と同じように動きやすい特徴があります。
カナダドル/円の取引をするなら、豪ドル/円やNZドル/円の値動きにも注目しましょう。
カナダドルの値動き傾向は?
アメリカと同じ北米に位置するカナダでは、ニューヨーク市場が活発な時間帯に多くの取引が行われています。
カナダの首都オタワはニューヨークと時差がありません。
つまりFXの主要通貨のなかで、NY時間とリアルタイムに同じ時間に動く唯一の通貨となります。
つまり、米ドル/円が動くときは、カナダドル/円も動きやすい時間帯ということになります。
ロンドン市場とニューヨーク市場が重なる21:00〜1:00頃は、FXでもっともレート変動のある時間帯です。
アメリカとカナダは経済指標の発表時間もほぼ同じですので、米ドル/円が動くと、カナダドル/円も追従して推移しやすくなります。
カナダドルの価格変動率
それではカナダドルが1日でどのくらい動くのか、変動幅や変動率を見てみましょう。
まずはカナダドル/円の平均変動幅を見てみましょう。
こちらは2021年1月29日時点における、直近20日間の平均を示すグラフです。
やはり日中の東京時間と夕方のロンドン時間に比べると、アメリカとカナダ両国の経済指標が多く発表されるNY時間のほうが、変動率が大きくなっていることが分かります。
以下は同じタイミングで取得した米ドル/円のデータですが、夜に関しては米ドル/円よりも若干ボラティリティが高くなっています。
続いてほかの変動率データも見てみましょう。
以下は2021年1月29日に取得した1日の変動率です。
やはり日中と夕方よりも、22:00台〜1:00台のボラティリティが高いことが確認できます。
米ドル/カナダドルはカナダドル/円よりも夜のボラティリティが高くなっており、やはりNY時間に動きやすい通貨ペアということが分かりますね。
※セントラル短資FXの時間帯別変動率は現在利用できなくなっています。
時間帯ごとの変動率をチェックするなら、OANDA証券のボラティリティ グラフチャートがおすすめです。
カナダドルの変動要因となる、カナダの経済指標
それでは、カナダで注目の経済指標をご紹介します。
※下記の時間はカナダの標準時間(11月第1日曜日AM2:00~3月第2日曜日AM2:00)で記載しています。
サマータイム時(夏時間、3月第2日曜日AM2:00~~11月第1日曜日AM2:00)は下記表の時間が1時間早くなります。
発表時期 | 日本発表時間 | |
---|---|---|
加・貿易収支(国際商品貿易) | 毎月 / 初旬 | 22:30 |
加・Ivey購買部協会指数 | 毎月 / 初旬 | 00:00 |
加・雇用統計(失業率、雇用者数変化) | 毎月 / 第1金曜日 | 22:30 |
加・消費者物価指数(CPI) | 毎月 / 中旬 | 22:30 |
加・小売売上高 | 毎月 / 中旬 | 22:30 |
加・GDP(国内総生産) | 月次:毎月 / 月末 四半期:2月・5月・8月・11月 / 下旬 | 22:30 |
BOC政策金利発表 | 年8回 | 23:00 |
カナダはアメリカの政策金利を追従しやすいので、アメリカの政策金利が変更されたら、その後の発表値に注目していきましょう。
雇用統計は重要度ではあるものの、米・雇用統計と同日同時刻に発表があるため、カナダの雇用統計だけで判断するのは難易度が高いため注意が必要です。
両国の経済指標を詳しく知りたい方は、下記ページをご参考にどうぞ。
カナダドルの取引に向いているFX会社
同じ北米のアメリカに比べるとやや影の薄さを感じるカナダドルは、値動きは米ドルに連動性があるかと思いきや、決してそのような規則性があるわけでもありません。
現状カナダは政策金利が高くないため、スワップポイント目的の取引には適していません。
そのためカナダドル/円や米ドル/カナダドルは、中長期のトレンドに注目していくのが得策といえます。
FX業者全体的に、カナダドル/円のスプレッドはやや広めの傾向です。
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