マーケットニュースでは「米国債の利回りが〜」と配信されていることもあり、米国債とはなにか興味を持った方もいるのではないでしょうか。
実際にFXをやるようになってアンテナを張っていれば、こういった情報がより耳に入ってきやすくなりますよね。
FXはさまざまなマーケットの影響を受けて、長期的に方向性を持って価格が推移します。
相場の動向判断にあたって、FXと切っても切り離せないほど深い関係にあるのが、債券(国債)の「価格」と「金利」です。
米国債の価格・利回り動向から見た、米ドル/円相場との相関性について解説します。
国債価格と国債金利の関係
債券には色々な種類がありますが、こちらのページのテーマである「国債」について説明します。
「国債」とは、国が発行する債券のことです。
アメリカ(米国)が発行する債券は米国債、日本が発行する債券は日本国債となります。
債券の「債」には借金の意味があるように、国が財政資金を確保するために借金をして集め、その借金を証明する券のことを債券といいます。
つまり国債を買うということは、国にお金を貸すことを証明するために債券を受け取る形となります。
そして国債では利息、すなわち金利(=利回り)を受け取ることができ、満期になれば元本が返却される仕組みとなっています。
「政策金利」と「国債金利」は混同しないように気をつけましょう。
政策金利とは、各国の中央銀行が通貨を発行して、市中銀行に貸し出すときの利息のことで、全ての金利の土台であるとも言えます。
この国債価格と金利は、「逆相関」の関係にあります。
- 国債価格が上昇 → 債券の金利は下落
- 国債価格が下落 → 債券の金利は上昇
なぜ逆に動くのかというと、国債価格は需要と供給のバランスで決まるからです。
- 好景気 →(不動産や株式投資の利回りが良いと)国債を買う人が減るので、国債価格が下がって国債金利は上がる。
- 不景気 →(不動産や株式投資の利回りが悪いと)国債を買う人が増えるので、国債価格が上がって国債金利は下がる。
景気の先行きの見通しが明るいリスクオン(投資家がリスクを取ってリターンが高い金融商品に投資すること)のときは、株式や商品、ジャンク債や高金利通貨などに資金が集まりやすく、国債が売られると(国債価格が下落)、国債金利は上昇します。
景気が悪化するリスクオフ(投資家がリスクを回避して、リスクが低い商品への投資を増やすこと)のときは、リターンは低くても安全度が高い国債に資金が集まりやすく、国債が買われると(国債価格が上昇)、国債金利は低下します。
このように、「好景気なら金利が上昇」「不景気なら金利が下落」と金利は景気に左右されやすい特徴があります。
ここでいう金利は長期金利のことで、主に国債10年利回りのことです。
反対に、短期金利は期間が1年未満の金利のことで、大ざっぱにいうと、政策金利は短期金利の一部です。
米国債と米ドル/円の関係
米国債の価格が下がると、米国債の利回りが上昇します。
そうすると米国債を買う動きによって米ドル買いとなるため、米ドル/円は上昇します。
米ドル買いとなる理由ですが、例えば日本の投資家が米国債を買う場合を例にすれば、米国債を買うにあたって、円を売って米ドルに交換する必要があるからです。
逆に、米国債の価格が上がると、米国債の利回りが下落します。
そうすると米国債を売る動きによって米ドル売りとなるため、米ドル/円は下落します。
- 米国債10年利回りが上昇 → 米ドル/円は上昇
- 米国債10年利回りが下落 → 米ドル/円は下落
つまり、長期金利が上昇した国の通貨は、長期的に買われやすくなる傾向がある、ということになります。
このように金利を見ると、どの通貨が長期的に上昇・下落するかの判断材料とする目安にできます。
それでは、米国債10年利回り(赤)と米ドル/円(白)、2つの値動きを比べてみましょう。
同じように連動しているのが見てとれますね。
ただし、FXは多くの通貨や国々の要因によって変動しますので、もちろん全てに当てはまる訳ではありません。
とはいえ米国債10年利回りとの連動性に注目することで、米ドル/円の方向性をよりつかみやすくなります。
米国債10年利回りは、デイトレードなど短期的なトレードでも注目されています。
こちらはInvesting.comで無料で見れるチャートです。
この米国債10年利回りでは、「3%は節目となる魔法の数字」として、転換か勢いづくのかが注目されています。
イールドカーブの形状にも注目
イールドカーブとは、債券の利回りと残存期間(償還期間)をグラフ化したものです。
日本語では利回り曲線と呼ばれており、米国債などどのような債券でもイールドカーブで表すことができ、もっとも使用頻度が高いのが国債です。
このイールドカーブを見ることで、将来の金利はの上昇・低下どちらが予想されているかが分かります。
もし右肩上がりであれば、債券市場では金利が上昇するであろうとの見方ができます。
一般的に、短期債券よりも長期債券のリスクが高いため、利回りは短期債券よりも長期債券のほうが高くなります。
お金を返すまでの期間が長くなるほど、返せなくなるリスクが高くなるため、金利も高くなる仕組みですね。
ですから通常はイールドカーブの形状は右肩上がりとなり、これを順イールドといいます。
その一方で、短期利回りが長期利回りの水準を上回って長短金利が逆転する現象となれば、イールドカーブの形状が右肩下がりとなり、これを逆イールドといいます。
イールドカーブの傾きが大きくなることをスティープ化(長短金利差が拡大)といい、景気拡大のシグナルとなります。
逆に、イールドカーブの傾きが小さくなることをフラット化(長短金利差が縮小)といい、景気減速のシグナルとなります。
米国債のイールドカーブはInvesting.comが見やすいので、こちらも合わせてチェックして分析に活用してみてください。
国債利回りを見るのに便利なチャート
実はFX業者のチャートで、債券や株価指数などの値動きが見れるタイプはそう多くはありません。
本格的にさまざまな値動きを見ようとするなら、CFD口座を開設する必要があります。
しかしながらFX口座を保有するだけで、米国債の動向を見れるチャートをご紹介します。
GMOクリック証券「プラチナチャート」
GMOクリック証券のプラチナチャートは、FX口座の開設で利用することができます。
比較チャートでは、FXの全通貨ペア、CFDの全銘柄、TOPIX、日本国債(2年、5年、10年)、米国債(2年、5年、10年)が対応しており、最大4つまでを比較することができます。
これにより「米ドル/円と米国債10年のチャートを見比べる」ことや、米国株と米国債を比較してみることもかんたんに行えます。
通貨ペア以外の値動きにも注目することで、よりよいトレード結果となるかもしれませんね!
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ヒロセ通商「LIONチャートPlus+」
ヒロセ通商のLIONチャートPlus+に搭載された「Bond Chart」では、米国債の利回りをチャートで閲覧できます。
10年債だけではなく、2年/5年/30年にも対応し、「利回り差」も見られます。
ローソク足での表示から、テクニカル指標の表示、トレンドライン描画、FX通貨ペアとの比較も可能です。
1分足など短い足種でも表示できるため、短期売買にも使いやすいチャートです。
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TradingViewチャート
会員登録すれば無料で利用できるTradingViewというチャートを使えば、自由度の高い米国債のリアルタイムチャートを見ることができます。
銘柄をクリックし、10年米国債なら「US10Y」と入力して、シンボルにUS10Yがある銘柄を選択すれば表示できます。
こちらが表示例で、米ドル/円などと比較することも可能です。
主要な国債のティッカーシンボルは以下です。
国債名 | ティッカーシンボル |
---|---|
米国債2年利回り | US02Y |
米国債5年利回り | US05Y |
米国債10年利回り | US10Y |
米国債30年利回り | US30Y |
日本国債10年利回り | JP10Y |
英国債10年利回り | GB10Y |
ドイツ国債10年利回り | DU10Y |
オーストラリア10年国債利回り | AU10Y |
※各国のティッカーシンボルはこちらでご確認できます。
このほか2つの国債の差をチャートに表示させることも可能です。
イールドカーブで注目される、米国債5年と30年の利回り格差を比較してみましょう。
この場合は「US10Y-US05Y」とサーチボックスに入力後、サーチボックス内のUS10Yをクリックしてシンボルを選択し、同じようにサーチボックス内のJP10Yをクリックしてシンボルを選択してください。
TVC:US10Y-TVC:US05Y
上手く行かない方は、上記をそのままコピペしてみてください。
以下が、利回り格差と米ドル/円のチャートです。
こうしてみると米国債の利回り格差が大幅縮小するのに伴って、米ドルの強い買いが確認できますね。
ぜひ米ドル/円のトレードなら、ぜひ利回り格差にも注目してみてください。
TradingViewで比較チャートを使うとき、同一のスケールだと上手く表示されないときもあります。
この場合は対象の銘柄のチャート上を一度クリックして選択状態にしてから「右クリック」→「新たな左(右)スケールに固定する」の手順で、キレイに重ねて表示ができます。
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