「ポーランドズロチ/円」「ユーロ/円」の両建てによるサヤ取りでスワップポイント狙えると、新型の両建て手法が注目を集めつつあります。
この手法を解説するとともに、リスク・注意点もまとめてご紹介していきます。
2024年8月22日追記
記事更新日において、ユーロ/円の売りスワップポイントはマイナススワップが大きい傾向となっているため、こちらの両建て手法はおすすめではありません。
そのため現時点では、ポーランドズロチ/円とユーロ/円の両建てではなく、ユーロ/ズロチを取り扱うみんなのFXを使った代替案があります。(ただしスプレッドには注意も必要です。)
ユーロ/ズロチの高値圏を見極めて、ショートポジションを保有しつつ、スワップポイントも狙う手法を検討してみてください。
ズロチとユーロのサヤ取りはどんなトレード手法?
ズロチ/円ロング、ユーロ/円ショート、両方のポジションを保有することで、スワップポイントのサヤ取りができるとして広まった手法です。
これはそれぞれの相関性が高いことに加えて、ズロチ/円の証拠金の低さ、スワップ効率の良さが注目されつつある理由です。
まずはこのトレード手法の特徴を見ていきましょう。
- ポーランドはEU加盟国でありつつ、自国通貨としてズロチを採用する。
- ズロチ/円はユーロ/円と同じように動く性質がある。
- ズロチ/円の証拠金は、ユーロ/円の1/4程度。ミニ版ユーロといった位置付け。
- ユーロ/円1Lotの証拠金とほぼ同量(4.3Lot)の保有で、1日約50円のスワップが付与される。
(※2023年4月における、みんなのFXの実績値。) - 年間で約10%の利回りに期待ができる。
ユーロ/円のヘッジポジションは、マイナススワップにならない。
ズロチ/円は証拠金が低いことから、ユーロ/円と同じくらいの証拠金ベースで判断すると、実は高スワップだったことが注目され始めたきっかけです。
コモディティ情報サイトのasumiru.comではFX相関係数ランキングが日々公開されています。
ご覧いただくと、ユーロ/円、ポーランドズロチ/円は相関係数が高いことが確認できるかと思います。
一般的に知られているサヤ取りには、主に以下の手法があります。
- 相関性のある通貨ペア(豪ドル円とNZドル円など)の価格差を狙うトレード
- 業者ごとに異なる、同一通貨ペアのスワップ差を狙うトレード
まず前提として、これらのサヤ取り手法と決定的に性質が違うことを理解した上で、トレードする必要があります。
価格差を狙うサヤ取り手法
まず、価格差を狙うサヤ取りについて説明します。
俗にいうアービトラージとは、この価格差を狙ったやり方です。
こちらをご覧ください。
これは相関性のある通貨ペアの開き(ギャップ)が小さくなったとき、この水準ならもっと価格に開きが出るだろう、と想定して両建てする手法です。
スワップ狙いのサヤ取り手法
次に、スワップ狙いのサヤ取りについて説明します。
例えば、現在高金利通貨である米ドルで、スワップ狙いのトレードをするとしましょう。
買いスワップが高いA社、売りスワップが低いB社で1Lot保有するとします。
A社の 買いスワップ | B社の 売りスワップ | スワップ差 |
---|---|---|
100円 | 70円 | +30円 |
これは同一通貨ペアを異なる業者で両建てするやり方で、ロスカットさえなければ、単純に(相殺したスワップのプラス分)ー(スプレッド)が利益となります。
買いと売りの新規注文が同じレートなら、為替変動しても含み益と含み損は相殺されるため、(スプレッドを加味しなければ)評価損益がマイナスになることはありません。
つまり価格差ではなく「金利差」を狙うという手法となります。
ズロチ円とユーロ円の両建ては、実質ユーロ/ズロチのショート
ズロチ/円とユーロ/円の両建ては、スワップ狙いのサヤ取り手法の分類になります。
ただし、両建てにより為替リスクを抑えつつ、実質ショートによる売買差益と、金利差を狙う手法となります。
つまり、単純にスワップがもらえるトレードではなく、エントリータイミングが重要となる裁量取引となるのです。
同一通貨ペアの両建てではないことと、ズロチ/円のスプレッドが広いこともあり、ポジションは相殺されてプラマイゼロになるわけではなく、長期にわたって含み損を抱える可能性もあります。
ユーロ/円を例におさらいすれば、為替は米ドルが基軸通貨なので、必ず米ドルを介する仕組みになっていますよね。
ユーロ/円をショートするならば、ユーロで米ドルを買い、米ドルで円を売る形となります。
例えば、ユーロ建のドイツビールを日本に売りたいけど、一旦ドルに換えなければ売れません。
そのためユーロをドルに替えてから売る、といったイメージです。
すなわちユーロ/円は、ユーロ/米ドルと米ドル/円の合成通貨ペアという訳です。
ズロチ/円も同様に、ズロチ/米ドルと米ドル/円の合成通貨ペアとなります。
これは、算数の方程式を使って米ドルを消すと分かりやすいです。
ユーロ/円のショートは、ユーロ/米ドルのロングと米ドル/円のショートの合成通貨ペアとなります。
ズロチ/円のロングは、ズロチ/米ドルのショートと米ドル/円のロングの合成通貨ペアとなります。
ユーロ/円を構成するの米ドル/円のショート、ズロチ/円を構成する米ドル/円のロングを相殺すると、ユーロ/米ドルのロングとズロチ/米ドルのショートの組み合わせとなります。
そしてユーロ/米ドルのショート、ズロチ/米ドルのロングを相殺すると、ユーロ/米ドルのショートとなり、ユーロで買った米ドルでズロチを売っているのが分かります。
つまりユーロ/円のショートとズロチ/円のロングは、実質ユーロ/ズロチのショートをしているのと何ら変わりないこととなるのですね。
ユーロ/ズロチの高値圏・安値圏に注目!
少し説明が長くなりましたが、ユーロ/円とズロチ/円の両建てで為替リスクはヘッジされてるものの、合成するとユーロ/ズロチをショート目線でエントリーしていることになります。
そのためズロチ/円とユーロ/円の両建てで含み損をかかえずにスワップを受け取っていくには、ユーロ/ズロチのチャートを見て高値圏でエントリーする必要があります。
決済時も同様に、ユーロ/ズロチの安値圏を見定めてイグジットするのが吉です。
以下のリアルタイムチャートをご覧ください。
2022年3月につけた5.00付近は、歴史的な高値圏となっています。
トレンドによっては、再び高値圏に近づいたら絶好のエントリータイミングの目安ともいえますね。
高値をつけたあと、おおよそ3ヶ月〜半年程度のスパンで安値を付けて反転するサイクルが見られるため、こういった時間軸を意識しながらポジションを保有するタイミングを探ってみるのもおすすめです。
ユーロ/円とズロチ/円のスワップサヤ取りの注意点
この2通貨ペアでスワップポイントを狙っていく上で、「ユーロ/ズロチのトレンド」「ポーランドの政策金利」が重要となります。
5.0ズロチは節目となる可能性が高い
タイムスケールを月足に変更して、過去〜現在の値動きが画面に収まるようにチャートをチェックしてみてください。
過去の高値を見ると、2004年の4.9ズロチ、2009年の4.93ズロチ、2022年の5.00が確認できます。
2004年、2009年に関しては、高値を付けたあと長期的な下降トレンドとなっていることが分かりますね。
記事更新日時点では上昇トレンドですが、今後反発する可能性も十分高いと考えられます。
トレードをしていく際には、過去の高値・安値に注目していきましょう。
なおユーロ/ズロチはどれぐらいの変動でどのくらいの損益になるのか、米ドル/円しかトレードしない方には分かりにくいので、かんたんに説明します。
クロス円ではないトレードの単純な損益計算を見てみましょう。
ズロチ/円を28円として、1万通貨でショートしたケースです。
エントリー時のレートが1ユーロ4.3ズロチ、決済時が4.2ズロチの場合、利益は28,000円となります。
ユーロ/ズロチは相関性のある組み合わせなので、それほど変動が大きくないイメージがあるかもしれませんが、動き出すとボラのある通貨ペアであることが分かりますね。
長期運用ならポーランドの政策金利に注目
ズロチ/円で安定的なスワップポイントの受け取りにあたって、重要となるのがポーランドの政策金利です。
2020年5月〜2021年9月にかけて、0.1%と低金利で推移していた時期もあり、こんな場面では、ほぼスワップポイントが付与されません。
スワップサヤ取り手法がどのくらいの期間有効であるかは「通貨ペア同士の相関性が保たれていること」はもちろん、「政策金利が継続されていくこと」も重要なポイントとなります。
毎月1回公表されていますので、長期運用するなら政策金利の動向に注目していきましょう。
実践的なトレードについて
それでは実際にトレードしていく上でのポイントをご紹介します。
買いと売り、ポジション量の黄金比
ユーロ/円の売り、ズロチ/円の買いで為替リスクをヘッジしながらスワップポイントを狙っていく手法のため、双方のポジションはできる限りポジション量を揃えて、両建てを行っていきます。
2022年4月18日のレートで、ユーロ/円は約136.7円、ズロチ/円は29.5円です。
つまりユーロ/円に比べて、4分の1以下の水準で推移していることとなります。
ユーロ/円136.7円 ÷ ズロチ/円29.5円 = 4.633…
このように価格差から見ると、ポジション量は ユーロ/円:ズロチ/円 = 1:4.6 が両建てをする際に黄金比の目安となります。
つまりユーロ/円で1万通貨を売るなら、ズロチ/円で4.6万通貨を買う形となります。
もし1,000通貨で取引するなら若干比率が変わってしまいますが、ユーロ/円が1,000通貨(0.1Lot)なら、ズロチ/円は5,000通貨となります。
ただし、このようにユーロ(売りポジション)の比率が1:4.6よりも若干少ない場合、エントリー後にそれぞれのレートが上昇すると、両建てポジションを相殺しても含み損がやや多くなりますので、この点も理解して取引を行いましょう。
直近の高値/安値はアラートを使うと便利!
この水準に達したときに売買したいと思っていても、普段仕事などで見逃してしまうこともあるでしょう。
こんなときに便利なのが、チャートに搭載されたアラート機能です。
気になる水準のレートをアラートに登録しておけば、その水準に達したときにプッシュ通知やメールで知らせてくれるので、売買タイミングを逃がすことなくトレードできます。
なおユーロ/ポーランドズロチ(EUR/PLN)を取り扱うFX業者は多くありません。
ヒロセ通商ならユーロ/ポーランドズロチをチャートで閲覧できます。
またチャートシステムのTradingView(トレーディングビュー)でも無料で閲覧ができます。
EUR/PLNを見れるチャート①ヒロセ通商
高機能でおすすめなのが、ヒロセ通商のLIONチャートPlus+です。
ログイン後、「アラート・ターゲットメール」のアイコンから設定可能です。
自動フィボナッチなど、分析に役立つ便利な機能が搭載されています。
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EUR/PLNを見れるチャート②TradingView
TradingViewはチャートの表示後、アラートアイコンから設定が可能です。
気になるレートはどんどんアラートで設置しておくと、トレードに役立ちますのでぜひお試しください。
高機能チャートのTradingViewは、無料アカウントでもチャート設定をWeb上で保存できます。本格的に使いたい方は無料アカウントを作成しましょう。
ズロチ、ユーロ投資に必要な資金
2通貨ペアでの両建てで重要となる「証拠金」について説明します。
ユーロ/円の売りを1万通貨、ズロチ/円の買いを4.6万通貨として、以下条件で始めるとしましょう。
- 初期資金(証拠金):30万円
- レート:ユーロ/円が136.7円、ズロチ/円が29.5円
- スワップポイント:ユーロ/円(1万通貨・売り)1日/+4.6円、ズロチ/円(4.6万通貨・買い)1日/+43円
ポジションを保有した段階で、証拠金維持率はおおよそ275%、レバレッジはおおよそ10倍程度です。
1日のプラススワップを47.6円とすると、想定利回りは約5.8%(年間のスワップ利益が17,314円が目安)になります。
中長期で運用する場合、証拠金維持率とレバレッジは上記が最低ラインの水準です。
もっと安全度を高めるなら余裕のある証拠金で、ロスカットに備えることをおすすめします。
例えば初期資金を2倍の60万円で同様のポジション量であれば、想定利回りは1%台まで下がるものの、証拠金維持率は約550%となり、レバレッジは約5倍程度まで下げることができます。
もし1,000通貨で取引するなら、1万通貨の10分の1の資金で始められますので、最小3万円からスタートも可能です。
なお、評価損益や証拠金維持率をてっとり早くシミュレーションするなら、みんなのFXの証拠金シミュレーションを活用してみてください。
ズロチ/円とユーロ/円のスワップを比較
ユーロ/円、ズロチ/円のスプレッドとスワップポイントを掲載しています。
FX会社名 | 取引単位 | ユーロ/円 スプレッド | ユーロ/円 | ユーロ/円 | ズロチ/円 | ズロチ/円 | ズロチ/円 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1,000 通貨単位 | 0.4銭 | -150 | 150 | 2.8銭 | -54 | 54 | |
通常通貨ペア | 1,000 通貨単位 | 0.4銭 | -150 | 150 | 2.8銭 | -54 | 54 |
10,000 通貨単位 | 0.5銭 | -220 | 54 | 3銭 | -93 | 23 | |
1,000 通貨単位 | 0.4銭 | -220 | 150 | 変動 | -77 | 37 |
※スワップポイントの単位は円。 各社においてスワップポイント付与が前後している場合は、直近1日分のスワップポイントを記載。
スプレッド取得日・記載日:2024年12月3日
※掲載スプレッドは原則固定(例外あり)ですが、市場急変時や流動性が低下している状況では拡大する場合があります。
単にスワップも売買差益もシンプル狙いたいと考えてるなら、ヒロセ通商で取り扱われているユーロ/ズロチ単体でショートを仕掛けることもできますが、スプレッドが広いのであまりおすすめできません。
両建て手法に取り組むなら、スプレッドとスワップポイントが高水準のみんなのFXがおすすめです。
またIG証券は、両建てのヘッジ用となるユーロ円の売りスワップポイントの付与が多いので有利です。
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