ヘッドアンドショルダー(三尊天井・逆三尊底)の見方・使い方

ヘッドアンドショルダーの見方・使い方

チャートにサポートライン、レジスタンスラインを引いてトレンドライン分析をするようになってくると、「ヘッドアンドショルダー」に興味を持つ方も出てくるのではないでしょうか。

ヘッドアンドショルダーが出現すれば、強力な相場の反転を示唆してくれます。

相場の天井・大底での売買判断に役立つ、ヘッドアンドショルダーについて解説します。

目次

ヘッドアンドショルダーとは?

ヘッドアンドショルダーとは、天井圏に現れるチャートパターンのひとつです。

チャートパターンの形状が人間の上半身(頭、左肩、右肩)に見えることから、ヘッドアンドショルダーと呼ばれています。

なお日本の古来から伝わる酒田五法にも同様の分析手法があり、仏像が三体並ぶように見えることから、さんぞん天井、逆三尊底とも呼ばれています。

大底圏に現れるチャートパターンは、ヘッドアンドショルダーズ・ボトムと呼ばれ、それと区別して天井圏の場合は、ヘッドアンドショルダーズ・トップとも呼ばれたりします。

このヘッドアンドショルダーですが、
「3度上値(下値)更新をチャレンジをしたが、上値(下値)を更新できなかった。」
というチャートパターンであることから、天井圏(大底圏)であることを示す力は、ダブルトップやダブルボトムよりも強く、高い信頼度であると判断されています。

ヘッドアンドショルダーズ・トップの見方

ヘッドアンドショルダーズ・トップは、天井圏での「3つの山」の形が目印となります。
3つの山のうち、頭が左右の肩よりも高いことが、このヘッドアンドショルダーズ・トップの特徴となります。

なお頭と両肩、すべての山の高さが同じであった場合は、トリプルトップとなります。

売りサイン

ヘッドアンドショルダーズ・トップ
ヘッドアンドショルダーズ・トップ

ここで上図のネックラインに注目してみてください。

B、Dを結ぶネックラインはサポートラインとなりますが、❶でブレイクアウト後はGでレジスタンスラインの反転ポイントとなります。
天井圏からのトレンド転換を示唆する重要なラインとなりますので、しっかりと覚えておいてください。

ネックラインを下に抜けたタイミングをもって、ヘッドアンドショルダーズ・トップのパターンは完成となり、❶のブレイクアウトで買いサインとなります。

❶でネックラインを突破後、FからGにかけた動きをリターンムーブといい、基本的にはこの調整の動きは起こりやすいです。

またFまで下げたが、下落圧力が強いことでレジスタンスラインとなるネックラインのGまで上昇せずに下落することも考えられます。

もちろん❶の突破よりもGの反発で売りを仕掛けた方が信頼性は高いといえますが、リターンムーブがなくGの位置まで戻らない可能性もありますので、まずは❶の突破で売りを仕掛けて、Gで反転したら売り増しをする戦略ができます。

なおF〜Gでリターンムーブが発生したものの、Gを上にブレイクアウトしたらトレンド転換とはならずに元の上昇トレンドに戻る可能性も出てくるので、再び戦略を考える必要が出てきます。
このGを上抜けてチャートパターンの形成が失敗したことを「完成し損じたヘッドアンドショルダーズ・トップ」といいます。

そして、ネックラインは必ずしも水平でなければいけないルールではないため、斜めのヘッドアンドショルダーになることもよくあります。

斜めのヘッドアンドショルダーズ・トップ
斜めのヘッドアンドショルダーズ・トップ

ネックラインが斜めになっても、見方は水平の場合と共通です。

ヘッドアンドショルダーズ・ボトムの見方

ヘッドアンドショルダーズ・ボトムは、通称「逆ヘッドアンドショルダー」とも呼ばれています。
また「逆三尊底」ともいいます。

ヘッドアンドショルダーズ・ボトムは、大底圏での「3つの谷」の形が目印となります。
3つの谷のうち、真ん中の谷が深いことが、このヘッドアンドショルダーズ・ボトムの特徴となります。

買いサイン

ヘッドアンドショルダーズ・ボトム
ヘッドアンドショルダーズ・ボトム

見方は、ヘッドアンドショルダーズ・トップを逆にした考え方で問題ありません。

すべての谷の深さが同じであった場合は、トリプルボトムとなります。

ヘッドアンドショルダーとなる心理を解説

どのような投資家の心理でヘッドアンドショルダーとなるのでしょうか。

斜めのヘッドアンドショルダーズ・トップを例に、順番を追って説明していきます。

まず現在の相場は、明確な上昇トレンドとして考えていきます。

ヘッドアンドショルダーズ形成前の上昇トレンド

Bまで下落した場合、ここで反転すればサポートラインとなりますが、ここを下抜けすればトレンド転換の可能性が出てきます。
しかし相場は上昇トレンド継続中ですから、これまでの見方に変化はなく、押し目買いのポイントとなります。

A高値からBまで下落した動き。反転したらサポートラインとなる。

Bで反転し、Aの直近高値を超えて、Cまで上昇して新高値をつける動きです。
まだまだ上昇トレンドですから、トレンドの変化に目を向ける余地はありません。

Bで反転し、Cまで上昇して新高値をつける動き

しかしCからの下落後、サポートラインを下抜けてDの位置で下げ止まりました。
この地点では、それまでの強いトレンドに修正が入り、今後はトレンドが変化してくることだろうと考えられてきます。
それまでの上昇目線なら、いったんここで手仕舞いしておいてもいいでしょう。
もしDで下げ止まらず、直近安値となるBの水平ラインを下にブレイクしてきたら、本格的な下降トレンドとして捉えることができます。

Cの新高値で反転後、サポートラインを下抜けする動き

Dで下げ止まり後、元々サポートで機能していたラインにレートが迫った動きです。
もともとサポートラインとして機能していたラインは意識されやすいので、Eは意識されやすいポイントとなります。
Eより上で下に反転しても、Cに届かなければ高値更新できなかったことになり、この時点で横ばいのトレンドになったと判断できます。
EないしEの下で反転すれば、下落の圧力が強いことを示します。もしEで反転したら、買いポジションは決済すべき地点といえます。

Dで下げ止まり後、元々サポートで機能していたラインにレートが迫った動き

新しいサポートラインとなったネックラインを下にブレイクしたら、ヘッドアンドショルダーズ・トップの完成となります。
❶のブレイクが売りサインです。

Eで反転下落後、ネックラインをブレイクしてヘッドアンドショルダーズ・トップの完成となる

Fで反転上昇し、Gのネックラインまで戻るリターンムーブは意識されやすいポイントです。
またC-Fの高値を結んだラインに注目してもいいでしょう。

Fで反転上昇し、Gのネックラインまで戻るリターンムーブ

Gで反転したら、C-F-Gと高値を切り下げてきたことになりますから、戻り売りを仕掛けるチャンスとなります。
ヘッドアンドショルダーズ・トップの利食い目標ですが、Cからネックラインまでの高さを測り、それをネックラインから下の位置を利食い目標に定めます。

ヘッドアンドショルダーズ・トップの利食い目標

つまり、このHの位置で調整が起こりやすいというわけですね。

各社のPC用チャートのトレンドライン描画では、縦方向でも描画することができますので、描いた線をコピーすれば利食いの目標を定められます。

本来の使い方とは違いますが、かんたんに利食い目標を引くなら、ネックラインと平行にチャネルを引くとわかりやすいかもしれません。

実際のチャートでヘッドアンドショルダーを見てみよう

こちらは米ドル/円の月足チャートです。

米ドル/円のヘッドアンドショルダーズ・ボトムとヘッドアンドショルダーズ・トップ
参考チャート:GMO外貨 [米ドル/円 月足]

大きな期間の流れを表す長期チャートにおいて、きれいな形状のヘッドアンドショルダーはなかなか出現しにくいです。

ローソク足のヒゲがネックラインを割っている部分もありますが、戦後最高値の75円台からの125円台、そして98円台へ下落した局面において、ヘッドアンドショルダーズ・ボトム、ヘッドアンドショルダーズ・トップが出現しているのが確認できます。

ヘッドアンドショルダーのポイント

ヘッドアンドショルダーは、相場が反転する天井と大底で出現するチャートパターンですので、頻繁に発生はしません。
信頼性の高い月足や日足は信頼性が高いですが、相場転換となる局面でしか出現しないからです。

また、戻り売りや押し目買いのタイミングで、レートが反転して再びネックラインを抜けるような状況もありますが、このような場合は天井や大底ではなかった可能性が高いといえます。

レンジなどの一定幅で推移する保ち合いのチャートパターン(ペナント、フラッグなど)の多くは、小休止した相場が再び動き出すタイミングを狙った手法となります。

対して、このヘッドアンドショルダーやダブルトップ・ダブルボトムは戻り売り、押し目買いを狙う手法ですので、こちらのほうが取引における信頼性が高いとされています。
ですからFX初心者の方は、戻り売りや押し目買いのタイミングを積極的に探すことをおすすめします。

注意点ですが、ヘッドアンドショルダーで天井・大底を見極める場合、短い期間だとダマシも多くなりがちですので、チャート分析の際には、日足など、長めの時間足で分析するといいでしょう。

各社のチャート機能は、こちらのページで詳しくご紹介しています。

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G.comチャートでヘッドアンドショルダー出現時にトレンドラインを描画
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