FXでは豪ドルやNZドル、南アフリカランド、カナダドルやメキシコペソなどが資源国通貨の代表的な位置付けとなります。
「資源国通貨」と呼ばれる理由は、その国で金や銀、鉄鉱石や原油などの天然資源が豊富に産出されるからなんですね。
こういった資源国通貨と資源価格には、密接な関係があります。
各国の資源国通貨ごとに、どういった資源価格に注目すればいいか解説していきます。
資源価格と連動性のある通貨ペアは?
南アフリカランドとプラチナ
割と身近な貴金属として「金」「銀」「プラチナ」などがありますが、まずはこういった貴金属と為替相場の連動性についてみていきましょう。
例えば金の算出が多い国の通貨は、金価格の上下に連動して動きやすい性質があります。
こちらは、米ドル/南アフリカランド(ローソク足)とプラチナ(オレンジ色)の長期チャート(2009年〜2022年頃)です。
米ドル/南アフリカランドは長期的に大きく上昇している動きが確認できますね。
このときの上昇は米ドル高・南アフリカランド安、下落は米ドル安・南アフリカランド高を示します。
つまり上のチャートを見ると、プラチナが売られる(下落する)ほど南アフリカランドも売られて、米ドル/南アフリカランドは上昇しているのが分かります。
チャートはきれいな非対称といえる形状となっており、南アフリカランドがプラチナ価格と相関している好例です。
もともと南アフリカランドは金価格に相関しやすい性質があるのですが、年々産出量が減少していることで、以前ほどの相関関係は薄れつつあります。
しかし南アフリカランドといえば金というイメージが色濃く残っており、また各貴金属価格は相関しやすい背景もあり、未だに双方の関連性は少なからず見られています。
とはいえ南アフリカはプラチナの産出量が極めて多いことから、金以上にプラチナの動向に注目してみてみるのもいいでしょう。
なお南アフリカは金、プラチナの他にダイヤモンドや銅、鉄鉱石、石炭といった鉱物資源が豊富なので、南アフリカランドはこういった資源価格の値動きに左右されやすい特徴があります。
カナダドルとWTI原油
続いてカナダドルのケースも見てみましょう。
カナダは陸続きのアメリカと経済的に結び付きが強いため、カナダドルは米ドルに牽引されやすい性質があります。
それに加えて、カナダは原油や天然ガスが豊富な天然資源の算出国ですので、こういった資源価格の影響も少なからず受けやすい傾向があります。
2018年のデータでは、カナダは原油、天然ガスそれぞれの生産量は世界第4位、金はアメリカに次いで世界第5位を誇ることが確認できます。
カナダドルと、とくに相関性が高いと注目されているのが原油です。
なかでもWTI原油は、国際的な原油価格を判断する代表的な指標となることから、原油価格の判断材料として注目されています。
こちらは、米ドル/カナダドル(ローソク足)とWTI原油(オレンジ色)の長期チャート(2009年〜2022年頃)です。
先ほどの南アフリカランドとプラチナ同様に、カナダドルと原油も正相関の関係にあります。
原油は為替に比べても大きい変動幅であることがチャートを見ても分かりますが、上昇・下落の動きを見ると、相関していることが確認できますね。
相関性で通貨の値動き傾向を分析することは、今後はどのくらいトレンドが継続するかを判断をする目安に利用ができます。
高金利通貨であれば、ポジションの手仕舞いポイントに応用するやり方もできますので、ぜひ分析に取り入れてみてください。
資源国通貨と主要な資源をチェックしよう!
各国の通貨と、相関性が見られている資源の一覧です。
FXでメジャーな資源国通貨からマイナーな資源国通貨まで一覧にし、連動性が見られる傾向のある資源価格をまとめました。
国(通貨名) | 主な産出資源 | ||
---|---|---|---|
天然資源 | 貴金属 | その他 | |
オーストラリア(豪ドル) | 石炭:1位 天然ガス:5位 | 鉱物・金属資源:1位 金:2位 銀:4位 銅:6位 | |
ニュージーランド(NZドル) | 乳製品 | ||
南アフリカ(ランド) | 石炭:5位 | 鉱物・金属資源:7位 金 :11位 プラチナ:1位 | |
中国(人民元) | 原油(石油):6位 天然ガス:4位 | 金:1位 銀:2位 銅:3位 | |
メキシコ(ペソ) | 銀:1位 金:9位 銅:9位 | ||
ノルウェー(クローネ) | 天然ガス:9位 | ||
カナダ(カナダドル) | 原油(石油):4位 天然ガス:6位 石炭:7位 | 鉱物・金属資源:6位 金:4位 プラチナ:4位 | |
アメリカ(米ドル) | 原油(石油):1位 天然ガス:1位 石炭:4位 | 鉱物・金属資源:3位 金:5位 銀:9位 銅:5位 プラチナ:5位 |
参考リンク:「資源」の統計データ一覧|Global Note
原油(石油)(2022年)、石炭(2022年)、鉱物・金属資源(2022年)は輸出額、天然ガス(2022年)、金(2022年)、銀(2021年)、銅(2020年)、プラチナ(2022年)は生産量のデータとなります。
参考までにアメリカのデータも掲載しましたが、資源国通貨とは呼ばれなくても算出資源が豊富であることが分かります。
しかし急激に資源価格が変動すれば、やはり基軸通貨となる米ドルも影響を受けることとなります。
ニュージーランドは天然資源がたくさん採れる国ではありませんが、酪農、畜産による乳製品や肉などの商品市場の影響を受けやすいことから、資源国通貨と呼ばれています。
なお国ごとの資源産出量は、年ごとに変動があることも覚えておくようにしましょう。
近年では、南アフリカの金とノルウェーの原油は、産出量の減少が続く傾向となっています。
資源(商品)価格はこの銘柄に注目!
こちらが先物取引の主な銘柄です。
商品名 | 主な銘柄名(取引所など) |
---|---|
原油 | WTI原油先物(NYMEX) |
天然ガス | 天然ガス(NYMEX) |
鉄鉱石 | 鉄鉱石先物(中国の先物市場など) |
金 | 金先物(COMEX) |
銀 | 銀先物(COMEX) |
プラチナ | プラチナ先物(COMEX) |
乳製品 | 乳製品国際価格(GDT) |
FXの通貨ペアと相関・逆相関を判断するなら、上記の銘柄を参考にしてみてください。
NZドルの場合は、ニュージーランド最大手乳業メーカーのフォンテラ社が主催するGDT(グローバルデイリートレード)の乳製品国際価格に注目しましょう。
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
資源価格と通貨ペアの相関係数を見れるサイト
金や原油の値動きと相関性のある通貨ペアをチェックできたら便利だと思いませんか?
筆者が探してみたところなかなか見当たりませんでしたが、いくつか便利なサイトを見つけたのでご紹介します。
Investing.com
Investing.comでは金、銀とFX通貨ペアの相関係数をチェックすることができます。
為替(FX)の相関計算ツール – Investing.com
上記URLの相関計算ツールにアクセスしたら、「通貨ペア」「時間枠」「期間のメンバー数」と3つの項目があります。
金なら「XAU/USD」を、銀なら「XAG/USD」を選択し、時間枠は5分足〜日足から任意の足種を選択してください。
期間のメンバー数は「足種の本数」を指しており、10〜300から任意の本数を選択したら、「計算する」をクリックします。
そうすると正相関順に通貨ペアが表示されます。
各通貨ペアにチェックを入れると、ペアチャートの関連付けの項目で「XAU/USD」や「XAG/USD」とFX通貨ペアのチャートを比較できます。
TAKE PROFIT.ORG
TAKE-PROFIT.ORGでは金、銀、プラチナ、パラジウム、ブレント原油、WTI原油、天然ガスとFX通貨ペアの相関係数をチェックすることができます。
相関係数には主要国の株価指数も対応しています。
CURRENCY CORRELATION – TAKE-PROFIT.ORG
上記URLにアクセスしたら、CURRENCY CORRELATION TABLEにあるプルダウンから、任意の銘柄を選択してください。
そうすると選択した銘柄との相関係数が色分けされて表示されます。
FX業者のチャートで先物価格を手軽に確認する方法
金、プラチナ、原油など商品先物のチャートは、無料チャートのTrading Viewで手軽に見ることができます。
高機能チャートのTradingViewは、無料アカウントでもチャート設定をWeb上で保存できます。本格的に使いたい方は無料アカウントを作成しましょう。
GMOクリック証券のCFD口座なら、スマホアプリで豊富な銘柄のチャートを見れるのでが非常に役立ちます。
なおGMOクリック証券で口座開設すれば、高機能チャートのプラチナチャートで、日経平均やNYダウ、WTI原油や金価格と通貨ペアを同時に表示させて分析することができます。
スワップポイント狙いなど、FXで資源国通貨の取引をするなら、CFD対応チャートを利用できる環境を整えておくのがおすすめです。
為替と相関性のある銘柄のチャートを比較して、長期的なトレンド判断に役立てていきましょう。
こういった相関性で通貨の値動き傾向を分析することは、今後はどのくらいトレンドが継続するかを判断をする目安に利用ができます。
高金利通貨であれば、ポジションの手仕舞いポイントに応用することもできますので、ぜひ分析に取り入れてみてください。
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