ディナポリ・チャートの考案者であるアメリカの投資家、ジョー・ディナポリ氏が世に知らしめたのが、このDMAです。
トレンドを判断するテクニカル指標には多くの種類がありますが、やはりメジャーなのは移動平均線ではないでしょうか。
移動平均線といえばSMA(単純移動平均線)やEMA(指数平滑移動平均線)が有名ですが、このDMAはSMAベースの移動平均線です。
西原宏一氏、田向宏行氏、ひろぴー氏といった有名トレーダーにも使われているDMAをご紹介します。
DMAとは?
DMAはDisplaced Moving Averageの略で、直訳すると「ズラした移動平均線」の意味があります。

移動平均線にはいくつか種類があり、一般的な移動平均線は単純にMA(Moving Average)やSMA(Simple Moving Average)と呼ばれています。
SMAの算出はかんたんで、「過去n日間の終値を平均化させた」だけのシンプルなものです。
DMAはなにも特殊なことをしている訳ではなく、このSMAを未来に先行させた移動平均線となります。
DMAでは短期線、中期線、長期線として3本を使いますが、それぞれどのくらい先行させるかが決まっています。なぜならディナポリ氏が何年もの研究の結果で編み出されたものだからです。
- 短期線:3×3DMA(過去3本分のローソク足で計算したSMAを、ローソク足3本分を先行。)
- 中期線:7×5DMA(過去7本分のローソク足で計算したSMAを、ローソク足5本分を先行。)
- 長期線:25×5DMA(過去25本分のローソク足で計算したSMAを、ローソク足5本分を先行。)
DMAの見方
一部のサイトには「DMAはレンジ相場には不向き」とか「逆張りでの使い方」と記載されていますが、これは誤りの解説であると言わざるを得ません。
そもそもDMAを考案したディナポリ氏のスタイルは、「マーケットの大きな流れを見つけて、その方向に押し目買い・戻り売りを繰り返す手法です。
つまり手法はトレンドフォロー(順張り)です。
ディナポリ・チャート自体はチャートをどの期間にしても使えますが、これを使うトレーダーは原則、デイトレード〜スイングトレードであるということです。
なおDMAだからと特殊な見方はなく、一般的な移動平均線と基本は同じことは変わりません。
- 上昇する移動平均線の上でローソク足が上昇していれば、上昇トレンド。
- 下降する移動平均線の上でローソク足が下降していれば、下降トレンド。
- 期間の短いDMAが期間の長いDMAを上抜いたら買い。
- 期間の短いDMAが期間の長いDMAを下抜いたら売り。
このほか、一般的な移動平均線の使い方はグランビルの法則をご覧ください。
グランビルの法則とは、移動平均線やゴールデンクロス・デッドクロスを考案したジョセフ・E・グランビルによって編み出されました。もともと株で使われていたグランビルの法則ですが、FX取引でも利用ができます。逆に言えば、FXで使い方をマスタ[…]
そしてDMAとして先行させることで、以下のメリットがあります。
- 相場のトレンド、方向性が「n期間」分、早くわかる。(nはローソク足の本数、日足なら3日、5日)
- 先行させることで「ちゃぶつき」の回避に役立つ。
- ローソク足と重なりにくいため、ローソク足の動きが見やすく判断しやすい。
先にズラすことで方向性が見やすくなり、ローソク足のパターン特定にも役立ちます。
ちゃぶつきについては下記で説明します。
「ちゃぶつき」をならし、トレンドを判断しやすい
たとえば、相場が強い上昇トレンドが続いているとしましょう。
強いトレンドが継続していれば、ローソク足はSMAを下回ることなく、上昇していきます。
しかし強いトレンド中であっても、一時的に横ばいになったり、少し下落するケースはよくあります。
こんな場面では「ちゃぶつき」といい、通常のSMAだとローソク足と交互に絡み合うような動きになってきて、見極めにくくなってきます。
しかしトレードでは、このままトレンドは継続するかが見極めで重要になってくると思います。
ここで有効的とされるのが、3本のDMAのうち短期間の3×3DMAです。
違いはSMAとDMAを見比べると分かりやすいです。
コロナショックで大きく変動した2020年2月〜3月ですが、米ドル/円は大きなV字で推移していますね。
下落から上昇に転じて上昇中に、3SMAを割り込みちゃぶついているのが確認できます。

一方で3DMAを見ると、ローソク足が3DMAにタッチもせずに割り込んでいません。

このときはあまりにも大きな変動だったので判断に難しい場面といえますが、高値で買いポジションを持っていれば、3DMAならそのままホールドする判断ができたかも知れません。
ちょっと極端な例を出しましたが、このようにちゃぶついてきた3SMAでは、ローソク足を下回る場面もよくあります。
しかし先行させた3×3DMAでは下回らない場面が多いことで、「ちゃぶつきの回避」に有効的とされています。
移動平均線のちゃぶつきでは、連続で損失を出すというよりも「この一時的なダマシのシグナルを示すもの」という、ちょっと違うニュアンスであると捉えてみてください。
それではチャートにDMAを設定する方法をご紹介します。
FX業者の一般的なチャートでは、移動平均線の期間を任意で移動できないため、基本的にはDMAを使うことができません。
そのため現状、MT4かTradingViewを使うのが主流です。
TradingViewでDMAを設定する方法
まずはTradingViewのチャートにアクセスしてください。
チャートが表示されたら、上部の「インジケーター」から「MA(移動平均)」を選択します。

インジケーターの設定をクリックし、パラメーターを変更します。



完成例が以下です。
なおTradingViewの無料アカウントの場合、インジケーターは最大3つまでしか表示できません。
そのため「公開ライブラリ」のDMAを使えば、追加でテクニカル指標も表示させたりできます。

こちらがMACDとストキャスティクスも表示させた例です。ログイン状態でスマホでアクセスすれば、アプリでも閲覧可能です。
※公開ライブラリはログインしなければ利用できません。無料アカウントを作成してログインすれば、利用可能になります。
MT4でDMAを設定する方法
以前のMT4の定型チャートには「Dinapoli」があり、それを選択するだけで3本のDMAを設定できたのです。
しかし現在のMT4では、残念ながら定型チャートのデフォルトからDinapoliがなくなってしまいました。
そのため手動でDMAを設定する必要がありますが、それほど難しくはありません。
MT4を起動したら、ナビゲータのトレンドにある「Moving Average」をチャートにドラッグ(またはダブルクリック)します。

「期間:3」「表示移動:3」でOKをクリックすれば短期線を描画できます。

※デフォルトで問題ないですが、移動平均の種別はSimple、適用価格はCloseであることを確認してください。
同様の手順でMoving Averageをドラッグし、「期間:7」「表示移動:5」で中期線を描画します。

最後に「期間:25」「表示移動:5」で長期線を描画できます。

こちらが完成形です。
この状態で「チャート」→「定型チャート」「定型チャートとして保存」と進んで任意の名前を付けておけば、いつでもこの設定でチャートに読み込ませることができます。
DMA定型チャートの無料ダウンロード
ちょっとめんどくさいという方のために、かんたんに設定できるように、DMAの定型チャートを作成しました。黒背景・白背景をご用意しています。
圧縮しているため、ダウンロードしたファイルの拡張子はzipとなっています。
解凍したら下記手順で、定型チャートのテンプレートをインストールしてください。
上部メニューの「ファイル」→「データフォルダを開く」と進み、「templates」内に拡張子が「.tpl」のファイルをドラッグしてコピーしてください。
MT4を再起動すれば定型チャートに追加されていますので、選択すればチャートに反映されます。
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