WMA(加重移動平均線)の見方・使い方について解説します。
テクニカル指標名 | タイプ | 分析適正 |
---|---|---|
WMA(加重移動平均線) | トレンド系・時系列 | 順張り |
WMAは海外でメジャーな移動平均線
- 移動平均線の種類
- SMA(Simple MA, 単純移動平均線)
- EMA(Exponential MA, 指数平滑移動平均線)
- WMA(Weighted MA, 加重移動平均線)
- GMMA(Guppy Multi MA, 複合型移動平均線)
WMAは知名度こそSMAやEMAに劣るものの、海外ではよく使われている移動平均線です。
SMAは過去のレートの平均値を表しますが、より直近の値動きを重視したのが、このWMAとEMAです。
以下グラフのように、WMAとEMAは「直近の価格を重視してウエイトを置いている」点では同じですが、WMAはEMAよりも過去レートを軽視しているので、移動平均線の動きも異なってきます。
投資の世界では、この3つの移動平均線がもっともメジャーです。この3大移動平均線をしっかり押さえておけば、場面によって使い分けすることもできますね。
WMAの計算式
WMAでは、重み付けした期間を掛けて合計することで計算できます。
$$WMA=\frac{価格1×n+価格2×(n−1)+⋯価格n}{\frac{n×(2+1)}{2}}$$
$$n=期間$$
例えば以下を例にしてみましょう。
日付 | 価格 | 重み |
---|---|---|
4月1日 | 100円 | $$\sf{\frac{5}{15}}$$ |
4月2日 | 100.2円 | $$\sf{\frac{4}{15}}$$ |
4月3日 | 100.5円 | $$\sf{\frac{3}{15}}$$ |
4月4日 | 101円 | $$\sf{\frac{2}{15}}$$ |
4月5日 | 102円 | $$\sf{\frac{1}{15}}$$ |
この5日間でWMAを計算すると、このようになります。
$$\sf{(100×\frac{5}{15}) + (100.2×\frac{4}{15}) + (100.5×\frac{3}{15})+(101×\frac{2}{15}) + (102×\frac{1}{15})=100.41円}$$
WMAとSMA、EMAの違いを見てみよう
EMAは、直近の価格を重視、過去の価格を軽視して平均化されていますが、WMAは、直近の価格を重視し、過去の価格は徐々に減らすのが特徴です。
以下チャートで、3つの移動平均線の動きを見ていきましょう。
SMA(赤色)、EMA(青色)、WMA(黄緑色)すべて21日で設定しています。
それでは、3つの移動平均線の特徴を見ていきましょう。
なめらかさ
WMA < EMA < SMA
線はなめらかなほど大きな上昇・下降トレンドの判断ができ、シグナルの信頼性も高まります。
直近の値動きへの反応
SMA < WMA < EMA
EMAは振れ幅が少なく、直近の値動きに早く反応するため、トレンドの転換点を見る上では優位性があります。
値動きへの追従
SMA < EMA < WMA
WMAは緩やかなトレンドを形成している相場では、もっとも価格に追従して推移します。
価格に合わせてきれいにWMAが追従していれば、トレンドが形成されているとの見方ができます。
SMA | 長所 | 長期的なトレンドの方向性を見るのに有効的。 |
---|---|---|
短所 | 直近の値動きによる売買サインが遅れがち。 | |
EMA | 長所 | SMAよりも、直近の値動きに早く反応する。 |
短所 | 大きな変動のときやレンジ相場のときは、ダマシが多い。 | |
WMA | 長所 | 直近の値動きを重視していて、過去の値動きを軽視している。 緩やかな上昇・下降局面に有効的。 |
短所 | 大きな変動のときやレンジ相場のときは、ダマシが多い。 |
WMAの見方と使い方を知ろう!
移動平均線の傾きでトレンドの傾向や強さを判断します。
そして、短期線と長期線をのクロスを売買サインとして捉えていきます。
有名な売買サインであるゴールデンクロスやデッドクロスですが、移動平均線であれば全て共通ですので、どの移動平均線も同じ見方ができます。
移動平均線を使って売買タイミングを捉える手法にグランビルの法則があります。
グランビルの法則を使うことで、押し目買い、戻り売り、ブレイクアウト、短期的な反転を狙ったトレードに役立てることが可能です。
それぞれ以下記事で解説していますので、合わせてご覧ください。
WMAの注意点は?
相場が大きく乱高下して変動している時や、横ばいに動いている時は、変動幅が大きいWMAはSMAやEMAよりもダマシが多くなりがちです。
早い段階で売買サインを知ることができるWMAですが、このような相場においては、価格に追従する性質はデメリットとなり、効果的な利用が難しくなりますので注意も必要です。
言い換えれば、トレンド転換を早く捉えられることが、WMAならではの特徴なのです。
例えば、スイングトレードをするときは大きな方向性を探っていきますが、中長期の足種(4時間足、日足など)でローソク足とWMAのクロスに注目すれば、SMAやEMAよりも早く、大きなトレンド転換を見極めることができます。
短期の足種ならSMA、長期の足種ならWMAと、時間軸ごとに使い分けて短所を補うような使い方をすることも可能です。
【まとめ】WMAの売買サインなど
基本的な使い方をまとめました。
- 上昇しているWMAよりも、レートが上で推移していれば上昇トレンドであり、WMAをサポートライン(支持線)として見ることができる。
- 下降しているWMAよりも、レートが下で推移していれば下降トレンドであり、WMAをレジスタンスライン(抵抗線)として見ることができる。
- 緩やかに上昇・下降を続けている相場のときに効果を発揮する。
- 短期線が長期線を下から上に抜いたら、買いサイン(ゴールデンクロス)。
- 短期線が長期線を上から下に抜いたら、売りサイン(デッドクロス)。
各社のチャート機能は、こちらのページで詳しくご紹介しています。
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