長期的な売買が得意なトレーダーほど、為替差益・金利差益の両方で収益を狙います。
FXでは為替差益を狙ったトレードが中心ですが、金利差益でスワップポイントを狙ったトレードも非常に人気があります。
これからFXを始めたい方向けに、スワップポイントの仕組みから基本、注意点、スワップ狙いの手法まで分かりやすく解説します。
スワップポイントとは?
スワップポイントとは、FX取引でポジションを保有したとき、異通貨ペア間の金利差によって発生する利益のことです。
「スワップ金利」とも呼ばれています。
例えば、米ドル/円を買い注文するとしましょう。
低金利の日本円を売って、高金利の米ドルを買うこととなり、2国間の金利には差が生じますよね。
ここで発生する金利差自体がスワップポイントそのものを表すこととなります。
外貨預金につきものの利息ですが、スワップポイントは「FX版の利息」というわけです。
で金利とは何かというと、各国の中央銀行が定める政策金利のことを指します。
以下は、FXで主要に取引されている通貨ペアの政策金利の推移です。
順位 | 国名(政策金利) |
---|---|
トルコ(50.00%) | |
メキシコ(10.50%) | |
南アフリカ(8.00%) | |
4位 | 香港(5.25%) |
5位 | アメリカ(5.00%) |
5位 | イギリス(5.00%) |
6位 | ニュージーランド(4.75%) |
7位 | ノルウェー(4.50%) |
8位 | オーストラリア(4.35%) |
9位 | カナダ(3.75%) |
10位 | ユーロ圏(3.40%) |
11位 | スウェーデン(3.25%) |
12位 | 中国(3.10%) |
13位 | スイス(1.00%) |
14位 | 日本(0.25%) |
トルコ、メキシコ、南アフリカの金利の高さが群を抜いているのが見て分かりますね。
なおこの政策金利差とスワップポイントは完全にリンクしている訳ではなく、業者毎でも通貨ペア毎でも異なってきます。
とはいえ、仮に年間で2%の金利を得られるとしましょう。
年間の運用金額を1万米ドル(100万円分)とすれば、スワップポイントは年間で2万円分得られるイメージとなります。
スワップポイントは毎日もらえる
外貨預金の金利受け取りは満期時ですが、FXのスワップポイントは毎日もらえるのが特徴です。
スワップポイントが付与となる方向でポジション保有している間は、ロールオーバーのたびにスワップポイントが付与されます。
時間帯としては、NYクローズのあとにメンテナンス時間内にロールオーバーが行われ、その早朝のタイミングでスワップポイントが調整されます。
スワップ付与をシミュレーションしてみよう!
それでは取引期間・取引量に応じて、どのくらいスワップポイントが付与されるのかを見てみましょう。
- メキシコペソ/円のレートは、1メキシコペソ=8.8円。
- 最初の元手(証拠金)は30万円、10万通貨の取引を行う。
- 政策金利差は11.35%、スワップポイントは1万通貨あたり1日/26円と仮定。
(2024年2月時点で、メキシコの金利は11.25%、日本の政策金利は-0.1%)
260円 × 365日で計算すると、10万通貨を1年間の保有で「94,900円」がスワップポイントによる利益となります。
そして年間の利回りに換算すると「3.16%」です。
94,900 ÷ 300,000 × 100 = 3.16%
(1年間のスワップ利益 ÷ 証拠金 × 100 = 年間利回り)
※メキシコペソはレート水準が低いため、1メキシコペソ=8.8円とした場合、10万通貨をレバレッジ25倍で取引するなら約3,500円、レバレッジ1倍で取引するなら約88,000円で取引することができます。
さらにLot数を上げることで、より多くのスワップポイントを受け取ることができます。
以下は50万円の元手で、メキシコペソ/円を10万通貨、20万通貨、30万通貨それぞれで運用したときのイメージです。
保有量 | 運用金額 | レバレッジ の目安 | スワップ (1日) | スワップ (30日) | スワップ (365日) | 年利の 目安 |
---|---|---|---|---|---|---|
10万通貨 | 53,000円 | 1.8倍 | 260円 | 7,800円 | 94,900円 | 18.98% |
20万通貨 | 104,000円 | 3.5倍 | 520円 | 15,600円 | 189,000円 | 37.8% |
30万通貨 | 156,000円 | 5.3倍 | 780円 | 23,400円 | 284,700円 | 56.8% |
中長期保有ならレバレッジは3倍以内が望ましいです。
上記例でいうなら、30万円の元手で取引するなら、レバレッジ1.8倍の10万通貨がベストといえます。
しかし取引量を上げると、スワップポイントでの収益もより見込めることが分かりますね。
なおFX業者の口座内では、為替レートの変動による為替差益は「建玉評価損益」「スポット」などの項目で確認ができます。
一方、スワップポイントの金利差益は「スワップ評価」や「スワップポイント」で確認できますので、スワップポイント単体の含み益も知ることができます。
スワップポイント比較と利回り計算は、以下ページでシミュレーションができます。
証拠金とレバレッジの計算は、以下ページでシミュレーションができます。
スワップポイントの計算は、みんなのFXのシミュレーションも便利です。
主に売りで保有中は、スワップの支払いが発生
スワップポイントは必ず受け取れるわけではありません。
高金利通貨を売って低金利通貨を買っている間(主に対円ならショートポジションを保有しているとき)は、日々スワップポイントの支払いが発生します。
たとえば、米ドル/円などの売りポジションを保有しているときが該当します。
スワップポイントの受け払いにおいて、支払い側となるスワップポイントは「マイナススワップ」と呼ばれています。
現在日本はマイナス金利により、対円通貨ペアの売りポジションは基本的にマイナススワップです。
円を介さない通貨ペアは二国間の金利差によって変わるため、ショート=マイナススワップが当てはまりませんのでご注意ください。
為替差益が出ているポジションで短期トレードの場合、マイナススワップはそれほど気にしなくてもいいでしょう。
これが長期的な取引となってくると、為替レートが動いていなくてもマイナススワップによって損失ともなりかねません。
よほどの為替差益を狙えるケースでもない限り、高金利通貨の売りポジションは長期で保有しないように意識するようにしてください!
スワップポイントは日々変動し業者毎に違う
外為どっとコムの2024年2月米ドル/円の実績を見ると分かりますが、スワップポイントは常に同じ水準ではなく日々変動します。
※スワップポイントが付与されなかったり、付与日数が多いのケースもありますが、詳しくは後述しています。
スワップポイントが日々変動するには、2つの理由があります。
1つ目の理由は、2国間の政策金利変更によってもたらされる、金利差の縮小・拡大です。
金利差が縮小すると利回りが悪化しますので、スワップポイントは下がります。
金利差が拡大すると利回りが好転して、スワップポイントは上がる仕組みなのです。
2つ目の理由は、為替レートの上昇・下落による変動です。
例えばある通貨ペアが90円のとき、スワップポイントを1日/50円、レバレッジ1倍で1Lotの取引をすると年利回りは2.03%となります。
90万円 × 2.03% = 1年間のスワップ利益は18,270円
18,270円 ÷ 365日 = 1日のスワップポイントは50円
そして2国間の金利差はそのままで、為替レートが70円に下落したとします。するとどうでしょう。
70万円 × 2.03% = 1年間のスワップ利益は14,210円
14,210円 ÷ 365日 = 1日のスワップポイントは39円
レートの変動が、スワップの受け取りに影響を与えているのが分かりますね。
もし金利が変わらないと想定すれば、90円のときが多くスワップポイントがもらえることとなります。
つまり円安に進むほど、FX業者が付与するスワップポイントが多くなるという仕組みです。
しかし相場動向にスワップ付与も連動させると業者にデメリットが多くなってしまいます。
そのため実際には、日々のスワップポイントに相場動向が反映されて、スワップポイントが少しずつ変動する形となるのですね。
FXではこの政策金利をベースに、為替レートや世界情勢などの要因が加わり、さらに各社の経営方針によってスワップポイントが決定される仕組みです。
つまり長期的にスワップポイントを受け取っていくには、一時的な高さではなく、年間を通して平均的にスワップポイント付与が高い業者を選ぶことが大切です。
スワップポイントにはいくらで提供しなければいけない、という厳密なルールがないため、FX業者ごとにスワップポイントは異なります。
そのため高金利通貨でスワップポイント狙いの取引をする場合、高スワップポイントのFX業者を選ぶと有利です。
トルコリラ/円、南アフリカランド/円など、高金利通貨の買いスワップが安定して高い業者なら、みんなのFXがおすすめです。
FXでスワップ狙いの4手法
ここまでで、スワップポイントの基本的な知識が身についたことでしょう。
最後に、スワップポイント狙いで用いられる4つの手法(ポジショントレード」、ドルコスト平均法、サヤ取り、木曜日スワップ金利3倍デー)をご紹介したいと思います。
ポジショントレード
FXにはスワップの金利のみを狙う手法もありますが、為替差損によるマイナスで利益が相殺されるようでは、元も子もありません。
そこで登場するポジショントレードは、中長期売買のスイングトレードとスワップ金利狙いを合わせた手法です。
最大数週間程度のスイングトレードに対し、数週間から数ヶ月、年単位のトレードをポジショントレードと呼ばれています。
スワップが付く(主に)買いポジションと、相場のトレンド方向が合致さえすれば、為替差益・スワップ差益、2つの利益を追求できるため、大きな利益に期待できるのが、ポジショントレードの特徴です。
ポジショントレードで2つの利益を狙うには、買い方向で狙う通貨ペアが「天井圏か大底圏」であることが望ましいです。
チャート的には日足〜月足を見て、割安な水準を見極めるようにしてください。
また予想に反して反対方向に推移したとしても、ロスカットされない証拠金で運用することが大切です。
仮にポジションがマイナスとなっても、長期的に反転のチャンスを待って含み損が解消されたら、スワップ金利やポジション量、保有期間によっては非常に大きな利益となるでしょう。
- 投資対象の通貨ペアが、スワップが付く方向に有利な天底圏であること。
- ポジションの保有は数ヶ月〜長期だと数年間は保有するイメージ。
- とにかく余剰資金で始め、余裕のある必要証拠金でスタートする。
- レバレッジの目安は1倍〜3倍、最大5倍程度。
- 短期的な値動きに翻弄されないメンタルを保つこと。
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法は「定額購入法」とも呼ばれ、どちらかというと積立投資の側面を持つ手法です。
あらかじめ決めておいた一定の投資金額で、定期的に買い増し(売り増し)して積み立てていくイメージです。
一般的にドルコスト平均法は、売買レートにとらわれることなく一定額を買い増していくことで、「新規注文レートを平均化」させるための手法です。
長期的な収益化を目指すにあたり、使い方によってはスワップ狙いにも活用できるでしょう。
メキシコペソ/円で例えるならば、毎月◯◯Lotずつ買うのではなく、◯◯万円分ずつ買い増ししていく形となります。
もし毎月2万円ずつ買い増ししていくとしたら、メキシコペソ/円のレートが8.8円のケースなら5.7Lotが目安となります。
高値圏で買ってしまったとき、スワップ差益があっても為替差損で相殺されると、トレンド方向によっては長期間に渡って含み損を抱えてしまうリスクがあります。
いわゆる高値掴みを避ける手法としては、購入価格が平均化されるドルコスト平均法は有効的となります。
なおドルコスト平均法は万能ではなく、大きな下落トレンド局面で買い増し続けるのは、非常にリスキーです。
含み損が増えていく状況で買っていくのはいわゆる「ナンピン買い」であり、落ちるナイフを掴んでいく感覚ともいえます。
短期的に大きな値動きを排除するためのドルコスト平均法ですので、短期売買には向かない手法であることは理解しておく必要があります。
サヤ取り
サヤ取りは別名「アービトラージ」とも呼ばれ、両建てして「価格差」「金利差」のすき間を狙っていく手法です。
スワップポイント狙いでいうところのサヤ取り(以下:スワップサヤ取り)は、2つの業者で両建てして価格変動リスクを抑え、スワップの差額分をかすめとろうというもの。
上の例でいえばA社で買いポジションを保有し、C社で売りポジションを保有します。
両建てにより価格変動リスクをなくしつつ、スワップの差額が利益となります。
スワップサヤ取りは、片方のFX会社は必ず含み損となりますので、ロスカットにならない証拠金で取引に臨む必要があります。
長期保有で利益を追求することから、スワップ付与が安定している業者選びが重要となります。
同時に、スワップのサヤが狭まっては両建てのメリットがなくなりますので、定期的にスワップ差がしっかりあるか確認しなくてはいけません。
資金的には2社でポジションを保有することから、それなりに必要証拠金も用意する必要があります。
つまりスワップサヤ取りは、初心者向きではないことは理解しておいてください。
木曜日スワップ金利3倍デー
これまでにご紹介した手法に比べると、もっとも手軽にスワップポイントを狙いやすいのが本手法です。
まずスワップポイントは毎日発生するものですが、スワップ付与の仕組みである「ロールオーバー」によって、実は曜日ごとに何日分付与されるのか異なります。
原則スワップポイントは、朝7:00にポジションを持ち越すと付与されます。
ここではロールオーバーの詳細は割愛しますが、かんたんにいうと「木曜日の朝7:00にポジションがあれば、金曜日〜日曜日にかけた3日分のスワップポイントがもらえる」仕組みです。
FXトレーダーの間では、木曜日早朝はスワップポイント3倍デーとして注目されています。
(スワップポイント付与スケジュールは日本とアメリカの祝日によって変動します。もし翌週の月曜日が祝日の場合だと、スワップポイント3倍デーは1日早まって水曜日となります。)
ターゲットとする通貨ペアを水曜日のNYクローズ前(水曜日深夜の営業日が終わるまで)に買い、木曜日のマーケットオープン後に決済すれば、最短数分程度の保有でポジション量に見合ったスワップポイントを受け取ることができます。
新興国通貨の注意点と長期運用のコツ
高金利通貨はマイナーな通貨になるほど流通量が少なくなることから、値動きが激しくなりがちです。
スワップポイント狙いの取引にあたり、為替レートの変動でロスカットとなっては元も子もありません。
余裕を持った資金を低レバレッジで運用し、証拠金維持率(有効比率)に注意してスワップトレードを行なうようにしてください。
低レバレッジでスワップ狙いの取引の場合、短期売買ほどレートチェックの必要はないかもしれませんが、2国間の政策金利の動向には、日々アンテナを張って注目するようにしてください。
新興国通貨は値動きが激しいので、とにかくレバレッジを抑えてロスカットリスクを減らし、とにかく安全設計にすることが、長期運用していく上での重要なポイントとなります。
高スワップポイントでおすすめの業者
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これにより長期にかけて、安定的にスワップポイントを受け取ることができます。
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