テクニカル分析には、ローソク足を使った分析方法、水平線やフィボナッチ・リトレースメントなどの描画ツールを使った分析方法、そしてテクニカル指標を使った分析方法があります。
数あるテクニカル分析において、移動平均線はもっともスタンダードであり、分析においても重要度が高いテクニカル指標といえます。
この移動平均線を使うことで「トレンドの方向性」を判断でき、売買タイミングを判断するのに役立てることができます。
そして移動平均線はFXのみならず、株式やCFD、暗号資産などの分析でも広く利用されています。
つまりこれから投資を行っていくにあたり、移動平均線の使い方を身に付けることは必須項目だといえるのです。
それでは移動平均線の基礎から見方、使い方について解説します。
移動平均線とは?
まずは、移動平均線の概要について見ていきましょう。
移動平均線とは、「過去の一定期間の為替レートの平均値」を表すテクニカル指標です。
仕組みは単純で、5日移動平均線なら直近5日間の終値を合計し、それを5で割ると単純移動平均線(SMA)の値となります。
細かな値動きに翻弄されないためにレートを平均化させることで、日々動く為替の動向がより捉えやすくなる特徴を備えています。
FX業者のチャート設定では5、10、13、21、25、50、75、90、200などの期間が選択でき、例えば5日であれば「過去5日間の終値のレートの平均値」として表されます。
過去の一定期間の平均値としてチャートに表示させる移動平均線ですが、それぞれの期間ごとに短期移動平均線、中期移動平均線、長期移動平均線と呼ばれます。
一般的には短期が5日、中期が13日、長期が21日、または短期が25日、中期が25日、長期が75日などと初期設定されていますが、長期目線での売買なら期間を長くしたりと、自分に合った期間を探してみるのもいいでしょう。
期間について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
移動平均線を使って売買のポイントを探る手法に、グランビルの法則があります。
グランビルの法則を編み出したジョセフ・E・グランビルによって、移動平均線は広く利用されるようになりました。
メジャーな移動平均線にはSMA、EMA、WMAがある
移動平均線にはSMA、EMA、WMA、GMMAなどがあります。
- SMA(単純移動平均線)
- もっとも基本的な移動平均線。単に移動平均線というと、こちらのSMAを指します。
- 過去チャートの平均値から計算されるので、直近の値動きからはやや遅れますが、大きなトレンドを見るのに適しています。
- WMA(加重移動平均線)
- より直近の値動きを重視させた指標です。
- レンジ相場や乱高下しているときはには適していませんが、緩やかな相場では効果を発揮します。
- EMA(指数平滑移動平均線)
- WMAよりもさらに直近の価格に比重を置いた移動平均線です。
- 直近の値動きに敏感に反応するので、SMAよりもトレンドの転換を早めに確認ができます。
- GMMA(複合型移動平均線)
- WMAを12本表示させた移動平均線です。
- 複数の移動平均線を用いて、相場の方向性や売買シグナルを捉えようとするのが特徴です。
この中でも、とくに使われているのがSMAとEMAです。
移動平均線は英語で「Moving Average」といい、投資家の方は頭文字をとってMAと呼んだりします。例えば、21日のSMAであれば21MAと略されます。
移動平均線は他にもいろいろある
あまりメジャーではありませんが、この他にもいくつか種類があります。
すべてを覚える必要はありませんが、参考として頭の隅に入れておいてもいいかもしれません。
- DMA(Displaced Moving Average, ずらした移動平均線)
- SMMA(Smoothed Moving Average, 平滑移動平均線または修正移動平均線)
※RMA(Running Moving Average)、MMA(Modified Moving Average)も同義。 - LWMA(Linear Weighted Moving Average, 線形加重移動平均線)
- TMA(Triangle Moving Average, 三角移動平均線)
このなかではDMAを愛用するプロトレーダーも多くいます。DMAの使い方はこちらで解説しています。
オシレーター系テクニカル指標のMACDはEMA(一般的に12日と26日)を使ったテクニカル指標です。
多くのトレーダーに人気のMACDは、オシレーター系特有の強弱を判断する見方だけではなく、EMAベースなだけにトレンドの方向性を判断する使い方もできます。
移動平均線の見方
移動平均線の見方として、上昇しているのか、下降しているのか、またその角度も判断材料とされています。
- 移動平均線が上向きのとき、価格がローソク足の上を推移すれば上昇トレンド
- 移動平均線が下向きのとき、価格ローソク足の下を推移すれば下降トレンド
- ローソク足が移動平均線を上抜いたら買いサイン
- ローソク足が移動平均線を下抜いたら売りサイン
- 短期移動平均線が長期移動平均線を上抜いたら買いサイン(ゴールデンクロス)
- 短期移動平均線が長期移動平均線を下抜いたら売りサイン(デッドクロス)
- 移動平均線をサポートライン、レジスタンスラインの目安にする
このうち、移動平均線で言わずと知れた売買サインとなるのが、ゴールデンクロスとデッドクロスです。
短期線の向きが変わって長期線を抜く動きは、短期的にトレンドが変化して切り替わったことを示唆します。
長期移動平均線とローソク足の位置関係に注目!
以下は、米ドル/円の日足に短期線(10)、中期線(25)、長期線(75)のSMAを表示したチャートです。
短期線(黃色)が長期線(黄緑色)を上抜いてゴールデンクロスした地点に注目すると、クロスする前にローソク足が長期SMAを抜いていることが確認できます。
なおローソク足が長期移動平均線を上抜くこともゴールデンクロスであり、さらに短期移動平均線の上で推移するケースであれば、非常に強いトレンド相場が形成されていることを表します。
移動平均線同士のゴールデンクロスだけではなく、価格と移動平均線のクロスも見ることで、より早くトレンド転換を知るのに役立ちます。
また移動平均線を売買サインとして見るとともに、ローソク足との位置関係でトレンド判断ができます。
- ローソク足が長期SMAの上に位置するなら上昇トレンド
- ローソク足が長期SMAの下に位置するなら下降トレンド
- 長期SMAが横ばいならトレンドがない状態
長期線とローソク足の位置関係を見るだけで、相場の流れをかんたんに読むことができるのです。
トレードスタイルに合わせた移動平均線の使い方
移動平均線はトレードスタイルに合わせたローソク足に表示させて使います。
スキャルピングするのに月足を使ったり、スイングトレードするのに5分足を使っても全く意味がありません。
短期売買には短期のローソク足を、長期売買には長期のローソク足を表示させて分析を行いましょう。
移動平均線のパラメーター(設定)は変更してカスタマイズもできますが、最初のうちはあまり気にしなくてもいいと思います。
初期設定が「5日・25日・75日」の3種類だとすれば、一応5分足でも1時間足でも月足でも機能します。
まずはデフォルトで分析してみて慣れてきたら、自分に合った表示期間を試してみるのがベターです。
移動平均線を使った有名な売買サインとして、グランビルの法則から成るゴールデンクロス・デッドクロスがあります。
当記事にも例を載せましたが、ゴールデンクロスとデッドクロスの売買サインは明快で分かりやすいため、FX初心者の方は最初のチャート分析術として身に付けるようにしてください。
このほか移動平均線を使った分析は、こちらの記事も参考にしてください。
移動平均線の売買シグナルが見れるツール
SMAやEMAの売買シグナル発生を通知!PCでもスマホでも使える無料ツールを活用しよう。
各社のチャート機能は、こちらのページで詳しくご紹介しています。
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