アメリカの通貨「米ドル(USD)」の特徴と値動きの傾向

アメリカの通貨「米ドル(USD)」の特徴と値動きの特徴

いかに値動きが分かりやすい通貨であるか、FXに興味を持った方は、最初の通貨ペア選びがひとつのテーマとなってくるでしょう。

その答えは明快で、取引量が多くニュースでも親しみやすい通貨ペアといえば、やはり米ドル/円ではないでしょうか。

それでは、アメリカの通貨「米ドル」にはどのような特徴があるのか、基礎から分かりやすくご紹介していきます。

米ドル/円のスワップポイント比較ランキング、長期保有時の利回り、値動きの見通しは以下の記事をご覧ください。

目次

アメリカの基礎データ

FX初心者は基軸通貨の米ドルから。情報量、取引量の多さが魅力!

アメリカの国旗
正式名称アメリカ合衆国
首都ワシントンD.C.
中央銀行FRB(米連邦準備制度理事会)
通貨単位ドル($)、セント(¢)
* 主要輸出国カナダ、メキシコ、中国、日本、イギリス
* 主要輸入国中国、メキシコ、カナダ、日本、ドイツ
値動きの大きさ情報量の豊富さ金利の高さ
★★★★★★

FX初心者は基軸通貨の米ドルから。情報量、取引量の多さが魅力!

* 貿易量の多い国順 2022年のデータ(米国の貿易と投資 – ジェトロ

米ドルは基軸通貨だけあって信用度が高い!

米ドルの特徴を解説する前に、まず「国債」から説明します。

国としての信用度を見るひとつの指標に、国債格付けがあります。

そもそも国債は、自国が資金調達するために発行する債券のことで、その国の債務不履行リスク(元本や金利が安全に受け取れるかどうか)を示す指標です。
アメリカの国債なら米国債ですし、日本の国債なら日本国債となります。

格付け機関である3社(ムーディーズ、スタンダード&プアーズ(S&P)、フィッチ・レーティングス)による公表が主要なデータとなっており、発表時の格付けによっては為替相場に大きな影響を与えることもあります。

FXにおいては、その国はどのくらい財政に余裕があるか、信用度・安全性は高いかを示す格付けであるという認識で構いません。

アメリカは基軸通貨国で世界経済を引率しているだけあって、国債格付けは最上位水準です。

そのため米ドル/円はデフォルトリスクもなく、安心して取引できる通貨ペアとなっています。

ムーディーズS&Pフィッチ・レーティングス
AaaAA+AAA

国債格付けは、以下サイトのデータが見やすいのでおすすめです。

国債格付け一覧 世界の主要国|Let’s GOLD

米ドル/円の特徴

NY・ウォールストリート

アメリカは世界で最大の経済大国です。

この経済力を背景として、アメリカの通貨である「米ドル」は、さまざまな通貨の中心となる基軸通貨として扱われています。

この基軸通貨である米ドルを介した米ドル/円などの取引を「ドルストレート」といい、ユーロ/円、英ポンド/円などそれ以外の通貨と日本円の組み合わせを「クロス円」といいます。

このうち、世界でもっとも取引されている通貨ペアが「ユーロ/米ドル」で、2019年は世界で24%ものシェアを誇ります。

しかしFXでは最初に「米ドル/円」を選ぶ人が圧倒的に多いですよね。

日本円はユーロに次いで、世界第3位の取引量を誇る通貨です。

つまり米ドル/円は、世界第1位の取引量がある米ドルとの売買であることから、市場参加者も多く値動きが安定しているのが特徴です。

こちらは、2019年で国内FX業者で取引された、上位10通貨ペアの取引額シェア率です。

順位通貨ペア2019年
1位米ドル/円57.36%
2位ポンド/円17.75%
3位ユーロ/円6.38%
4位ユーロ/米ドル5.98%
5位豪ドル/円5.95%
6位ポンド/米ドル3.29%
7位NZドル/円0.69%
8位ポンド/豪ドル0.48%
9位トルコリラ/円0.38%
10位豪ドル/米ドル0.39%

データ引用元:金融先物取引業協会|取引通貨ペアについて

このように、米ドル/円の取引額が圧倒的に多いことが分かりますね。

またアメリカと日本は経済的にも結びつきが強いことから、ニュースでも為替に関わる情報が多く流れてきます。
為替情報が手に入りやすいことは、投資判断のしやすさに直結します。

つまり豊富な情報量こそが米ドルの魅力であり、通貨ペアとしても米ドル/円が人気を得ている訳です。

有事と米ドルの関係

通常FXでは「有事のスイスフラン買い」「有事の円買い」のように、戦争などマーケットにショッキングな要因が発生すれば、避難先として安全資産が買われやすくなります。
「有事のドル買い」といってスイスフラン、円に次いで米ドルも買われやすい通貨で知られています。

ただし、アメリカで有事があれば「有事のドル売り」といって米ドルの売り要因となり、2001年の米国同時多発テロ以降、有事の際には米ドル売りの反応を見せることもあることから、注意が必要です。

基本的には、マーケットになんらかのショックが起きてリスクオフ(リスク回避)となれば、リスクが少ない安全資産の米ドルや日本円、国債などが買われやすくなります。
つまり、景況感の悪化、経済成長の後退、金融危機、地政学リスク(戦争や天災など)の発生は米ドルの買い要因です。

逆にリスクオン(リスクをとってリターン重視)となれば、リスクが高いトルコリラや南アフリカランドなどの高金利通貨が買われやすくなります。
つまり、景況感の回復、経済成長の回復、金融危機の回避、地政学リスク(戦争や天災など)の後退は米ドルの売り要因です。

米ドルの特徴 まとめ
  • 世界の基軸通貨で、もっとも取引されている通貨。
  • 取引量世界第1位がユーロ/米ドル、世界第2位が米ドル/円。
  • 基本的には、(アメリカに関係ない)有事があれば米ドルの買い要因。
  • リスクオフなら米ドルの買い要因、リスクオンなら米ドルの売り要因。
  • 数ある通貨のなかでも、もっとも情報量が多い。

米ドルの通貨ペア

主要8通貨の組み合わせにより、こちらが米ドルの主な通貨ペアとなります。

  • ユーロ/米ドル
  • 米ドル/円
  • ポンド/米ドル
  • 豪ドル/米ドル
  • NZドル/米ドル
  • 米ドル/カナダドル
  • 米ドル/スイスフラン

ユーロ/米ドル

EUR/USD

BISが4年に1度公開している最新データでは、ユーロ/米ドルは24%もの取引量シェア率を占める、世界でもっとも取引されている通貨ペアです。

取引量の多さによりボラティリティー(変動率)が小さい通貨ペアなので、初心者向きでありテクニカル分析をしやすい利点があります。

なだらかにトレンドが継続しやすい傾向にあり、流動性の高さによりスプレッドが狭く、短期売買から中長期売買まで取引しやすい通貨ペアとなります。

参考リンク:BIS – Foreign exchange turnover in April 2019

米ドル/円

USD/JPY

米ドル/円は、2019年に国内では約6割に迫る取引が行われた、圧倒的な人気を誇る通貨ペアです。
世界でもユーロ/米ドルに次いで13.2%と、多くの取引量シェア率を誇ります。

ユーロ/米ドルと同じく流動性が高い通貨ペアの組み合わせですので、安定した値動きによりテクニカル分析のしやすい通貨ペアです。

アメリカのニュースは自然と多く入ってきますので、情報収集を行いやすいこともメリットです。

FXではスプレッドが最も狭いことから、短期売買から中長期まで初心者のファーストステップに適した通貨ペアだといえます。

なお米ドル/円ばかりに固執すると、米ドルと日本円が動いていない場面では、取引チャンスを見失ってしまいます。
こんな場面はユーロ/米ドルに動きが出てきている可能性が高く、三大通貨の三角関係から均衡を見ていくと、そのときの最適解を判断するのに役立ちます。

ポンド/米ドル

GBP/USD

ポンド/米ドルは、ブレグジット(イギリスのEU離脱)で話題に欠かせない通貨ペアです。

米ドル/円に次いでシェア率は9.6%と、世界で3番目に取引量が多いです。

その反面、ポンドは短期で大きな利益を狙ったトレードが行われることから、ユーロ/米ドル、米ドル/円に比べると値動きは激しくボラティリティーも高くなります。

中長期にかけては一方向に大きなトレンドを形成しやすいので、トレードスタイルとしてはスキャルピングやデイトレードよりもスイングトレードがおすすめです。

豪ドル/米ドル

AUD/USD

豪ドル/米ドルは、ポンド/米ドルに次いで世界で5番目の取引量シェアとなる通貨ペアです。

初心者には馴染みにくい通貨ペアかもしれませんが、アメリカと中国、大国同士の思惑を見ていく上でキーとなる通貨ペアです。

なぜ中国とオーストラリア?と思うかもしれませんが、鉱物資源が豊富なオーストラリアは中国への輸出依存度が高くなっています。
そのため中国の経済指標や、中国関連のニュースが豪ドルの動きに反映されやすく、アメリカVS中国の仮想的な通貨として、米中関係の悪化がダイレクトに現れやすいのです。

オーストラリアと中国の二国関係の動向は、今後も注目となるポイントです。

資源国通貨のため、鉄鉱石、石炭、金などの価格と相関性が見られることから、豪ドル/米ドルのトレードは資源価格の動向にも注目していきましょう。

米ドル/カナダドル

USD/CAD

米ドル/カナダドルは、アメリカと陸続きであるカナダとの組み合わせで、取引量は世界第6位の通貨ペアです。

同じ北アメリカ通貨として経済の結び付きが強く、同じ時間帯に動く特徴があります。

一方で相関係数は高くなく、同一地域の通貨ペアだからといってレンジ相場で推移する通貨ペアでもありません。

カナダはオーストラリアと同じく資源国通貨であり、原油や天然ガスの値動きから影響を受けやすい特徴があるからです。

資源価格+中国要因なら豪ドル/米ドル、より資源価格に注目して取引するなら米ドル/カナダドルで使い分ける戦略ができます。

米ドル/スイスフラン

USD/CHF

永世中立国であるスイスの通貨とのペアである米ドル/スイスフランは、世界で7番目のシェアとなる通貨ペアです。

ボラティリティーは米ドル/円と同程度のイメージで、通常時はそこまで大きな変動とはなりにくい特徴があります。

スイスフランは安全資産として真っ先に注目される通貨です。

アメリカで有事があった際には日本円も買われる可能性があるため、「有事の〇〇買い」に注目するときは、スイスフラン/円よりも米ドル/スイスフランの売りに注目してみるのもひとつの手です。

こんな場面ののち、アメリカに明るい兆しが出てきたら米ドル/スイスフランの買いを入れる戦略を考えることもできます。

NZドル/米ドル

ドルストレートのうち、NZドル/米ドルは主要通貨の組み合わせでは取引量が少なめで、米ドル/スイスフランの取引量の半分ほどとなっています。

ドルストレートの主要通貨に限定すると取引量は少ない部類ですが、ユーロ/円と同程度のシェアとなります。

同じオセアニアの豪ドルと相関が強く、豪ドル/米ドルと比べると取引量の面でボラティリティーが高い傾向にあります。

酪農が盛んで羊や乳製品など畜産物・食品が主な産業により、資源国通貨と呼ばれています。
ただし畜産物や食品は農作物ではないため、正しくは資源国通貨に該当しません。

貿易は中国依存の高さもあり豪ドルに相関しやすい面がある一方、同じ資源国通貨といっても性質が異なります。

トレードの際には、乳製品の国際価格オークションが行われるフォンテラ社のGDT国際価格に注目です。

米ドルの値動き傾向

米ドルは、1日のなかでどのような値動きをするのでしょうか。

まず値動き傾向を知るためには、各国のマーケットは何時から始まり、何時に終わるか見ていきましょう。

世界の外国為替市場の流れ

FXには株式市場のような物理的な取引所は存在しません。

明確な取引時間が決まっているわけではありませんが、外国為替はその国の銀行や金融機関が主となって取引しています。

そのため、必然的に各国金融機関の営業時間や株式市場で取引が多い時間帯に相場が動きやすいという仕組みです。

FXの1日は、早朝にオセアニア市場からスタートし、東京、香港と続いて市場が始まっていきます。このとき、午前中から日中にかけては穏やかな値動きが特徴です。

そして日本時間の夕方から夜にかけて、ヨーロッパの市場が始まり、最後にアメリカのニューヨーク市場が始まります。

NY勢が動く米ドルの時間帯

NYセッション(NY市場で取引されている時間帯)のなかでも、とくにコアタイムは1日でもっとも活発に為替が動く時間帯です。
個人投資家だけではなく、ヘッジファンドなどの機関投資家も多くの売買を行っているのが特徴です。

ニューヨーク市場が始まると、米ドル以外も大きく動くコアタイムに突入

FXでは外国為替市場の中心となっているロンドン市場と、ニューヨーク市場が重なる時間帯が、もっとも値動きがある時間帯となります。

ニューヨーク時間は夏が21:00〜6:00、冬が22:00〜7:00
ニューヨーク時間の目安

日本時間にしてだいたい21:00〜1:00頃までとなりますが、この時間帯は欧米の機関投資家など大口の参加者も多いことから、為替レートはダイナミックに動いていきます。

FXには取引所が存在しませんが、ニューヨーク為替市場の主な時間は以下の目安となります。

ニューヨーク市場の主な時間
  • 株式市場
    • NY証券取引所・・・現地時間:9:30~16:00 (日本時間:23:30~6:00、サマータイム時:22:30~5:00)
  • 時刻の設定期間
    • 米国冬時間・・11月第1日曜日AM2:00~3月第2日曜日AM2:00
    • 米国夏時間・・・3月第2日曜日AM2:00~11月第1日曜日AM2:00
  • FXで注目の時間
    • NYセッション・・・現地時間:8:00〜16:00(日本時間:22:00〜6:00、サマータイム時:21:00〜7:00)
    • NY市場の主要時間帯・・・現地時間:8:00〜12:00(日本時間:22:00〜2:00、サマータイム時:21:00〜1:00)
    • FX全体のコアタイム・・・日本時間:22:00〜2:00、サマータイム時:21:00〜1:00
    • NYオプションカット・・・日本時間: 24:00、サマータイム時:23:00
    • ロンドンフィックス(イギリス版の仲値)・・・日本時間: 1:00、サマータイム時:24:00

それでは時間帯ごとの特徴を見ていきましょう。

NY時間が8:00以降の値動き
(10月〜3月は日本時間21:00〜、3月〜10月は日本時間22:00〜)

主なニューヨーク勢は現地8:00(4月~10月は日本時間21:00~、11月~3月は日本時間22:00~)から参入してきます。

もちろん、アメリカには金融機関のトレーダーだけではなく個人投資家もいますし、ロンドン勢も相場に参加している時間帯ですので、この時間きっちりに動き出すという訳ではありません。

東京セッション、ロンドンセッションと続き、NYセッションで外国為替市場は一日を終えるわけですが、NY勢のトレーダーは前営業日~当日朝までの相場を分析してマーケットに参入してきます。

もちろん日本の個人投資家も参加しやすい夜の時間帯ですから、3つの地域(日本、アメリカ、欧州)の参加者による思惑がひしめくことで、値動きは激しく、かんたんとはいい難いのがニューヨーク時間の特徴でもあります。

NY時間が8:30以降の値動き
(10月〜3月は日本時間21:30〜、3月〜10月は日本時間22:30〜)

アメリカは経済指標のインパクトが大きいです。

経済指標は日本時間21:30~23:00(冬は22:30~24:00)発表が多く、予想値との乖離によっては、NYオープンからのトレンドが逆転することもあります。

もしロンドンセッションからのトレンドが継続しているときは、よりトレンドが加速して勢いづいたりする時間帯です。

また日本時間23:00(冬は24:00)はNYオプションカット、24:00(冬は1:00)にはロンドン版の仲値、ロンドンフィックス(ロンドンフィキシング)があり、どちらも米ドル相場への値動きに影響を与える要因となります。(※詳細は後述)

NY時間が13:00以降の値動き
(10月〜3月は日本時間2:00〜、3月〜10月は日本時間3:00〜)

現地が正午を回った日本時間2:00~6:00(冬は3:00~7:00)は流動性が少なくなることから、それまでの激しい値動きから一変して落ち着きを見せます。

これは機関投資家などの大口取引が落ち着いてくるのが理由です。

しかしこの時間帯であっても、要人発言や経済指標によっては大きく動くケースもあります。

この時間帯の経済指標発表は限定的ですが、代表的なのがFOMCで、約6週間ごとに年8回、日本時間3:00(冬は4:00)に公表が行われています。

米ドルの変動率

それでは米ドルが1日でどのくらい動くのか、変動幅や変動率を見てみましょう。

まずは米ドル/円の平均変動幅を見てみましょう。

こちらは2021年1月29日時点における、直近20日間の平均を示すグラフです。

米ドル/円 時間毎の変動幅の傾向(20日間の平均)
引用元:OANDA証券 ボラティリティ グラフチャート

夜のNY時間0時台がもっとも変動が多く、東京時間の9時台、ロンドン時間の17時台にも変動のピークがあることが確認できますね。

もともと米ドル/円は午前中は値動きが穏やかなことが多かったですが、最近では東京時間も動くようになってきている傾向もあります。

別のデータも見てみましょう。

以下は2021年1月29日に取得した1日の変動率です。

USD/JPY 時間別平均変動率
引用元:セントラル短資FX 時間帯別変動率

米ドル/円は夜の変動率が高くなっています。

EUR/USD 時間別平均変動率
引用元:セントラル短資FX 時間帯別変動率

※セントラル短資FXの時間帯別変動率は現在利用できなくなっています。

時間帯ごとの変動率をチェックするなら、OANDA証券のボラティリティ グラフチャートがおすすめです。

ユーロ/米ドルは夜に大きく動いているのが確認できますが、東京時間の値動きが穏やかで、ユーロが動き出す夕方もそこそこの変動を見せていることが確認できますね。

米ドル/円は他の通貨ペアに比べておだやかな値動き傾向がありますが、とくに深夜には活発に動きますので、おおきな値動きに期待して売買したい方は、遅めの時間帯を狙うのが良いです。
これを逆手に取ると、まだFXには慣れていない方は、値動きの変動が少ない日中から夕方までの取引がおすすめです。

ただし、月曜日の早朝は注意が必要です。

週末のマーケットが閉まっている間に為替変動に直結する出来事があれば、月曜日は早朝からでも大きく動いたりします。
そのため、初心者の方は翌週にポジションを持ち越さないのも、価格変動リスクに備えるの手です。

米ドル/円の値動きに影響を与える変動要因

米ドル/円が値動きとなるには、実に多くの要因があります。

例えば、経済指標の発表直後はマーケットに直接影響を与えるだけではなく、その後のトレンド(方向性)を決定づける要因ともなります。

アメリカの経済指標は為替変動への影響度が高く、雇用統計やFOMC政策金利などの発表内容によっては、大きいときで1円以上動くこともあることから、注目度も高くなっています。

それでは、米ドル/円の長期的な値動き動向を把握するのに役立つ指標をご紹介します。

なおアメリカは値動きに与える経済指標が多いので、経済指標に関してはこちらの記事でご確認ください。

ドルインデックスの推移

日米の為替レートを示す米ドル/円と異なり、ドルインデックスというのは「主要通貨に対し、米ドル自体は総合的にどれくらい価値があるか」を示す指数です。

10年間(2009年9月〜2019年9月)の米ドル/円レートとドルインデックスの推移
10年間(2009年9月〜2019年9月)の米ドル/円レートとドルインデックスの推移

ドルインデックスはいくつかの機関が算出していますが、ニューヨーク商品取引所(NYBOT)の指数が広く利用されています。

米ドルが売られていたらユーロや円が買われ、米ドルが買われていたらユーロや円が売られるように、ドルインデックスの動向は為替相場の動向を見ていくのに役立ちます。

※上記はTrading Viewチャートで、シンボルの検索に「INDEX:DXY」または「US DOLLAR CURRENCY INDEX」と入力し、比較チャートで米ドル/円との推移を比べることができます。

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なお米ドルのトレードをするなら、ドルインデックスと逆相関になりやすい「金価格」の推移に注目してみるのもおすすめです。

政策金利の推移

米ドル/円相場の大きな流れを把握していくにあたり、やはり米・政策金利の動向を知っておくことはかかせません。

一般に「メジャー通貨ペアの為替レート」と「政策金利」は正の相関性が高いとされています。

ほぼゼロ金利の日本とアメリカの金利差で考えると、米・政策金利が利上げとなれば金利差が拡大し、米ドル/円も上昇しやすくなります。
逆に米・政策金利が利下げとなれば金利差が縮小し、米ドル/円は下落しやすくなります。

一概にも各国の金融政策や世界的な景況感によって、相関性が崩れるケースも見受けられます。
しかしながら政策金利は、長期的なトレンドの継続やトレンド転換のきっかけとして、多くの投資家が注目している重要な指標です。

FXでは大まかに、政策金利の水準がスワップポイントに反映されます。
スワップ狙いのトレードをするなら、政策金利の動向は追っていくようにしてください。

米国債10年利回りの推移

米国債には償還期間(2年、5年、10年、30年など)によって異なる種類がありますが、なかでも米・10年債の金利は世界的に長期金利の指標であり、相場の先行き判断において注目されています。

1年間(2018年9月〜2019年9月)の米ドル/円レートと米国債10年利回りの推移
1年間(2018年9月〜2019年9月)の米ドル/円レートと米国債10年利回りの推移

FXでは「有事のドル買い」のように戦争や経済危機があると米ドルが買われるのと同様、米国債市場にも資金流入する傾向があります。

政策金利同様、米国債利回りは米ドル/円と「正の相関性」が高く、同じように推移しやすい性質があります。

米ドル/円の長期的な方向性を見ていくにあたり、米国債10年利回りの動向にも注目してみてください。

参考:アメリカ 10年 債券利回り – Investing.com

短期トレードならNYオプションカット、ロンドンFixにも注目

NYオプションカットとは、ニューヨーク市場で行われる通貨オプション取引のカットオフタイム(締め切り時刻)のことで、毎営業日の23:00(冬は24:00)に取引が行われています。

通貨オプション取引とは、ある通貨を決まった日時に◯◯ドルを買う(売る)ことができる権利を売買する取引です。

権利を売買すると分かりにくいですが、車や旅行でいうところのオプション(=選択権)と同じような感じで、1ヶ月後に1ドル100円で1万ドルの取引ができる権利をもって売買できるイメージですね。

NYオプションカットの際には、オプション取引の仕組みで複数の価格が設定されていますが、取引の締め切り時間となる23:00(冬は24:00)にかけて、オプションが集中している価格に近づきやすい傾向があります。

ほとんどのFX業者から配信されるニュースで確認することができ、例えば「101円 OP13日NYカット」「100円 OP14日NYカット大きめ」といった配信内容であれば、『大きめ』と記載された価格に近づきやすいというもので、難しく考える必要はありません。

24:00(冬は1:00)にはロンドン版の仲値、ロンドンフィックス(ロンドンフィキシング)という金の取引価格が決まる取引がありますが、こちらは決済通貨として米ドルが使われていることから、米ドル相場にも影響があります。

ロンドンフィックスでは、とくに月末や期末は決済額が大きくなりやすいことから、変動に与える影響も大きくなりやすいです。

通常、直前の数十分前から24:00にかけて、その方向性へと値動きが継続しやすく、24:00を起点にトレンドが継続するか、反転しやすい傾向にあります。

米ドル/円のトレードをするなら、取引に役立つNYオプションカット、ロンドンフィックスの情報をFX業者の配信ニュースでチェックしておきましょう。

NYオプションカットについては、以下の記事内で解説しています。

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まずは現在の最小水準のベースとなる、米ドル/円0.2銭の業者を選ぶようにしましょう。

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