MACDの見方・使い方 – 具体例からダイバージェンスまで解説!

MACDの見方・使い方

MACDの見方・使い方について解説します。

テクニカル指標名タイプ分析適正
MACDオシレーター系・時系列順張り、逆張り
目次

MACDとは?

FXでも屈指の人気を誇るテクニカル指標のMACDは、1960年代にアメリカ人のジェラルド・アペル氏が考案しました。

このMACDはMoving Average Convergence / Divergence の略称となっており、「マックディー」と呼ばれています。

それぞれには、
Moving Average = 移動平均線
Convergence = 収束
Divergence = 発散
という意味があり、日本語では「移動平均収束発散法」と呼びます。

チャートにMACDを表示させた例
参考チャート:外為どっとコム「G.com,チャート」

つまり「移動平均線を用いた計算式により、縮小や拡がりを計って分析していく」といったイメージですね。

そして名称に移動平均線とあるように、すでにMACDの使い方でピンときた方もいるかもしれません。

MACDはEMA(指数平滑移動平均線)がベースなので、オシレーター系指標としては珍しく、逆張りだけではなく、トレンド系指標のように相場の方向性を判断する使い方が可能です。

EMAはSMA(単純移動平均線)を改良した移動平均線で、SMAよりも直近の値動きに敏感に反応します。
そのため、MACDはトレンドの方向性を測りやすい特徴があります。

「売られすぎ・買われすぎ」を判断する他のオシレーター系に比べると、MACDはやや異質な存在ですが、精度の高い分析ができると評判の良いテクニカル指標なのです。

それでは、MACDの見方を見ていきましょう。

MACDの計算式

MACDの基本は「MACD(MACDライン)」と「シグナル(シグナルライン)」の2本線です。
チャートによっては棒グラフの「MACDヒストグラム」を使うこともできます。

MACDラインとシグナルライン
MACDとシグナル

MACDはEMAがベースといいましたが、計算式は以下となります。

MACDの計算式

MACD = 短期線(12EMA) − 長期線(26EMA)

シグナル = MACDの単純移動平均線(9SMA)

MACDヒストグラム = MACD − シグナル

※パラメーター(期間)は、MACDの短期線が9日か12日、長期線が26日、シグナルは9日が一般的に使われています。シグナルは、業者によってはEMAが使われる場合もあります。

例えば短期線の水準が120円、長期線の水準が119円とすれば、その差は+1円となり、それがMACDとして描かれます。

またシグナルはMACDの移動平均線ですから、他のテクニカル指標と同じように、ゴールデンクロスやデッドクロスの見方ができます。
つまり、動きの敏感なMACDを短期線、シグナルを長期線と置き換えて分析することができます。

シグナルラインは「平均化された滑らかな線」と覚えていきましょう。

オシレーター系テクニカル指標では、RSIのように±100%の範囲で推移するタイプも多いです。

MACDでは相対的に示されるため範囲は決まっていませんが、相場のボラティリティが小さいときは±0.5未満、ボラティリティが大きいときは±2以上で推移する傾向にあります。

過去のチャートを見て、効果的な水準であるか注目してみてください。

MACDヒストグラムについて

MACDヒストグラムは、MACD2、OSC(MACDオシレーター)、乖離とも呼ばれています。

これはMACDとシグナルがどのくらい乖離しているかを、ヒストグラム(棒グラフ)にしたもので、「トレンドの勢い」や「トレンドの強弱」を判断することができます。

MACDヒストグラム
MACDヒストグラム

使い方はいたってシンプルで、縦軸が長いほどトレンドは強気相場、短いほどトレンドは弱気相場、また0から上が上昇トレンド、0から下が下降トレンドと判断できます。

そして、下から上に逆転したら買いサイン、上から下に逆転したら売りサインとなります。

MACDヒストグラムは、全ての業者のチャートで表示されるものではなく、外為どっとコム、みんなのFX、GMOクリック証券などのPCチャートやスマホアプリで使うことができます。

MACDの見方と使い方を知ろう!

MACDは、短期線(12EMA)と長期線(26EMA)の価格が同じとき、MACDのラインはかならず0ラインに位置します。
(※EMAとMACDのパラメーターは同じ12、26であることが条件です。MACDの初期設定はほとんどがこの設定となっています。)

価格が同じということは、2つの線が必ずゴールデンクロスかデッドクロスをしていることになりますよね。
分かりやすく、12EMA、26EMAとMACDの位置関係を見てください。

12EMAと26EMAがクロスするときMACDは0ラインに位置する
12EMAと26EMAのクロス=MACDの0ライン

ご覧のとおり、「移動平均線のクロス」「MACDの0ライン抜け(=ゼロクロス)」が同じタイミングであることが分かりますね。

そして、このゼロクロスがトレンド判断のポイントとなり、売買サインともなります。

MACDが0ラインを上抜いたら上昇トレンド、下抜いたら下降トレンド
0ラインからの推移でトレンド判断

ですのでMACDが0ラインを抜けるときは、EMAの短期線と中期線がクロスしている場面であると判断ができますね。

さらに0ラインを抜ける前に、MACDが天井・底を打っていることから、レートの今後の値動きにMACDが先行した動きなんだな、と考えていくことができるのです。

つまりMACDが、0ラインから上下どちらの方向に抜けたかを見て、現在は上昇トレンドなのか、下降トレンドなのかを確認していきましょう。

まずは0ラインでトレンドの方向性を見るやり方が、MACDの基本となります。

MACDの基本
  • MACDが0ラインを下から上抜いたら、上昇トレンドの始まりを示唆する。(12EMAと26EMAのゴールデンクロス)
  • MACDが0ラインを上から下抜いたら、下降トレンドの終焉を示唆する。(12EMAと26EMAのデッドクロス)

MACDの先行性が注目されている理由

テクニカル分析には「先行指標」「遅行指標」があります。

計算に使われるデータは過去のデータに基づいていることから、MACDをはじめとしたテクニカル指標は基本的に遅行指標となります。

そのため、必然的に売買シグナルは価格よりも遅れることとなります。

価格、移動平均線、MACDが底打ちから反転するタイミング

一方でフィボナッチ・リトレースメントやサポートライン/レジスタンスラインなどを使って価格到達を予測する分析が、先行指標となります。

しかしながらMACDは将来のトレンド変化を見るにあたり、「先行性」があるとして注目されています。

以下のチャートで、「価格」「移動平均線」「MACD」が底から反転した位置をご覧いただくと違いが分かります。

価格、移動平均線、MACDが底打ちから反転するタイミング

毎回これが当てはまるわけではありませんが、MACDが価格の動きを先回りして教えてくれる現象が、ときどき見られます。

こうしたMACDの先行性は、急激にトレンドが反転するときではなく、勢いを失ったトレンドが緩やかにトレンド転換する場面に見られやすいです。

これはMACDに限らず、ほかのオシレーター系テクニカル指標にも見られる現象でもあり、後述するダイバージェンスの発見におけるポイントとなります。

しかしながら移動平均線よりも売買サインが早く、さらに値動きに先行して転換を示唆することから、MACDは先行性があるといわれています。

移動平均線よりも早く、天井・底から上昇・下降するMACDの動きに注目してみてください。

MACDのココに注目!
  • 上昇トレンドのとき、価格の上昇力が弱まるとMACDは天井となり反転下落する。
  • 下降トレンドのとき、価格の下降力が弱まるとMACDは底となり反転上昇する。

MACDの売買サインはクロスの位置が要

それではMACDの売買サインを見ていきましょう。

0ラインが、上昇トレンドか下降トレンドの境目となりますので、0ラインの上か下の位置でゴールデンクロスかデッドクロスすれば、MACDの売買サインとなります。

MACDとシグナルのクロスは位置で精度を判断
MACDとシグナルのクロス
クロスによる売買シグナル
  • 0ラインより下でMACDがシグナルを上抜いたら、買いサイン。(MACDとシグナルのゴールデンクロス)
  • 0より上でMACDがシグナルを下抜いたら、売りサイン。(MACDとシグナルのデッドクロス)

MACDとシグナルのクロスする位置が、底の位置でゴールデンクロス、天井の位置でデッドクロスしていて、なおかつ角度もよければ天底で拾える可能性が高くなります。

上記に対して、0ラインより上でのゴールデンクロスは極端に精度が悪いということではありません。

0ラインより上ということは、すでに上昇トレンドができている状態でのゴールデンクロスですので、強いトレンドの継続を示唆する合図となり、押し目買い、戻り売りの判断に役立てることができます。

とはいえ大きな利幅を狙うなら、天井・底に近い位置でのクロスに注目してみてください。

クロスの角度で信頼性を計る

MACDとシグナルは、2つの線がどのような角度でクロスしているか、という部分にも注目してみましょう。

MACDとシグナルの交差角度、交差位置で信頼性を判断

この「クロスの角度」が、MACDの使い方でもっとも重要なポイントです。
このように、MACDとシグナルが交差によってできた、角度のある山(谷)になるほど、売買サインとしての信頼性が高くなります。

急な角度で山または谷が形成されたら、これからトレンドが反転するかもしれないと、あらかじめ心構えしておくといいですね。

【まとめ】信頼性を判断するクロスの位置と角度

MACDとシグナルラインによるクロスの位置、クロスの角度で信頼性を判断するポイントをまとめておきます。

上昇を示唆するゴールデンクロスを例に見ていきましょう。

高い ← 信頼性 → 低い
クロス
の角度
MACDで角度があるクロス 角度:大
信頼性:
MACDのクロス 角度:中
信頼性:◯
MACDで角度がないクロス 角度:小
信頼性:
クロス
の位置
0ラインの下でクロス 位置:0より下
信頼性:
0ライン付近でクロス 位置:0付近
信頼性:◯
0ラインの上でクロス 角度:0より上
信頼性:

先に解説しましたが、0ラインより上でのゴールデンクロスは信頼性を△としていますが、トレンド相場のときは押し目買いのポイントとなりますので、トレンドによって見極める必要があります。

もちろん分足、時間足、日足など時間軸によっても精度は変わってきますが、チャートではクロスするときの形状に注目して分析を行っていきましょう。

MACDの注意点は?

ダマシの少ないことで知られるMACDですが、注意点もあります。

相場の変動が少なく横ばいで推移しているときは、シグナルも上下に動かず横ばいに推移します。
このような相場のときは、MACDとゴールデンクロス・デッドクロスしても、シグナルに角度がないのでダマシとなる確率が高くなってしまいます。

トレンドがないときは0付近で推移
トレンドがないときの例

トレンドがないときは0ライン付近で、MACDとシグナルが絡んで何度もクロスしやすいく、こういった場面では為替変動による利益の追求が難しくなります。

レンジ相場や保ち合い相場となったら、水平線やトレンドラインを使ってブレイクアウトのタイミングを探っていくのがおすすめです。

また時間足にも注意しましょう。

MACDは日足、週足と期間を長くすれば、売買サインの反応は遅くなるものの、信頼性は高くなります。

30分足などの短い期間ほどダマシも多くなりますので、短期トレードの場合は、複数の期間でチェックすることと、他の指標との併用でダマシを見極めていきようにしていきましょう。

ダイバージェンス発生は天井・大底の目安に

ダイバージェンスは、直訳すると逆行現象と言い、「価格とMACDが逆に動く」ことを指します。
オシレーター系指標に発生するこのダイバージェンスは、MACDのほかに、RSIやストキャスティクスにも現れたりします。

MACDにかぎりダイバージェンスの発生は少なめですが、そのかわり他指標のダイバージェンスに比べると信頼性が高い局面が多く見受けられます。

それではMACDのダイバージェンスを見てみましょう。

以下は下降トレンドから上昇トレンドへの転換を示唆する、ベアリッシュ・ダイバージェンス(買いのダイバージェンス)です。

MACDを使った買いのダイバージェンス
MACD 買いのダイバージェンス

以下は上昇トレンドから下降トレンドへの転換を示唆する、ブリッシュ・ダイバージェンス(売りのダイバージェンス)です。

MACDを使った売りのダイバージェンス
MACD 売りのダイバージェンス

ベアリッシュ・ダイバージェンス(弱気の乖離)
上昇トレンドにおいて、価格は切り上がって推移しているが、MACDは切り下がってきている状態のこと。

ブリッシュ・ダイバージェンス(強気の乖離)
下降トレンドにおいて、価格は切り下がって推移しているが、MACDは切り上がってきている状態のこと。

やや中級以上向けではありますが、ダイバージェンスは相場のトレンド反転を示唆するサインですので、しっかりと頭に叩き込んでおきましょう。

ダイバージェンスは2つの山(谷)に注目!

ダイバージェンスが発生したら、MACDとシグナルの交差でできた「山と山」や「谷と谷」が相場を予想するためのヒントとなります。

MACDのダイバージェンスは2つの山、2つの谷の高さに注目!
MACDのダイバージェンスは2つの山(谷)の高さに注目!

上の画像例では、MACD自体のダイバージェンスに加えて、MACDとシグナルもクロスしており、強烈なダイバージェンスのサインであることが分かります。

ダイバージェンスによる売買シグナル
/
  • 安値が切り下がっているものの、MACDの「右の谷」よりも「左の谷」が低いときは、大底圏での強いトレンド反転を示唆する。
  • 高値が切り上がっているものの、MACDの「右の山」よりも「左の山」が高いときは、天井圏での強いトレンド反転を示唆する。

ダイバージェンスについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。

MACDヒストグラムでダイバージェンスを見る方法もある

MACDヒストグラムでダイバージェンスを見る方法というのは、投資苑の著者であるアレキサンダー・エルダー博士が得意とするやり方です。
これは価格とMACDヒストグラムのダイバージェンスを見る、逆張り手法となります。

見方としては、先ほどのMACDによるダイバージェンスを、そのままMACDヒストグラムに置き換えて考えるだけです。

MACDヒストグラムのダイバージェンス例
MACDヒストグラムのダイバージェンス
ダイバージェンス(MACDヒストグラム)による売買シグナル
  • 価格は切り下がっているものの、MACDヒストグラムの安値が切り上がっているときは、大底圏での強いトレンド反転を示唆する。
  • 逆に、価格は切り上がっているものの、MACDヒストグラムの高値が切り下がっているときは、天井圏での強いトレンド反転を示唆する。

ただし、こちらの画像ではMACDヒストグラムのダイバージェンスが機能していますが、非常に強いトレンド相場では効果的ではない場面もあり注意も必要となってきます。

MACDの利益確定ポイントは?

MACDでトレンドの方向性・クロスを見て、よいタイミングでエントリーしたものの、なかなか利確できない状況に陥ることもありますよね。

「ゴールデンクロスで買い注文し、デッドクロスで利確を待っていたが、クロスサインの時点では決済タイミングが遅く、利幅が小さくなった。」 なんてこともあります。

そんなときは、MACDとシグナルが乖離する部分を見ていくと決済の目安にしやすいです。

まず、大きな価格変動が起こると、クロスしたMACDとシグナルは乖離します。
ここでは、拡大した乖離幅のピーク時に注目してください。

MACDでの決済は前回の天井・底の水準と、最大乖離幅からの縮小に注目

乖離幅がピークまで拡大し、その後わずかでも縮小すれば、その後MACDは反転することの予兆となります。
「乖離幅が縮小した時点」を決済の目安にすると、大きな利幅に期待ができますので、ぜひ参考にしてみてください。

また過去の天井・底の水準も利食いに活用できるほか、MACDヒストグラムが減少に転じたポイントも利食いの目安に使えます。

また利食いの際には、MACDが0の上下どちらに位置するか、あらかじめトレンドの方向性を見極めておくようにしましょう。

MACDが急激に上昇・下落するときは売られすぎ・買われすぎであり、その後は通常の水準に戻るシグナルとなります。

こういった場面では、MACD単体ではなく、RSIなど他のオシレーター系テクニカル指標も組み合わせて検証すると、より売買判断に役立てることができます。

【まとめ】MACDの売買サインなど

基本的な使い方をまとめました。

MACDの基本
  • MACDとMACDヒストグラムは、0ラインより上で上昇トレンド、0ラインより下で下降トレンドと判断できる。
  • MACDとシグナルは、交差の角度が深いほど信頼性が高まる。反対に角度が浅ければ、信頼性は低くダマシも多くなる。
MACDの買いサイン
  • MACDが0ラインを下から上抜いたら、上昇トレンドの始まりを示唆する。(12EMAと26EMAのゴールデンクロス)
  • 0ラインより下でMACDがシグナルを上抜いたら、買いサイン。
  • MACDヒストグラムが、0ラインを下から上に逆転すれば買いサイン。
  • 価格は切り下がっているものの、MACDの安値が切り上がってクロスすれば買いサイン。(買いのダイバージェンス)
MACDの売りサイン
  • MACDが0ラインを上から下抜いたら、下降トレンドの終焉を示唆する。(12EMAと26EMAのデッドクロス)
  • 0ラインより上でMACDがシグナルを下抜いたら、売りサイン。
  • MACDヒストグラムが、0ラインを上から下に逆転すれば売りサイン。
  • 価格は切り上がっているものの、MACDの高値が切り下がってクロスすれば売りサイン。(売りのダイバージェンス)

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