FXの基本となるテクニカル指標といえば移動平均線です。
ボリンジャーバンドはこの移動平均線をベースに、統計学でよく使われている「標準偏差」という計算を用いたテクニカル指標です。
これにより「今の価格は移動平均線の水準からみて、どれくらいばらついているか」が分かるのがボリンジャーバンドの特徴です。
グランビルの法則には、移動平均線との乖離が大きくなったとき、価格が移動平均線に向かって反転する動きを利用する逆張り戦略があります。
ボリンジャーバンドを使えば、こういった短期的なトレンドの反転を手軽に探し出すことができます。
それでは、ボリンジャーバンドの見方・使い方について解説していきます。
ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドは、1980年代の前半に、アメリカの著名なテクニカル研究家であるジョン・A・ボリンジャーによって考案されました。
分類としては、トレンド系テクニカル指標ですが、相場のトレンドを見るだけではなく、レンジ相場にも使うことができます。
以下はYJFX!のExチャートにボリンジャーバンドを表示させた例です。
FXでは定番のテクニカル指標であり、分かりやすさもあって非常に人気が高いです。ほぼ全てのFX業者のチャートではPC、スマホともに必ずといっていいほど採用されています。
チャートに表示させたボリンジャーバンドの期間(パラメーター)は任意の値に調整することも可能です。
開発者であるボリンジャー氏が推奨する20日がデフォルトとして広く使われていますが、21日や25日も使われてたりします。
順張り・逆張りどちらでも使える!
元々、ボリンジャーバンドは順張りとして考案されましたが、日本国内では一般的に逆張りとして使われています。
- 順張り:トレンド相場でトレンドに乗ってトレードする手法
- 逆張り:レンジ相場で売られすぎ・買われすぎを判断してトレードする手法
トレンド転換を探る指標であるボリンジャーバンドは、特にスキャルピングやデイトレードを行うトレーダーに多く利用されています。
順張り手法と逆張り手法は、どちらもこのページ内にて解説していきます。
まずはじっくりと、基本的な仕組みについて理解を深めていきましょう。
ボリンジャーバンドの見方
ボリンジャーバンドは統計学の標準偏差がベースとなっています。これはある一定の期間で、レートは平均値からどのぐらい乖離しているかを見ていくものです。
中心には単純移動平均線、その上下にσ(シグマ)と呼ばれる帯(バンド)が描かれ、σの収縮や拡大を見てトレンドや反転を探っていきます。
それぞれのバンドは上側がプラス、下側がマイナスのσです。移動平均線に近い位置から±1σ→±2σ→±3σとなります。
またそれぞれは下記の名称でも呼ばれています。
- +2σ・・・アッパーバンド2
- +1σ・・・アッパーバンド1
- 中心線・・・ミッドバンド、センターバンド、センターライン
- −1σ・・・ロワーバンド1
- −2σ・・・ロワーバンド2
多くの本やサイトでは一般的に±2σまでを想定した解説がされていますが、±3σの方がより信頼性が高いので、ぜひ分析に取り入れてみてください。
YJFX!のほか、GMOクリック証券のプラチナチャートも±3σまで表示ができます。
レートがボリンジャーバンドに収まる確率と異常値
標準偏差をもとにすると、レートがバンドに収まる確率は以下です。
- ±1σに収まる確率 = 68.3%
- ±2σに収まる確率 = 95.5%
- ±3σに収まる確率 = 97.7%
つまり、標準であればレートは±2σないし±3σの範囲内に収まると考えられるため、±2σ、±3σを抜ければ為替レートの異常値と判断ができますよね。
「買われ過ぎ・売られ過ぎたため、レートは平均値に徐々に収束するだろう。」とするのが、ボリンジャーバンドの根本的な見方となります。
ボリンジャーバンドは5本のバンドの形を見るだけ!
ボリンジャーバンドは、バンドの形状で相場の先行きを捉えて分析していきます。
バンドの形状には次の3種類と、ローソク足の動きを表すバンドウォークがあります。
- スクイーズ(バンド収縮の最小地点)
- ボージ(バンド拡大の最大地点)
- エクスパンション(バンドの拡大)
- バンドウォーク(トレンドの継続)
こちらでは分かりやすく、+2σ〜−2σを例に解説します。
まず、バンド上下の幅がもっとも狭く収縮した形状をスクイーズといいます。

スクイーズが発生したら、これから大きなトレンドが現れるかもしれない変化の前兆と捉えていきましょう、
スクイーズとは逆に、バンド幅がもっとも拡大した形状をボージといいます。

バンドの拡大から収縮し始めた動きが表れてからボージとなるため、継続した強いトレンドの変化を示します。
収縮しているスクイーズから拡大した状態をエクスパンションといいます。

バンドが拡大してエクスパンションとなってくれば、より大きなトレンドの継続に期待ができます。
ローソク足がバンドに沿って位置し、上(または下)にトレンドが強く推移している状態をバンドウォークと呼びます。

トレンドが形成され、また強く継続するほど、バンドウォークという『バンド上をレートが歩く』ようなイメージの動きが発生します。
ボリンジャーバンドではこれらの形状を見てチャート分析をしていきますので、しっかりと頭に入れておきましょう。
ボリンジャーバンドを “逆張り” で使う方法
まずは、もっともオーソドックスな「逆張り」での使い方です。
為替レートが+2σに達したら上がりすぎ(買われすぎ)、
為替レートが−2σに達したら下がりすぎ(売られすぎ)であると判断します。
参考チャート:YJFX! [豪ドル/円、1時間足、2017年11月中旬〜下旬のデータ]
為替レートが+2σを上抜いたら、売りサイン。
為替レートが−2σを下抜いたら、買いサイン。
レンジ(ボックス)相場で使われる逆張りですが、このような相場のときはややボラティリティが低くバンドは狭めで、なおかつそれぞれのバンドが水平気味に推移します。
ひとつポイントですが、5本ないし7本がきれいな横向きになっているとき、逆張りをしかけやすい相場といえます。
逆張りは、保ち合って推移するレンジ相場や、穏やかなトレンドが継続しているトレンド相場では有効的ですが、大きなトレンドが発生したり相場急変時となれば、エントリーした反対方向にレートが動くと負けトレードとなってしまいます。
バンドがエクスパンション(拡大)し、±2σに達した時点でエントリーしても、トレンドが継続となればバンドウォークが発生し、自分が想定した反対方向へと相場が推移するからです。
ジョン・ボリンジャー本人が「逆張りで使うべきではない。」として順張りを推奨しているのも、逆張りにおいて±2σを基準とした単純な売買戦略では、ミスも多いからなのでしょう。
逆張りの注意点として、短期売買に限定することと、バンドウォークが発生したらすぐに損切りすることです。オシレーター系の指標を併用して、売買サインの精度を高めていくのもいいでしょう。
ボリンジャーバンドを “順張り” で使う方法
ジョン・ボリンジャー自身は、ボラティリティ・ブレイクアウトと呼ばれる、順張りでの手法を推奨しています。
これは、スクイーズ(収縮)したバンドが横ばいからエクスパンション(拡大)し、レートが±2σの外に抜けたときに、ブレイクした方向にエントリーする方法です。
参考チャート:YJFX! [米ドル/円、4時間足、2017年11月中旬〜下旬のデータ]
バンドが収縮から拡大し、為替レートが+2σを上抜いたら買いサイン。
バンドが収縮から拡大し、為替レートが−2σを下抜いたら売りサイン。
小さい動きの中でエネルギーを蓄えた相場が、ボラティリティ(価格の変動幅)が高まり、バンドを突破(ブレイクアウト)したときに、大きなエネルギーが放出されるイメージです。
ボラティリティ・ブレイクアウトは、バンドの拡大とともにバンドウォークとなる可能性が高まり、このバンドウォークの発生は、トレンドの形成を意味します。
例えば、日足でチャートをみて、±1σに沿ってレートが推移しているなら、現在はトレンド相場であると判断してよいでしょう。
このバンドウォークはそんなに多くは現れませんが、出現したときは信頼性の高い強いサインとして見ることができます。
エントリーするときのタイミングですが、直近高値の上抜け・直近安値の下抜けも参考にしてみてください。
補足ですが、天井圏・大底圏以外で大半を占めるメイントレンドの大半では、「保ち合い(小休止)」と「放れ(大きく一方向に上昇)」によってマーケットは構成されています。
とくに「マーケットの7割がレンジ相場」とも言われていますが、つまり保ち合っているということは、レンジ相場であることを示すことになります。
通常、保ち合っているときはボラティリティ(価格変動率)が低くなり、放れたときはボラティリティが高まっていきますが、これをボリンジャーバンドに当てはめれば、保ち合いがスクイーズ、放れがエクスパンションとなります。
このとき強い上昇なら+2σを上抜けで買い、強い下落なら−2σを下抜けで売りとするのが、ボラティリティ・ブレイクアウトの基本的な考え方となります。
順張りの決済ポイントは?
バンドが拡大から収縮に推移したら、相場はエネルギーを出しきってトレンドが終わり、レンジ相場へと移行したことを意味します。
つまり、エクスパンションからスクイーズへと変化すれば、決済のポイントとして判断ができます。
このとき、買い注文から入ったなら、広がった下のバンドが反転したときが決済ポイントとなるのですが、もっと大きく利幅を狙いたいなら、上のバンドが反転したタイミングで決済するといいでしょう。
また、順張りではエクスパンションが±3σまで達したときは勢いが強すぎるという理由から、決済のポイントとして見られることもあります。
順張りの決済ポイントについて、+2σを上にブレイクアウトしたケースを例にします。
保ち合い上放れにより+2σが右肩上がり、-2σが右肩下がりで推移した相場が目先天井(近い将来高値はピークをつけるだろうとする見方)となると、+2σは右肩上がりを継続する一方で、-2σも右肩上がりに転じます。
目先天井打ち(ピーク)後、バンドウォークの状態となれば、-2σバンドは再び右肩下がりとなります。
このとき中央の移動平均線まで下落したり、移動平均線を下抜けてきたとき、-2σが右肩上がりで推移し、+2σが右肩下がりとなってくれば、下落の勢いが増してきたことを示します。
ちょうどこのときのタイミングが、トレンド転換の節目となる決済のポイントとなってきます。
このような状態になると、保ち合い上放れによる上昇トレンドは終わったと判断でき、次は下放れのタイミングを狙っていく形となります。
順張りの新規トレンド探しは、±2σに注目!
順張りでトレンドの形成を見るには、レートが動いた反対方向の±2σを見ていきましょう。
トレンドとなれば、レートが動いた反対方向のバンドも拡大します。
例えば、レートが上昇すれば、+2σのバンドの拡大とともに、−2σは下方向に拡大するということです。
-2σが下方向に拡大しない場合はトレンドとはなりません。
エントリーの際には、エクスパンションしてバンドウォークしたポイントを探るのではなく、「スクイーズしてきたからこれから大きく相場が動きそうだ。」と前兆を捉える心構えを持つのがコツです。
ボリンジャーバンドの中心線は移動平均線ですので、このセンターラインの傾きだけでも、トレンドを見ることができます。
順張りの場合は、センターラインが上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンドと判断ができます。
ダマシ(ヘッドフェイク、ボトムフェイク)の回避方法
ボリンジャーバンドにはヘッドフェイク、ボトムフェイクと呼ばれるダマシが出現します。
それぞれはいわゆる逆張りの売買サインですが、順張りの際にはダマシとなってしまいます。
ヘッドフェイクやボトムフェイクを回避するには、価格と中心の移動平均線の位置関係を見ながら、適正な位置に逆指値注文を入れておくことです。
それにより、損失を最小限に抑えつつ利益の確保ができます。
ただし、あまりにも反転してすぐに決済される位置にストップロスを入れていると、相場の小休止に引っかかってトレンドに乗り損ねてしまいます。
また「±2σをブレイクするときの初動は戻されやすい。」という相場の傾向があります。
そのため、順張りでは最初のブレイクのタイミングを見送るのも、ボリンジャーバンドでダマシを回避するやり方のひとつです。
見方を変えれば、初動のブレイクを見送ることで、押し目買いや戻り売りを狙う戦略が生きてくるという訳です。
ボリンジャーバンドの注意点は?
順張り手法と逆張り手法、どちらが優れているという訳でもありません。
考案者は順張りを推奨していますが、日本国内では逆張りでの使われ方がメジャーです。どちらの手法にも長所・短所がありますので、相場を見極めて使い分けていきましょう。
また、ローソク足のヒゲが±2σを抜けるときは、ダマシの危険もあるので注意が必要です。ヒゲではなく、実線の方が信頼性は高くなります。
【まとめ】ボリンジャーバンドの売買サインなど
基本的な使い方をまとめました。
逆張り手法は、上下一定幅で推移するレンジ相場やもみ合っている局面、一定幅で切り上がる(下がる)トレンド相場に有効的。
逆に、トレンドが形成され始めた相場や、相場急変時はバンドの上限・下限に張り付いて推移するので、逆張りは負けトレードの可能性が高くなる。
順張り手法は、トレンドが形成され始めた相場に有効的。
逆に、上下一定幅で推移するレンジ相場や、一定幅で切り上がる(下がる)トレンド相場はでは、順張りは負けトレードの可能性が高くなる。
- 為替レートが−2σを下抜いたら、買いサイン。(逆張り)
- バンドが収縮から拡大し、為替レートが+2σを上抜いたら買いサイン。(順張り)
- 為替レートが+2σを上抜いたら、売りサイン。(逆張り)
- バンドが収縮から拡大し、為替レートが−2σを下抜いたら売りサイン。(順張り)
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