FXは元本や利益が保証された金融商品ではありません。
相場から日々収益化していくにあたり、どのようなリスクが存在するかご存知でしょうか。
またリスクを防ぐには何をすべきか、徹底してリスク管理を行う必要があります。
できる限りリスクを避けるためには、しっかりとリスクを認識し、事前に対処しておくことが必須となります。
それでは、FX取引に存在する5つのリスクについて詳しく解説します。
FXには5つのリスクが存在する
まずはFXに存在するリスクを見ていきましょう。
- 価格変動リスク
- レバレッジリスク
- 流動性リスク
- スワップ金利変動リスク
- オンラインリスク
それぞれどんなリスクなのか、解説していきます。
価格変動リスク
価格変動リスクは、FXの損益そのものであるとも言えるでしょう。
相場の状況によっては、短期間で大きく価格が変動する場合もあります。為替レートが予想外の方向に大きく動けば、為替差損が発生します。
有事(戦争、紛争、災害)や政策金利の変更時、経済指標発表時、政府の発言などが価格変動の要因となります。
FXでの収益化には価格変動することが必須ですが、どんな失敗で損失を出しやすいのか見てみましょう。
- 変動リスクの高い時間、曜日を避けていない
- 逆指値注文を入れていない
- 短期のチャートしか見ていない
- スワップポイントだけを考えてトレードしてしまっている
変動リスクの高い時間、曜日を避けていない
24時間取引できるメリットのあるFXですが、時間帯や曜日ごとに値動きの特徴があります。
また時間や曜日が切り替わりるタイミングで、思わぬ変動をすることがあるため、初心者はこういった局面を避けてトレードするのが賢明です。
まずは三大外国為替市場の時間をご覧ください。
- 東京時間 → 9:00〜17:00
- ロンドン時間 → 17:00〜翌2:00
- ニューヨーク時間 → 22:00〜翌6:00
- 東京時間 → 9:00〜17:00
- ロンドン時間 → 16:00〜翌1:00
- ニューヨーク時間 → 21:00〜翌5:00
1年間で期間の長いサマータイム時を例に解説します。
東京市場のうち、コアタイムは9:00〜15:00となります。
この東京時間の日中は、1日のなかでもっとも穏やかな値動きをしやすい特徴があり、初心者におすすめな時間帯です。
東京市場終了後、16:00にロンドン株式市場がスタートします。
注意が必要となるのが、ロンドン株式市場スタート前です。
15:00(ロンドン現地時間7:00)からロンドンのトレーダーが動き出すのですが、ちょうどこのときは、東京株式市場が終わってボラティリティが低い時間帯です。
それまでの軟調であったトレンドから、急に反対方向に相場が大きく動き出すことも多く、ロンドン株式市場スタート時はダマシも多いです。
16:00頃になるとトレンドが生まれやすく、17:00以降にはそのトレンドが逆転することもあります。
そのためデイトレードの場合、いったんロンドン市場が始まる15:00の前に決済しておけば、それまでの含み益を失うこともありません。
ニューヨーク時間の21:00になると、ニューヨークのトレーダーも参入し始めて、相場は1日でもっとも活発に動く時間帯に突入してきます。
そのためニューヨーク時間でのトレードは、少しづつFXに慣れてきてから挑戦するのがおすすめです。
一週間のスケジュールとしては、月曜日の朝はオセアニア市場が動いている6:00から取引ができ(業者によっては7:00)、金曜営業日のNYクローズとなる土曜日の5:00まで取引が行えます。
問題となってくるのが、週末のFX取引を行えない土日です。
土日に世界を揺るがす有事があれば、月曜日早朝はそれまでのレートから大きくかい離してスタートしやすい特徴があります。
この値動きのことを窓開け(ギャップ)といい、金曜日NYクローズから月曜日NZオープンがもっとも窓開けしやすいタイミングとなります。
そのため数日の保有であっても、週末を跨がずに金曜日で一度決済しておけば、想定外の変動リスクを避けることが可能です。
逆指値注文を入れていない
寝ている間に為替レートの変動があり、予想の反対方向に動いてしまうこともあります。
そのため逆指値注文を入れておくことで、予期せぬ価格変動リスクに対処することができます。
こちらはフィボナッチの38.2%で押し目買い(◯の位置で買い)を考えたとき、逆指値注文の位置をフィボナッチの少し下で検討する例です。
予想と反対に動いても損失を最小限に留められるようにすることは、プロも上級トレーダーも実践していますので、初心者も必ず逆指値注文を事前に発注するようにしてください。
もちろん利益が乗ってきたときでも、急騰・急落によってそれまでの含み益を失わないために、逆指値注文を入れて最低限の利益を確保しておくことも大切です。
以下は直近高値をブレイクしたら、直近安値下で逆指値注文の価格を修正していくイメージの画像です。
ポジションを翌日に持ち越す場合は、必ず逆指値注文で守備を固めておくようにしてください。
短期のチャートしか見ていない
短期トレードでなかなか上手くいかない方は、長期のチャートでトレンドの確認をしているか再確認してみてください。
たとえデイトレードであっても、長期のトレンドを把握しておくことは、トレードにおいてもっとも基本的なことです。
たとえば日足、4時間足では明確な上昇トレンドで買いのサインが出ているが、30分足で売りを仕掛けたら、その後大きく上昇してしまったケースです。
上位足種が買いなら、下位足種もタイミングを待って買いで仕掛ける方が自然ですよね。
現在のトレンド、これから先のトレンドというのは、将来への期待値だけではなく、過去の重要なレートの影響も強く受けます。
ですから上位足種のトレンドや重要な転換レートは、短期トレードでも忘れることなく把握しておきましょう。
スワップポイントだけを考えてトレードしてしまっている
低金利通貨を売り、高金利通貨を買うことで得られるスワップポイントを得る目的でFXを始める方もいます。
近年ではトルコリラ/円、メキシコペソ/円、南アフリカランド/円がスワップ狙いの通貨ペアとして人気がありますが、新興国通貨は不安定な値動きを見せやすい特徴があることも理解しておきましょう。
いくらスワップポイントが高い通貨ペアであっても、逆方向にトレンドがある状態なら、いくらスワップポイントで小さな金利差益を積み重ねても、為替差損によって大きな含み損を抱えてしまいます。
つまりスワップポイントだけを考えて保有しては、元も子もないということ。
あくまでスワップポイントは「棚ぼた」と考え、もしスワップポイント狙いでトレードをするなら、スワップポイントの高さで通貨ペアを選ぶのではなく、中長期の保有であってもトレンド方向であるかが重要となります。
レバレッジリスク
FXはレバレッジを利用した金融商品です。証拠金を担保として預け入れることで、元手以上の資金を運用することができる仕組みです。
これをレバレッジ効果といいますが、小さな資金により大きな利益を得ることが可能性である反面、逆に元手を失って損失となる可能性もあります。
証拠金ギリギリで取引をするとレバレッジは上限の25倍に近づき、わずかな値動きでも損切りできなければ強制ロスカットのリスクが高まります。
つまり「逆指値注文を入れていない」&「高レバレッジ」の2つが揃うと、退場リスクが極めて高くなります。
退場となってしまうトレーダーの多くはギャンブル的なトレードをする傾向にあり、証拠金と取引量のバランスを軽視している可能性が高いのです。
資金効率を求めるほどわずかな変動で元手を失いやすいので、スキャルピングかデイトレードで始めるなら、最大でもレバレッジは10倍以内に留めておきましょう。
レバレッジリスクを避けるには、多めに入金するか取引数量を減らすことで、短期売買でロスカットになるリスクを抑えられます。
多くの元手を用意するのが大変なら、1,000通貨対応のFX業者を選ぶことで、レバレッジ問題を解決することができます。
- 1,000通貨(0.1Lot)の保有でレバレッジは2倍
- 5,000通貨(0.5Lot)の保有でレバレッジは8倍
- 10,000通貨(1Lot)の保有でレバレッジは15倍
入金額と保有ポジションの割合からレバレッジの目安を知りたい方は、以下ページの簡易計算ツールをご利用ください。
このように元手が10万円でも、取引量を10,000通貨以内に抑えればレバレッジをコントロールしやすいことが、1,000通貨対応業者の特徴です。
また短期トレードと中長期トレードを両方実践するなら、最初から2社の口座を使い分けることでレバレッジの管理がしやすくなります。
最初から分けておけば、仮に短期ポジションの含み損が大きく膨らんでしまっても、中長期で含み益となっているポジションに影響することはありません。
つまり、レバレッジを下げる必要がある中長期トレード用口座はレバレッジを3倍以内にしておき、もう一方の短期トレード用口座で積極的に利益を狙っていくことができます。
ともあれレバレッジによるリスクを減らすには、1,000通貨対応口座を用意し、取引量を上げすぎないことが重要となります。
もしレバレッジのコントロールが難しそうと思うならば、固定レバレッジから選べるFX業者を選択肢として検討してもいいでしょう。
流動性リスク
為替取引の中心であるインターバンク市場(外国為替市場)は、極めて取引量があることで流動性も高いのが特徴です。
流動性が高いということは、買いたいときに買えたり、売りたいときに売れるということですね。
例えば、マイナー通貨の発行国で有事が起こり、流動性が低い状況に陥いると、決済したくてもできないという状況になってしまうことも考えられます。
私たちの国の通貨「日本円」は、米ドル、ユーロに次いで世界第3位の流通量を誇る通貨ですから、なかなかこのような状況は理解しがたいことかもしれません。
しかし新興国のなかには、自国通貨の信用がないことで米ドルが日常的に使われている国もあります。
こういった背景を考えると、より流動性リスクを捉えやすくなります。
為替の世界では米ドルが中心で、ユーロ、日本円を加えた3つが「三大通貨」で、これらの組み合わせである「ユーロ/米ドル」「米ドル/円」が流通量が多く、流動性リスクが低い通貨ペアとなります。
これからFXを始めた初心者の方は、日中の価格変動が少なく、情報量も多い「米ドル/円」から始めるのがおすすめです。
スワップ金利変動リスク
スワップポイントは各国の経済状況や金融政策によって毎月変動しますが、スワップポイントの受け取り額を決定づけるのは二国間の金利差です。
金利差が拡大すればスワップポイントの受け取りは多くなり、金利差が縮小すればスワップポイントの受け取りは少なくなります。
そして政策金利だけではなく、他の要因も加味されてFX業者が提供する買いスワップポイント、売りスワップポイントは毎日変化します。
為替レートの変化だけでスワップ金利が変動する場合もあるので、スワップ金利狙いの売買をする方は、日々のスワップポイントの金利動向に注目していきましょう。
そのためスワップポイントを目的としたトレードをする場合は、高水準のスワップポイントを継続して提供するFX業者を選ぶことがポイントです。
高スワップポイントの業者選びなら、詳しく比較しているこちらのページでご確認ください。
オンラインリスク
FXに限ったことではありませんが、近年では投資というと、スマホかPCを使ってネット経由で取引を行います。
こういったインターネット回線の不具合や端末の故障、一時的に取引できなくなるリスクのことを、オンラインリスクといいます。
自分自身のスマートフォンやPCが故障すれば、急に使えなくなってしまいますので、複数端末を保有している方はあらかじめアプリや取引ツールをインストールしておくのがおすすめです。
FX業者のシステムが、サーバーダウンによってアクセスできなくなってしまうことも、オンラインリスクの代表例です。
サーバーダウンが発生すると、取引画面自体にアクセスできないことから注文自体が行えません。
暴落・暴騰している局面でサーバーダウンが発生すると、意図しない損失となる可能性もあります。
2017年には、複数のFX業者がハッカーによりDDoS攻撃を受けてアクセス障害が多発する事件が発生しました。
つまりオンラインリスクといっても、FX業者側が悪いわけではないケースも起こるのですが、それでも顧客が損失となっては元も子もありません。
またサーバーダウン自体は頻繁には発生しませんが、強固なシステムを謳っている業者でも過去にはサーバーダウンが発生していますので、複数業者で口座開設して取引環境を分散しておくのがおすすめです。
このように、FXにはいくつかのリスクがありますが、取引するタイミングの判断やチャート分析の方法、レバレッジを下げて逆指値注文を使い、複数口座を使い分けることで、リスクは最小限に抑えることが可能です。
リスクを知り、意識することを心がけていれば、自ずとリスクコントロールのクセが身に付いていくことでしょう。
自分の考えに甘んじずに、常にさまざまな状況を想定をして取引に望むようにしてください。
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