FXのテクニカル分析において、もっとも基本となるのが「ローソク足」です。
チャートにはラインチャートやバーチャートもありますが、過去の値動きを知るには、4つの価格が分かるローソク足チャートがもっとも優れています。
ローソク足の見方から種類、使い方について解説します。
ローソク足はテクニカル分析のキホン
英語圏ではローソク足をそのまま直訳して、キャンドルチャートと呼ばれています。
FXにはさまざまなテクニカル分析がありますが、ローソク足チャートはテクニカル分析の基本です。
ローソク足は江戸時代に出羽国の本間宗久が発案し、大阪・堂島の米取引で使われたといわれている。現在は日本国内だけでなく、世界中のヘッジファンドや個人投資家の間でもローソク足チャートを中心軸において取引をしている。
Wikipedia
このローソク足チャートは江戸時代に、酒田五法の生みの親でもある本間宗久によって考案されました。
ラインチャートにはない繊細な値動きをローソク足で判断できるため、今や世界の標準的なチャートとして使われています。
テクニカル分析では、今や世界で主流となるローソク足の見方をしっかりと身につけましょう。
ローソク足の見方は “4つのレート” がポイント
ローソク足の見方ですが、ある一定期間の4つのレート(四本値)を、1本のローソク足として表されます。
- 始値(はじめね):その期間内の「最初のレート」
- 終値(おわりね):その期間内の「最後のレート」
- 高値(たかね):その期間内の「もっとも高いレート」
- 安値(やすね):その期間内の「もっとも安いレート」
そしてローソク足は、始値よりも終値のレートが高ければ「陽線」、始値よりも終値のレートが低いければ「陰線」となります。
ローソク足が上下に長いほど、陽線なら上昇、陰線なら下落の方向に勢いがあると考えることができます。
また形状としては「実体」「ヒゲ」のバランスから相場の動きを捉えていき、これによって相場の勢い、強弱を見極めていくことができます。
陽線の見方
始値よりも終値のレートが高いとき、陽線で表されます。
つまり、陽線が続いているときは、上昇局面となります。
終値と高値、始値と安値それぞれが同一レートの場合、ヒゲはなく実体のみで描かれます。
ちなみに上ヒゲは上影線(うわかげせん)、下ヒゲは下影線(したかげせん)とも呼ばれています。
陰線の見方
始値よりも終値のレートが低いとき、陰線で表されます。
つまり、陰線が続いているときは、下降局面となります。
ローソクは白黒で表示されることもありますが、国内では赤と青が一般的です。
※海外では道路の信号と同じく、上昇は緑、下落は赤で統一されているのが主流ですが、逆に日本では上昇が赤、下落が青が多く統一されておりません。
ローソク足が陽線・陰線になるメカニズム
それでは、実際にチャートがどんな動きをして陽線・陰線になるのでしょうか。
「日足」でいうと、以下時間の範囲となります。
米国が標準時間のとき (11月第1日曜日~3月第2日曜日) | 日本時間AM7:00〜翌AM7:00 |
---|---|
(3月第2日曜日~11月第1日曜日) | 米国がサマータイムのとき月曜日:日本時間AM7:00〜翌AM6:00 火〜金曜日:日本時間AM6:00〜翌AM6:00 |
こちらはメンテナンス時間を考慮していませんが、その日の営業日終了時刻前(標準時間ならAM7:00)に5分〜30分ほどにメンテナンスが行われることから、当日の取引時間は24時間よりも若干短くなります。メンテナンス時間は業者ごとに異なり、通常メンテナンス中は取引ができません。
標準時間なら日本時間7:00、サマータイム時は日本時間6:00が、NYクローズ(当日営業日の終了&翌営業日のスタート)となります。
ただし月曜日に関しては、標準時間・サマータイム関わらず7:00からマーケットオープンとなります。
実際のチャートで見ると、このようになります。
2020年3月13日(金)は、マーケットオープンからマーケットクローズにかけて大きく上昇しました。そのため日足では、実体の長い大陽線となりました。
この日足を15分で表示したときのチャートが以下です。
サマータイム時の月曜日以外はAM6:00〜翌AM6:00が1営業日です。ですのでAM6:00のレートが始値、翌AM6:00レートが終値となります。
そしてこの期間内の安値、高値が、日足を構成する安値と高値となります。
最終的には、この日のローソク足は、始値と終値で実体が、安値と高値でヒゲが形成された形となりました。
マーケットでは、とくに金曜日の終値(土曜日AM6:00またはAM7:00)が重要視されています。なぜなら金曜日の終値がその週の週足を作り、翌週のマーケットへ影響を与えるからです。
さらに当月の最終営業日のレートが、月足の陰陽や形状を決定付けます。
週足や月足ができあがったとき、終値によっては直近の転換点を抜いたり、移動平均線がクロスしたりトレンド継続を示唆することから、市場関係者はNY終値を重視しているのです。
ローソク足の種類を見てみよう
ローソク足には、ヒゲと実体の組み合わせごとに、陽線や陰線、十字線があり、これらは足型と呼ばれます。
全部の名前を覚える必要はありませんが、なぜ現在の相場がこのような足型になっているのか、感覚的に知ることが大切です。
陽線の足型
形状 | 名称 | 俗称 | 性質 |
---|---|---|---|
大陽線 | 陽の丸坊主 | 始値が安値で、終値が高値の長い型。 先高の可能性大。 転換点になる場合も。 | |
大陽線 | 陽の大引坊主 | 大陽線で下に短いヒゲがある型。 先高の可能性大。 連続下げ後は特に強気。 | |
大陽線 | 大陽線で上下に短いヒゲがある型。 先高の可能性大。 | ||
大陽線 | 陽の寄付坊主 | 上に短いヒゲが出た、長い陽線。 高値圏で出た場合は要注意。 | |
中陽線 | 上下に短いヒゲがある中陽線。 保ち合い相場を示す。 | ||
小陽線 | コマ (陽の極線) | 上下に短いヒゲがあり、実体も短い型。 方向性がはっきりしない。 | |
下影陽線 | 上ヒゲと実体が短く、下ヒゲが長い型。 先高の可能性大。 | ||
下影陽線 | カラカサ (たくり線) | 長い下ヒゲがある、カラカサのような型。 下落トレンドで出ると、上昇を示唆。 | |
上影陽線 | 上ヒゲが長く、下ヒゲと実体が短い型。 先安の可能性大。 | ||
上影陽線 | トンカチ (塔婆) | 長い上ヒゲがある、トンカチの様な型。 底値圏で出ると、上昇を示唆。 |
陰線の足型
形状 | 名称 | 俗称 | 性質 |
---|---|---|---|
大陰線 | 陰の丸坊主 | 始値が高値で、終値が安値の長い型。 先安の可能性大。高値圏での出現は信頼度が高い。 | |
大陰線 | 陰の大引坊主 | 大陰線で、上に短いヒゲがある型。 先安の可能性大。 | |
大陰線 | 大陰線で上下に短いヒゲがある型。 先安の可能性大。 | ||
大陰線 | 陰の付坊主 | 下に短いヒゲが出た長い陰線。 安値圏で出た場合は、弱い買いサイン。 | |
中陰線 | 上下に短いヒゲがある中陽線。 保ち合い相場を示す。 | ||
小陰線 | コマ (陰の極線) | 上下に短いヒゲがあり、実体も短い型。 方向性がはっきりしない。 | |
上影陰線 | 上ヒゲが長く、下ヒゲと実体が短い型。 高値圏で出現した場合は、下降を強く示唆。 | ||
上影陰線 | トンカチ (塔婆) | 長い上ヒゲがある、トンカチの様な型。 高値圏で出ると、下降を示唆。 | |
下影陰線 | 上下ヒゲが長く、上ヒゲと実体が短い型。 底値圏で出ると、先高の可能性大。 | ||
下影陰線 | カラカサ たくり線 | 長い下ヒゲがある、カラカサのような型。 底値圏で出ると上昇、高値圏では下落を示唆。 |
十字線の種類
十字線は、寄引同時線とも呼ばれます。
形状 | 名称 | 性質 |
---|---|---|
《基本形》 十字線 | 上ヒゲ、下ヒゲともに比較的短く、十字に見える線。 相場がどちらにも動かず、様子見のときに現れやすい。 また、その後相場の流れが変わる可能性がある。 | |
足長同時線 (足長クロス) (寄せ線) | 上ヒゲ・下ヒゲともに長く、売りと買いが等しい状態。 どちらか傾いたほうに大きく動く可能性大。 酒田五法では天底の示唆とされ、安値圏の出現は買いサイン、 高値圏の出現は売りサインを示唆。 | |
トンボ | 下ヒゲが長く、上ヒゲはないか短い同時線。 高値圏の出現は売り、安値圏の出現は買いと転換のサインを示唆。 | |
塔婆 | 上ヒゲが長く、下ヒゲは無いか短い同時線。 高値圏の出現は売り、安値圏での出現は買いと転換のサインを示唆。 | |
一本線 (4値同時足) | 4値(始値・高値・安値・終値)が全て同じ状態。 勢いがなく、停滞している相場。 |
ローソク足の複数線分析
ローソク足は最小でも2本〜3本の組み合わせで、相場の方向性や転換の具体的な動きを捉えていくことができます。
代表的なのが包み線(包み足)やはらみ線(はらみ足)です。
正確なニュアンスは微妙に異なりますが、包み線=アウトサイドバー、はらみ線=インサイドバーとも呼ばれています。
こちらでは、2本の足を使った代表的な2本足分析をご紹介します。
形状 | 名称 | 性質 |
---|---|---|
包み線 (抱き線) | 前の陰陽線とは逆の線が出現して、大陽線または大陰線で前日値幅を完全に包み込んだ形状。 下落基調後、大陽線で包み込んだら買い転換を示唆し、上昇基調後、大陰線で包み込んだら売り転換を示唆。 安値圏での出現は、酒田五法でいう「抱きの一本立ち」で買い、高値圏での出現は「最後の抱き線」で売りを示唆。 | |
はらみ線 | 前の実体の中心付近に、前の実体に収まる(はらんだ)値幅の足となった状態。 包み線と逆で、売りと買いが拮抗していることを示す。 基本は実体内に収まるが、はらんだ線のヒゲが前足の実体を多少超えても、前足のヒゲ内に収まればよいとも判断される。 2本に陰陽の区別はなく、包み線と同じく、高値圏での出現は売り、安値圏での出現は買いと判断されることが多い。 はらんだ線が十字線の「はらみ寄せ線」は強い転換の示唆と判断される。 高値圏で大陽線のはらみ寄せ線は「天井」、安値圏で大陰線のはらみ寄せ線は「底」と中長期で重要な転換となることも。 | |
かぶせ線 (被せ線) | 大陽線が出現後、大陽線の終値(または高値)よりも高く始まったが、終値が大陽線の実体の中に入り込んで引けた大陰線。 大陽線の中心以下での陰線は下落転換を示唆。高値圏で出現したら「一点売りの急所」。 | |
切り込み線 (切り返し線) | 大陰線が出現後、売り方の優勢で下げたものの、下げ渋って反転した大陽線の終値が、前の足の大陰線の中心より上で終わっている形状。 かぶせ線の逆パターン。 前の足までの動きから反転しての急上昇は相場の変化を示唆し、安値圏で出現したら買いを示唆。 | |
あて首線 | 陰線が出現後、下放れて始まり、その後は上昇を見せて陽線で終わるものの、終値は前の安値以下で止まった形状。 買い方の反撃は力不足と判断される。 高値圏での保ち合いや下げ相場の初期で出現したときは下げの可能性が高い。戻り売りの急所。 | |
入り首線 | あて首線がさらに伸びて前日の陰線の値幅内まで食い込んだが、前の陰線の実体の中心値より下で終わっている形状。 強い反撃開始だとはまだ言えない状態。 下げ相場初期や中盤に出現したときは、戻り売り・追撃売りの急所。 | |
差し込み線 | 入り首線の陽線が長くなった形で、それでも前の陰線の中心値以下で終わっている形状。 「買い方の反撃もここまで」を意味するケースが多く、下げ相場で出現すれば、戻り売り・追撃売りの急所となることが多い。 | |
たすき線 | 陰線が出現後に高く始まり終値が前足の高値以上となるか、陽線後に安く始まり終値が前足の安値以下となる場合の形状。 決定的な転換パターンではないが、目先は逆向かい方針で対処するとうまくいくケースが多い。 | |
出会い線 | 前の足から直近始値が上放れ(下放れ)て始まったものの、終値が前の終値と同じになった形状。 前の勢い以上で始まったが反対勢力の逆襲に合ったと判断され、相場の方向性にヒビが入りつつあると観測されることが多い。 左のパターンが売り転換、右のパターンが買い転換を示唆。 | |
行き違い線 (振り分け線) | 終値が出合っている出合い線に対し、行き違い線は始値が同じで終値がまったく行き違いになっている形状。 上げ相場の中での前日陰線・当日陽線の行き違い線出現は、目先振るい落とし完了での一段高と判断される。 下げ相場の中での前日陽線・当日陰線のき違い線出現は戻り一巡での一段安と判断される。 | |
毛抜き天井 | 前日高値と当日高値が同じ水準で「毛抜き」に形が似ていることから「毛抜き天井」と呼ばれている。 他にもいろいろな組み合わせがあるが、いずれも高値行き詰まりで目先天井打ちの可能性を示唆すると判断される。 | |
毛抜き底 | 毛抜き天井とは逆で、前日安値と当日安値が同じ水準。 前の足が大陰線、直近足の安値がその前の安値と並び、新安値を切れずに底堅さが見られる場面で急反発するケースが多い。 長期下落の後の大底パターンとして出現する。 |
2本を1本にしたときの値動きに注目!
包み線や切り込み線、かぶせ線は、2本のローソク足の値動きをしっかり見ると、重要な転換を示す注目すべき相場である可能性があります。
それぞれ2本で示されるローソク足ですが、1本のローソク足にしたときの例をご覧ください。
以下はどちらも包み線です。
それぞれ下影陽線、上影陰線となり、それまでのトレンド転換となりうる形状であることが分かります。
切り込み線、かぶせ線も同様に、切り込み線が安値圏で出現したら「買い転換」、かぶせ線が高値圏で出現したら「売り転換」を示します。
ローソク足の期間について
先ほどもお話しましたが、ローソク足は、ある一定の期間を表します。
例えば、「30分足であれば、その30分の間の値動きが表される。」という仕組みです。
日足であれば、ローソク足1本は1日を表す、ということになります。
FXでは、このローソク足の期間を1分足、5分足、10分足、30分足、60分足、4時間足、8時間足、日足、月足などと変更して、チャート分析を行います。
ローソク足の期間ですが、各トレーダーごとの手法によって、個人ごとに異なります。
しかし共通して言えるのは、長期的な値動きの傾向は、日足や月足でトレンドを見つつ、短期的な値動きの傾向は5分、30分、60分などの短期間のローソク足でチェックします。
FXは個人によって売買のタイミングが異なるため、実はチャート分析は、プロのやり方をすれば必ず上手くいく、というものではありません。
最初のうちは、ローソク足の期間を何度も変えてみて、自分にはどのような見方が合っているのか、追求してみてください。
そうして繰り返しチャートを眺めていると、自分に合ったローソク足の期間がきっとみつかるはずです!
ローソク足の使い方は?
ローソク足の包み線、抱き線といった使い方をより体系化したものが、酒田五法とプライスアクションです。
酒田五法とは、江戸時代の天才相場師、本間宗久によって考案された、ローソク足の並びを基本としたテクニカル分析のひとつです。
値動きの傾向は「5つの法則」からなるとして、酒田五法が編み出されました。
プライスアクションは欧米のチャート分析手法で、直近の高値・安値に注目してより売買タイミングを捉えようとする考え方であり、海外だけではなく日本でも絶大な人気を誇ります。
今日ではこれらの分析手法が、売買タイミングを計るテクニカル分析の基礎として定着しています。
またローソク足チャートでは、テクニカル分析の基本である、移動平均線(SMA)とも組み合わせて頻繁に利用されます。
FXクイックナビではそれぞれ詳しく解説していますので、コツコツと学んでステップアップしていきましょう!
各社のチャート機能は、こちらのページで詳しくご紹介しています。
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