FXでは、初心者にも取引しやすい通貨ペアがあることを知っていますか?
売買に興味を持つと、通貨ペアにはさまざまな組み合わせが存在することが分かりますね。
もちろん初心者には「米ドル/円」がおすすめなのは間違いありませんが、米ドル/円以外にも取引しやすい通貨ペアが存在します。
逆に、取引しやすいと考えていたけど、はじめてのFXでなんとなく選んだ通貨ペアは、実は値動きが大きくて変動リスクを伴っていた通貨ペアだったとなることもあります。
これこそが、初心者の通貨ペア選びにおいて失敗しがちな点です。
そのため当記事では、取引量と変動率に注目して色々な通貨ペアの特徴を解説します。
さらに、「取引量ランキングも加味した通貨ペアの選び方」と「初心者おすすめの通貨ペア」をご紹介します。
通貨ペア選びのポイント
どんな通貨ペアを選ぶのか、それは「どんな取引をしたいのか」を明確にすると、自ずと対象の通貨ペアが絞られてきます。
取引量が多いほど値動きが安定しやすい
値動きが安定した通貨ペアで取引したいなら、取引量(=流通量、流動性)に注目しましょう。
取引量が多い通貨ペアは「売りたい」「買いたい」という需要のある通貨ペアですので、不安的な値動きをしにくい特徴があります。
これにより、取引量が多い通貨ペアはトレンドを形成しやすいことも特徴となってきます。
逆に取引量が少ないと値動きが安定しにくいことで、為替レートが上下不安定に動いたり、急騰・急落しやすい特徴があります。
上記は2021年1月27日の5分足チャートですが、ローソク足のなめらかさに違いがあるのが分かりますね。
取引量が少ない通貨ペアはヒゲが長く、値動きを見ても方向性が明確ではない状況であるといえます。
つまり取引量の大小を見ることで、トレンドを狙ったトレードに向く通貨ペアか、そうでない通貨ペアであるか判断の目安使うことが可能です。
取引量と変動率のバランスで考える
取引量と同時に、変動率(ボラティリティ)も通貨ペア選びのポイントです。
香港ドルはペッグ制(固定相場制)のひとつであるカレンシーボード制といい、米ドルの値動きに合わせて動くドルペッグ制を採用しています。
シンガポールドルは、通貨バスケット方式の管理変動相場制という仕組みを採用しており、主要通貨と一定の変動で動く通貨です。
ともに仕組みは違いますが、どちらも変動を抑えられた通貨となっています。
欧州通貨には、ユーロの値動きに合わせて動くユーロペッグ制を採用する、デンマーククローネやハンガリーフォリントなどの通貨もあります。
いくら取引量が多くて値動きが安定していても、こういったメジャー通貨の値動きと一定の変動を維持する通貨は、変動幅が抑えられているため、為替変動による収益の期待値は低めです。
さらにペッグ制の通貨以外のマイナー通貨、つまりトルコリラなどの新興国通貨は取引量の少なさにより、変動率が大きいため初心者向きではありません。
参考リンク:マネーパートナーズ|変動率・高低差
また主要通貨(米ドル、ユーロ、円、ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、スイスフラン)以外の通貨ペアは、FXの世界では全てマイナー通貨ですが、メジャー通貨でも組み合わせによっては変動率が大きくなります。
トレンドを形成しやすい通貨ペアで穏やかな値動きを狙うなら、取引量が多く、なおかつ変動率が少ない通貨ペアを選ぶことがポイントです。
ポンド絡みは変動が大きくトレンドが強い
殺人通貨の異名もあるポンドは、変動が大きく、大きなトレンドも形成しやすい特徴がある通貨ペアです。
取引量の多い特徴に加えて、変動幅も大きいことから、ヘッジファンドによる投機的なトレードの対象になりやすい傾向にあります。
つまりポンドは短期的に大きな利益を狙ったトレードの対象となりやすく、短期ではデイトレードで大きな変動を狙う大口投資家による動きを見せやすいということです。
ポンド自体の取引量は少ないと記載するサイトもあります。
しかし2022年のBISの通貨別シェアによると、世界第3位の日本円が8.3%のシェアに対し、世界第4位ポンドは6.5%のシェアであり、日本円に比べるとそこまで大きな差は見られていません。
参考リンク:OTC foreign exchange turnover in April 2022 – BIS
ポンド関連の通貨ペアは、短期的には上下に激しい動きを見せながら、長期で判断すれば大きなトレンドとなるケースも多いです。
ポンドは初心者向きではありませんが、取引数量とレバレッジを下げること考慮する必要はある分、中長期で大きな収益に期待ができる通貨です。
分かりやすさ重視ならクロス円かドルストレート
通貨ペアは「左の通貨/右の通貨」で構成されますが、右の決済通貨で、左の主軸通貨を取引する仕組みです。
米ドル/円の新規買い注文と決済売り注文を例にすれば、(日本円を決済して)米ドルを買って保有し、(日本円を決済して)米ドルを売ってポジションをフラットにする形ですね。
つまり私達は日本人ですから、円からの目線で「米ドルが上がるなら(強ければ)買い」「米ドルが下がるなら(弱ければ)なら売り」とシンプルに考えられますね。
クロス円は基軸通貨の米ドルを介する仕組みで、ユーロ/円などクロス円のメジャー通貨ペアは、米ドル/円と同じように動きやすい性質もあります。
ユーロ/円で米ドルに一切値動きがないとするなら、ユーロが上がるなら買い、ユーロが下がるなら売り、と判断ができますね。
これがドルストレートの場合でも、分かりやすいです。
ユーロ/米ドルやポンド/米ドルのように、「米ドル/円以外」の主要通貨では、米ドルが決済通貨となっています。
つまり米ドル/円以外のドルストレートでは、アメリカ人になった感覚で、米ドル目線でユーロ、ポンドは強いか弱いかを判断していけばいいだけ、とシンプルなのです。
円を介さないクロス通貨を選ばなければ、それほど身構える必要はありません。
世界のFX取引量ランキングTOP10
BISが4年ごとに公表している、世界の通貨ペア別取引量ランキングの上位10通貨ペアをご覧ください。
取引量 ランキング | 通貨ペア | 取引量 (10億米ドル) | シェア |
---|---|---|---|
ユーロ/米ドル | 1,706 | 22.7% | |
米ドル/円 | 1,014 | 13.5% | |
ポンド/米ドル | 714 | 9.5% | |
4位 | 米ドル/人民元 | 495 | 6.6% |
5位 | 米ドル/カナダドル | 410 | 5.5% |
6位 | 豪ドル/米ドル | 381 | 5.1% |
7位 | 米ドル/スイスフラン | 293 | 3.9% |
8位 | 米ドル/香港ドル | 178 | 2.4% |
9位 | 米ドル/SGドル | 170 | 2.3% |
10位 | 米ドル/ウォン | 128 | 1.7% |
参考リンク:BIS – Foreign exchange turnover in April 2022
米ドル/円、ユーロ/円以外は、なかなか馴染みがない通貨ペアが多いかもしれませんね。
こうしてみると、残念ながらポンド/円や、スワップ狙いで人気のトルコリラ/円や南アフリカランド/円はマイナー通貨ペアだと言えます。
それでは取引量に変動率も加えて、通貨ペアの特徴を見ていきましょう。
主要通貨ペアの変動率
先ほどの通貨ペアランキングでトレード向きの通貨ペアと、人気の対円通貨ペアを中心に、通貨ペアごとの変動率を一覧にしました。
通貨ペア | 価格の変動幅 (pips) | 価格の変動率 (%) |
---|---|---|
USD/HKD | 57.98 | 0.07 |
USD/CNY | 129.77 | 0.18 |
USD/INR | 147.99 | 0.18 |
USD/SGD | 54.43 | 0.4 |
EUR/GBP | 36.8 | 0.43 |
USD/CAD | 66.97 | 0.49 |
EUR/CAD | 76.32 | 0.52 |
GBP/CAD | 95.15 | 0.56 |
USD/DKK | 390.98 | 0.56 |
AUD/NZD | 63.4 | 0.58 |
EUR/USD | 62.19 | 0.58 |
EUR/CHF | 56.71 | 0.59 |
GBP/USD | 81.53 | 0.65 |
GBP/AUD | 130.75 | 0.67 |
AUD/CAD | 59.56 | 0.68 |
CAD/CHF | 44.33 | 0.68 |
EUR/AUD | 113.66 | 0.68 |
GBP/CHF | 75.8 | 0.68 |
USD/CHF | 62.01 | 0.7 |
GBP/NZD | 149.57 | 0.71 |
EUR/NZD | 131.83 | 0.73 |
CHF/JPY | 134.18 | 0.81 |
AUD/CHF | 50.1 | 0.87 |
EUR/JPY | 139.42 | 0.89 |
USD/JPY | 130.16 | 0.89 |
AUD/USD | 58 | 0.9 |
CAD/JPY | 99.03 | 0.92 |
NZD/USD | 55.35 | 0.94 |
GBP/JPY | 174.04 | 0.95 |
USD/SEK | 1,110.13 | 1 |
AUD/JPY | 98.87 | 1.05 |
NZD/JPY | 91.35 | 1.05 |
USD/BRL | 556.53 | 1.13 |
USD/ILS | 440.17 | 1.16 |
USD/ZAR | 2,323.05 | 1.23 |
USD/MXN | 2,224.85 | 1.29 |
USD/RUB | 12,650.70 | 1.34 |
XAU/USD | 3,025.21 | 1.58 |
XAG/USD | 7,536.83 | 3.27 |
参考リンク:https://jp.investing.com/tools/forex-volatility-calculator
米ドル/円の変動率は0.89%ですが、レートを100円とした場合、年間で1日あたりの平均変動幅は89pipsといったイメージですね。
また、同じ地域を組み合わせた通貨は変動率が少ないことが分かりますね。
欧州ならユーロ/スイスフラン、北米なら米ドル/カナダドル、オセアニアなら豪ドル/NZドルが該当しますが、これは同一地域の通貨は相関性があることが理由です。
そしてクロス円に比べると、米ドル/円は変動が大きくない通貨ペアで知られていますが、ユーロ/米ドルもほとんど同じ水準であることが確認できます。
FX初心者で、証拠金が少ない豪ドル/円やNZドル/円に興味を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
意外にも豪ドル/円とNZドル/円は、ポンド/円と同程度か、それ以上に動く通貨ペアなのです。
また対ドルで高金利通貨は変動率が大きいことが確認できますが、これが対円になると、さらに変動率も大きくなります。
取引量が多い通貨ペアの特徴
まずは、取引量の多さでおすすめな通貨ペアの特徴をご紹介します。
※あまりトレードに向いていないアジア通貨は除外しています。
ユーロ/米ドル
言わずと知れた、世界の取引量第1位の基軸通貨である米ドル、取引量第2位となるユーロの組み合わせによる通貨ペアです。
ユーロ/米ドルは世界でもっとも取引されており、約四分の一を占める取引量であることから安定した値動きを見せます。
これによりテクニカル分析が効きやすい側面も併せ持っています。
米ドルを中心に、相対的にユーロとの強弱を判断していけばいいので、クロス円ほど難しさがないのが魅力です。
米ドル/円と同じくらいのボラティリティであり、ユーロは情報量も多いことから、実は初心者でもチャレンジしやすい通貨ペアとなっています。
取引量ランキング | 変動率 |
---|---|
1位 | 0.58% |
米ドル/円
米ドル/円は、初心者の始めやすい通貨ペアでNo.1に君臨する存在です。
アメリカの情報はニュースでも多いことから、情報量の多さ、取引量の多さによる値動きの穏やかさ、親しみやすさにおいては、群を抜いて取引しやすいと言えます。
ユーロ/米ドル同様、テクニカル分析がしやすい通貨ペアなので、FXを始めたらまずは米ドル/円からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
取引量ランキング | 変動率 |
---|---|
2位 | 0.89% |
ポンド/米ドル
ポンド/米ドルは、世界で4番目に取引量が多いポンドと米ドルの組み合わせです。
そしてポンドは、世界的には3番目に取引されている通貨ペアです。
投機的な売買による値動きを見せやすいことから、ユーロ/米ドル、米ドル/円に比べるとボラティリティは高くなります。
基本的には米ドルに対してユーロ、ポンドともに同じように動きやすく、ユーロ/米ドルとポンド/米ドルは似た動きやすい傾向にあります。
とはいえポンドは同じ欧州通貨のユーロ主導で引率されやすいことで、ユーロ/米ドルの動きに引っ張られやすい特徴があります。
またユーロよりポンドの取引量が少ないことで、ユーロ/米ドルよりも値動きが激しくなります。
中長期にかけては明快なトレンドとなりやすいため、短期的な値動きに翻弄されやすいデイトレードよりも、スイングトレードを中心にチャレンジするのがおすすめです。
取引量ランキング | 変動率 |
---|---|
3位 | 0.65% |
米ドル/カナダドル
米ドル/カナダドルは世界で5番目に取引量が多い通貨ペアですが、メジャー通貨の組み合わせの中でもボラティリティはそれほど大きくないのが特徴です。
カナダはアメリカの政策金利を追従傾向にあり、アメリカと陸続きだけあって経済も密接に関わっていることから、カナダドルは米ドルと同じように動きやすい傾向があります。
一見すると米ドルとカナダドルは正相関が強そうですが、資源国通貨の側面により、そこまで相関関係は強くなく、米ドルだけの値動きを見ていけばいい訳でもありません。
この理由はカナダは産油国であり、金の産出量も多いことから、カナダドルは原油価格や金価格との相関性があるからです。
そのため同じ資源国通貨の豪ドルと同じように動きやすく、(通貨の並び順が違う)AUD/USDと比べると、鏡に写して上下逆さにしたような動きをしやすい特徴もあります。
取引量ランキング | 変動率 |
---|---|
5位 | 0.49% |
豪ドル/米ドル
豪ドル/米ドルは、ポンドに次いで世界で6番目に取引量の多いオーストラリアの通貨、豪ドルと米ドルの組み合わせです。
そして豪ドルは、世界で6番目に取引量が多い通貨です。
鉱物資源の産出国であるオーストラリアは輸出先で中国が占める割合が高いことから、中国経済の明暗が反映されやすい特徴があります。
つまり人民元の擬似的通貨の側面があり、アメリカと中国、二国間の思惑が反映されやすい異質の通貨ペアでもあります。
ポンド/米ドルと同程度のボラティリティがあり、長期にかけてトレンドが継続しやすい特徴があるため、スイングトレード向きの通貨ペアといえます。
取引量ランキング | 変動率 |
---|---|
6位 | 0.9% |
米ドル/スイスフラン
米ドル/スイスフランは、世界で7番目に取引量が多い通貨ペアです。
また対ユーロのユーロ/スイスフランは世界で18番目に取引の多い通貨ペアですが、米ドル/スイスフラン、ユーロ/スイスフランはともにボラティリティは低めです。
安全資産で知られるスイスフランは、通常時はそれほど注目されておらず、投機的なトレードの対象にはなりにくい特性があるからです。
しかしアメリカに不安材料が発生したとなれば、スイスフランがより注目されて買われやすくなる傾向にあります。
つまりスイスフラン買い・米ドル売りなら、米ドル/スイスフランは下落となります。
アメリカに好材料が出てくれば、スイスフランなどの安全資産の買い意欲が弱まり、米ドル買いなら、米ドル/スイスフランは上昇の流れとなります。
取引量ランキング | 変動率 |
---|---|
7位 | 0.7% |
ユーロ/ポンド
ブレグジット(イギリスのEU離脱)で揺らめぐユーロ/ポンドは、ドルストレート以外ではもっとも注目されている通貨ペアだといえます。
ポンドは同じ欧州通貨のユーロと正相関の関係にある通貨ですが、クロス通貨だけあってボラティリティは高く、ユーロ、ポンド、米ドル3つの通貨の動きを考えていく必要があるため難易度は高くなります。
とはいえ米ドルを抜いて考えれば、ポンドにポジティブ(ユーロがネガティブ)な材料が出たらユーロ/ポンドは下落、ポンドにネガティブ(ユーロがポジティブ)な材料が出たらユーロ/ポンドは上昇となります。
値動きが激しいポンド絡みの通貨ペアに限定すれば、ユーロ/ポンドは変動率は穏やかな部類なので、ポンドの入門向け通貨ペアとして検討することもできます。
取引量ランキング | 変動率 |
---|---|
16位 | 0.43% |
ユーロ/円
ドルストレートが世界の取引量上位を占める中、TOP20のうち米ドル/円以外で唯一13位にランクインするのがユーロ/円です。
世界第2の基軸通貨ユーロ、世界第3位の取引量となる日本円の組み合わせで、三大メジャー通貨のペアということもあり、主要な通貨ペアのなかでは比較的値動きが穏やかな傾向にあります。
「米ドル/円よりも変動を求めるが、ドルストレートやポンドには抵抗がある」なんて方は、次のステップとしてチャレンジしやすい通貨ペアだといえます。
取引量ランキング | 変動率 |
---|---|
17位 | 0.89% |
対円通貨ペアの特徴
先ほどご紹介した米ドル/円、ユーロ/円以外で、日本人トレーダーに人気がある対円通貨ペアの特徴をご紹介します。
ポンド/円
ポンド/円は変動を求めるトレーダーに大人気の通貨ペアです。
金融先物取引業協会のデータ(2016年1月〜直近5年間)を見ても、国内では米ドル/円の次いで2番目に取引金額の多い通貨ペアです。
親しみやすいクロス円であることも人気の理由ですが、世界的にはポンド/円の取引量は多くありません。
ボラティリティはポンド/豪ドル、ポンド/NZドルに劣るものの、ユーロ/ポンド、ポンド/米ドル、ポンド/スイスフランを上回る大きさであることは理解した上で取引を行いましょう。
変動の大きいポンドと米ドルを介したクロス円の仕組みにより、トレンドに乗れば、ポンド/米ドルよりもさらに大きな利益の追求に期待ができる通貨ペアとなります。
豪ドル/円
日本国内ではポンド/円、ユーロ/米ドル、ユーロ/円とともに取引量が多い通貨ペアです。
豪ドルはポンドよりも取引量が少なく、実はポンド/円と同程度のボラティリティがある通貨ペアです。
前述のとおり鉄鋼資源の輸出量が多いことから、相関性が見られる鉄鉱石価格(Iron Ore)の推移も豪ドル/円の取引に欠かせません。
数ある先進国通貨のなかでも、オーストラリアは政策金利が低い水準であることから、スワップポイントの受け取りには一切期待できませんので、金利面を考慮しない取引を行いましょう。
クロス通貨で米ドルの影響を受けるため、資源価格の変動がニュースに流れたら注目したい通貨ペアです。
NZドル/円
NZドル(ニュージーランドドル)はオーストラリアと同じオセアニアの通貨で、豪ドル同様に資源国通貨と呼ばれています。
しかし鉄鉱石などの鉱物資源ではなく、羊などの食肉や乳製品など、畜産や酪農による資源が主な産業となっています。
今では当たり前に資源国通貨の位置付けですが、実は畜産や酪農は、資源や商品(コモディティー)の定義である鉱物、エネルギー、農作物には該当しないため、正しくは資源国通貨とは言いがたい面もあります。
経済的な結び付きが強い豪ドルとの相関性が高く、中国への輸出量が多いことから中国経済の影響も受けやすい特徴があります。
豪ドル/円同様にスワップポイントの受け取りには期待できず、取引量が乏しいことから豪ドルに比べるとボラティリティーは高めであることも特徴です。
取引には、乳製品の国際価格を示すフォンテラ社のGDT国際価格にも注目です。
南アフリカランド/円
南アフリカランド/円は、FXでは高金利通貨のペアとして定番ともいえる存在です。
プラチナや金の産出量が多いことから貴金属価格の影響を受けやすい資源国通貨であり、政策金利が高いことでスワップポイントの受け取りにも期待ができます。
一方で取引量が少ない新興国通貨であり、ボラティリティーは変動率が大きいことで知られるポンド/豪ドルを上回ります。
対円の場合は、ドルストレートの米ドル/南アフリカランドよりもボラが高くなります。
取引の際にはレバレッジを下げて取引量を増やしすぎない対策をとり、急落リスクを考慮する必要があります。
トルコリラ/円
トルコリラ/円は、FX業界最高峰のスワップポイントが魅力の通貨ペアです。
南アフリカランド/円同様にボラティリティーが高く、対円の場合はドルストレートを上回る変動率があります。
政治、軍事といった地政学リスクがあり、長期的には下降トレンドのため、買いポジションの保有にはしっかりタイミングを検討して見極める必要があります。
メキシコペソ/円
高金利通貨として南アフリカランド/円、トルコリラ/円とともに台頭するのが、メキシコペソです。
メキシコは銀などの鉱物資源をはじめ、石油や天然ガスなどエネルギー資源の算出が多いため、資源国通貨となります。
アメリカとの陸続きにより経済的な依存が高く、アメリカの経済政策による影響も大きいことから、メキシコペソ相場を見ていく上で、米ドル相場を見ていくことも欠かせません。
新興国通貨で南アフリカランド/円、トルコリラ/円同様にボラティリティーが高いため下落リスクに注意する必要がありますが、メキシコペソ/円はこれら2通貨ペアに比べると若干ボラティリティーは低めの傾向にあります。
初心者におすすめの通貨ペア
初心者におすすめの通貨ペアは「米ドル/円」です。
値動きの安定度、変動の少なさ、情報量の多さと三拍子揃った通貨ペアで、テクニカル分析しやすい通貨ペアです。
次いで挙げるのが同じ理由で「ユーロ/米ドル」です。
米ドル/円以上の取引量が多く、テクニカル分析の入門としてもおすすめできる通貨ペアです。
取引量が多い通貨ペアほどテクニカル分析が効きやすい理由は、こちらの記事をご覧になってみてください。
ある程度取引に慣れて、米ドル/円の値動きが物足りない方は「ユーロ/円」が選択肢となります。
もし豪ドルやポンドの取引をしたいなら、豪ドル/円やポンド/円よりも値動きが穏やかな「豪ドル/米ドル」「ポンド/米ドル」がおすすめです。
初心者ほどドルストレートに拒否反応を起こしてしまうかもしれません。
しかしFXの世界は『米ドルが中心』なので、円中心で考えると、意外にも変動リスクがあることを見逃しがちです。
まだFXを始めていない方も、すでに実践中の方も、広い視野でマーケットを見渡していくようにしましょう。
初心者に向いていない通貨ペア
親しみやすい対円の通貨ペアですが、ポンド/円、豪ドル/円、NZドル/円などは、ドルストレートに比べると取引量が少ないことから変動率も大きくなりやすいです。
豪ドル/円、NZドル/円はレート水準の低さにより、少ない証拠金で始められる魅力がありますが、まずは米ドル/円に慣れてからチャレンジするのがおすすめです。
スワップ収益狙いで人気のトルコリラ/円、南アフリカランド/円、メキシコペソ/円は為替変動が激しいです。
とくにトルコリラ/円は長期で下降トレンドで、スワップポイント目的で買いに執着してしまうと、下降トレンドから目を背けてしまう可能性があります。
長期的な動向だけではなく、短期でスワップポイントを狙う戦略を考える必要もあるように、難易度は高いため初心者にはおすすめしません。
どうしても高金利通貨を取引したいなら、最小1万通貨か10万通貨の業者がほとんどなので、1,000通貨から取引できる業者を選びましょう。
高金利通貨は、最初は少額で始めるようにしてください。
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