相関異通貨ペアの「ユーロ/米ドル」「ポンド/米ドル」の両建てによるFXサヤ取り手法を解説!

投資で用いられるサヤ取り(鞘取り)とはアービトラージ取引とも呼ばれる手法のことで、異なる価格差(=サヤ)を狙って売買することをいいます。

FXでのサヤ取りには「A社で売り」「B社で買い」のように、異なる業者間で金利差益(スワップポイント)を狙う方法もあります。

つまりサヤ取り手法では、下記が有名です。

  1. 金利差(スワップポイント差)を狙うサヤ取り手法
  2. 価格差(レート差)を狙うサヤ取り手法
    1. 相関通貨ペアで両建てする、サヤ取り手法
    2. 逆相関通貨ペアで両建てする、すくみサヤ取り手法

今回は❷-❶の相関通貨ペアで価格差を狙う手法、つまり具体的には、値動きに連動が見られる2つの通貨ペアを両建てして、為替差益を狙う手法を解説します。

相関異通貨ペアの代表はユーロ/米ドルとポンド/米ドル

相関性の高い通貨ペアはいろいろありますが、ユーロ/米ドルとポンド/米ドルが代表的な組み合わせです。

ユーロ圏とイギリスは地理的にも経済的にも関わりが深く、レートには相関性が見られます。

ユーロとイギリスの国旗

例えば、ユーロ/米ドルが大きく上昇しているが、ポンド/米ドルには上昇が見られず、大きく乖離(かいり)していればチャンスとします。

乖離しても、同じ値動きをする通貨ペアなので、一方が乖離してもいずれどちらかに近づくとするのが基本的な考え方です。

この場合、サヤが大きく開いたタイミングでエントリーし、上昇したユーロ/米ドルは売り、ポンド/米ドルは買いで仕掛けていきます。

乖離が小さくなって、想定内の変動幅に戻ってから同時に決済すれば、必ず利益が出る仕組みです。

以下は豪ドル/円とNZドル/円の例ですが、画像で見るとイメージしやすいです。

一般的なサヤ取りは、サヤが小さくなったら両建てし、サヤが広がったら決済する手法
一般的なサヤ取り手法のイメージ

このように、通常の取引(片張り)ではなく、連動性のある異通貨ペアを両建てすることで、比較的リスクを抑えることができます。

どちらが割高・割安なのか判断の見極めが必要ですが、サヤが開いた方の通貨ペアを逆張り、と覚えるようにしてください。

相関異通貨ペアでサヤ取りの戦略とリスク

まずはどの通貨ペア同士でサヤ取りするか、通貨ペア選びがサヤ取り戦略の第一歩です。

今回は「ユーロ/米ドルとポンド/米ドル」を例としましたが、その時々によって相関傾向は変わってきます。

取引する2つの通貨ペアの相関性を、徹底的に調査して見極める必要があります。

なぜなら、せっかくエントリーしてもサヤが縮まらずに開いたままだと、逆に損失が拡大する可能性もあるからです。

相関異通貨ペアの組み合わせ例
  • ユーロ+ポンド
  • ユーロ+スイスフラン
  • ユーロ+ポーランドズロチ
  • 豪ドル+NZドル
  • 米ドル+人民元 or 香港ドル
  • カナダドル+南アフリカランド

これらをベースとし、両方の通貨に取引量の多い米ドル、ユーロ、円のいずれかを組み合わせて、もっとも相関している通貨ペアを探すのが最初の一歩です。

そしてできる限り、同じ数量でポジションを持つことが大事です。
証拠金に偏りがあると、想定外に変動したときの損失が大きくなるからです。

たとえば一方の通貨ペア(A)の証拠金が5万円、もう一方の通貨ペア(B)の証拠金が3万円だとしましょう。

この場合、通貨ペア(B)で1Lot保有するなら、通貨ペア(A)で0.6Lotを保有する形となります。

また、同時に決済するのもポイントです。
含み益のポジションだけを決済して、含み損のポジションを保有したままにしてしまうと、両建てでリスクを抑える意味がなくなるからです。

上記の通貨ペアを見ていただくと分かりますが、同一経済圏で相関しやすい通貨で組み合わせた通貨ペアは、上下の変動幅が小さい傾向にあります。

この理由もあり、ユーロ/ポンド、豪ドル/NZドルはリピート系注文において人気の通貨ペアとして君臨しています。

もし両建て戦略を考えているのであれば、同じ考え方で取引できるリピート系注文を選択するのも、ひとつの戦略です。

なおポーランドズロチ/円とユーロ/円のスワップサヤ取り手法は、以下記事でご紹介しています。

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分析に活用したいテクニカル指標など

使用するテクニカル指標ですが、単純移動平均線ボリンジャーバンドなどを使えば、レートは平均的な水準からどのくらい離れているかが分かりやすいでしょう。

しっかりと見極めさえできれば、片張りに比べれば利幅は少なくなるものの、勝率UPに期待ができます。

通貨ペアごとの相関性を見る方法は、こちらの記事でご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。