ここぞといった場面で必ず約定させたいときに力を発揮してくれるのが、約定力が高いFX業者です。
大相場のときにスキャルピング、デイトレードをするなら、約定力の有無によって狙ったレートで発注できるかが左右されてきます。
しかし約定力は実際に利用してみないと実体は見えにくいのが難点ですよね。
そこで、約定力の強みをアピールポイントとする業者を比較しながらご紹介します。
そもそも約定力とは?
約定(やくじょう)とは注文を執行させることです。
新規/決済問わず、発注した注文が成立したら、「注文が約定した。」と呼ばれます。
今すぐに注文をしてポジションを保有したいと考えていても、約定力が低いと注文自体が成立しません。
中長期売買では約定力をそれほど意識する必要はありませんが、これが短期売買となると話が変わってきます。
約定力が重要になってくるのは、相場の変動が激しいときです。
値動きが大きい局面では、スリッページ(提示レートと約定レートが滑ってズレること)が発生することはよくあります。
下記イメージをご覧ください。

成行で100円で注文したら、約定レートは110.10円となった例です。
成行で買い注文をしたときに、上昇の勢いが強く10pipsが不利な方向にスリッページした形ですね。
またFX業者が提示したレートに対し、スリップ幅(スリッページの上限設定)を指定してストリーミング注文をしても、スリップ幅以上に値動きすることで注文が通らず、スリップ幅の再設定を求められる(=リクオート)こともあります。
つまり約定しやすい成行注文やストリーミング注文で発注しても、約定拒否(=リジェクト)となるケースが発生することは日常的に起こりやすいのです。
つまり注文回数の多い短期売買では、「スプレッドの狭さ」はもちろん、狙ったタイミングで注文をしっかりと通すための「約定力」が極めて重要となります。
デイトレードなどの短期売買において、もっとも重要となるのがスプレッドです。2023年現在において、米ドル/円の標準スプレッドは0.2銭が最狭水準となっています。[…]
約定率にも注目!
全てのFX業者ではありませんが、「約定率」を提示する業者も存在します。
そして約定力に自信のある業者ほど、約定率を公開する傾向にあります。
約定率とはその名称が指すように、顧客の注文はどれくらいの確率で約定したかを示すものです。
もちろん高い約定率を提示するほど、約定力のある環境(取引システム・サーバー)が整っていることを示す、ひとつの指標となります。
カバー取引先が多いほどレート配信が安定傾向にある
先にカバー取引を説明しますが、FXで多くの業者は、顧客の注文による為替リスクを相殺するために、銀行や証券会社に注文をすることです。
顧客の注文をそのまま業者が保有していた場合、為替変動によっては損失となってしまうからです。
こういった複数の金融機関から提示されたレートによって反映されていますが、そのなかでより好条件の売りレート、買いレートが顧客に提示されるレートのベースとなってスプレッドに反映されます。
そのためカバー取引先が多いほど、相場急変時でも安定したレート配信に有利となってきます。
このほかにも、約定力においてプラスに影響する要因がありますので、まず先にまとめておきます。
- 自宅のWiFi速度が速い
- パソコンのスペックが高い。
- FX業者のサーバーが強固である。
- FX業者のカバー取引先が多い。
- 取引ツールの安定度が高い。
約定力が低いとどうなる?
例えば人気サイトに急激にアクセスが集中するとサーバーダウンを引き起こす要因となるように、FX業者のシステムに膨大な注文が入ると、その注文をさばくのに負荷がかかります。
それによりスリッページが発生したり、リクオート(レートの再提示)や、約定拒否、ときにはサーバーダウンが発生してしまうこともあるのです。
こういった場面では、
「ポジションの含み損が拡大しているから損切りしたいのに、注文画面を開くことができず、取引システムにログインできたがロスカットされていた。」
という惨事が発生してしまうこともあるのです。
- 注文できたが、注文時のレートと大きくずれて約定してしまう。(=スリッページ)
- 相場急変時のレート変動により約定レートにズレが生じ、注文が通らずスリップ幅の調整が求められる。(=リクオート)
- 相場急変時に、注文が拒否されて発注ができない。(=約定拒否、リジェクト)
- 新規注文が通らないことで収益機会を失い、損切りできないことで損失拡大の可能性がある。
通常、リクオートが発生したときは、スリップ幅を広げることで対処ができます。
しかしどの業者も、相場急変時はスリッページしやすくスプレッドは拡大しやすいです。
スリッページして約定した場合、公示するスプレッドからかい離して約定することで売買コストが余計にかかってしまいます。
とはいえ相場急変時に注文したとしても約定しない業者では問題外ですから、スリッページしても約定する業者を選ぶことがポイントとなってきます。
約定力のある業者なら、たとえスプレッドが拡大してもスリッページせずに約定するため、チャンスを逃さずに短期トレードできるのが魅力なのです。
成行が約定しないときは指値を使おう!
約定する・約定しないが問題になってくるのは、スリッページ設定のない成行注文か、成行注文にスリッページ設定をするストリーミング注文にのときです。
そもそもスリップ幅を指定しない成行注文で発注しても約定しないとなると、約定能力そのものがない業者と言わざるを得ません。
たとえば約定力のある業者なら、成行注文の約定率は100%ですし、スリップ幅を指定してもスリッページや約定拒否がなく、しっかり約定します。
今利用している業者で、成行注文やストリーミング注文で発注しても約定しないときは、指値注文(逆指値注文)が便利です。
指値・逆指値は決して滑らない訳ではありませんが、指定レートで発注する注文方法ですので、成行やストリーミングよりも滑りにくい特徴があります。
もしも成行注文で約定しない場面があれば、焦らずに指値か逆指値で発注することを検討してみてください。
FX業者を約定力・カバー取引先で比較!
FX会社名 | 米ドル/円![]() | スキャル 公式対応 | 成行約定率 *3 | カバー 取引先 |
---|---|---|---|---|
![]() | 0.2銭 | ◎ | 公式に記載なし | 15社 |
![]() | 0.2銭 | ○ *4 | 99.9% | 11社 |
![]() | 0.2銭 | ○ *4 | 99.9% | 11社 |
![]() | 0.2銭 | ○ *4 | 公式に記載なし | 24社 |
![]() | 0.2銭 | ○ *4 | 公式に記載なし | 19社 |
![]() | *1 | ○ *4 | 公式に記載なし | 1社 |
![]() | 0.2銭 | ○ *4 | 公式に記載なし | 7社 |
![]() | 1.0銭 | ○ *4 | 公式に記載なし | 11社 |
![]() | 0.2銭 | ◎ | 99.9% | 1社 |
![]() | 0.2銭 | ◎ | 公式に記載なし | 24社 |
![]() | 0.2銭 *2 | ◎ | 公式に記載なし | 22社 |
![]() | 0.2銭 | ○ *4 | 100% | 19社 |
![]() | 0.2~ 0.9銭 | ○ *4 | 100% | 21社 |
![]() | 0.3銭 | ○ *4 | 100% | 3社 |
![]() | 0.3銭 | ✕ | 公式に記載なし | 27社 |
![]() | 0.2銭 | ✕ | 公式に記載なし | 9社 |
![]() | 0.3銭 | ◎ | 100% | 1社 |
FX会社名 | 米ドル/円![]() | スキャル 公式対応 | 成行約定率 *3 | カバー 取引先 |
※掲載スプレッドは原則固定(例外あり)ですが、市場急変時や流動性低下時は拡大する場合があります。
※成行約定率は自社サイトで公表している業者のみ掲載。
*1 原則固定スプレッドの適用対象外。
*2 配信時間:AM10:00~翌AM4:00。
*3 調査期間は業者毎に異なる。
*4 公式アナウンスはないが、問い合わせではスキャルピングが可能。もちろん不正なツール等の取引や高負担となる取引は取引制限対象の可能性あり。
※JFX、OANDA証券はカバー取引先が少ないですが、これはカバー取引先が親会社であることに起因します。
親会社自体は複数のカバー取引先があることで、為替リスクがヘッジされている仕組みです。
約定力のあるFX業者はココ!
それでは、高い約定力を備えたFX業者をご紹介します。
みんなのFX
成行注文は99.9%と高い約定率を誇るのが、トレイダーズ証券「みんなのFX」です。
調査期間:2022年10月3日(月)~2022年10月31日(月)
みんなのFXの全通貨ペアにおける成行注文(※スリッページ設定された注文を除く)
相場が激しく動いているときでも、狙ったタイミングでしっかりと成行注文ができますので、短期売買しやすい業者です。
公式サイトにはスキャルピング可能とは記載されていませんが、お問い合わせしたところ一般的な裁量でのスキャルピングは問題なく取引可能です。
こちらから無料でみんなのFXの口座開設ができます!
LIGHT FX
トレイダーズ証券のもう一つのFXサービスであるLIGHT FX。
同じ業者のサービスだけあって、同様の調査で成行約定率は99.9%と高水準の約定を誇ります。
調査期間:2022年10月3日(月)~2022年10月31日(月)
LIGHT FXの全通貨ペアにおける成行注文(※スリッページ設定された注文を除く)
みんなのFXと同じく公式スキャルピングOKとアピールしていませんが、サポートセンターの確認ではスキャルピングが可能な業者です。
こちらから無料でLIGHT FXの口座開設ができます!
IG証券
約定力で選ぶなら、IG証券はとくに注目の業者です。
多くの銘柄を取り扱うIG証券では、取引の99.5%が0.1秒以下で完了しています。
通常、変動が激しい相場ほど、約定までに時間がかかってしまうと、価格の変化も大きくなってしまいます。
IG証券の取引システムでは、注文を最短時間で約定できるようにコントロールされており、例えばロンドン証券取引所から入手している原資産価格の変化はわずか0.08秒と判明しています。
そしてどんなに注文が約定しようと、不利なレートで約定しては超短期売買で利益を追求するのは難しくなります。
IG証券の成行注文(マーケット注文)では、注文が届くまでの間に不利な方向にスリップ動いたときは約定せず、有利な方向にスリップしたときは約定する「プライス最適化」と呼ばれる機能が提供されています。
これにより、注文後の値動きによって不利な価格で約定しないことが保証されており、不利な価格となった場合は再注文が提示される仕組みです。
さらに「一部約定」という機能もあり、変動が激しいときや流動性が低い場面での大口取引では、注文ロット数がすべてキャンセルされてしまう場合があります。
このとき「一部約定」を使えば、部分的となるものの、その注文価格で約定可能な一定のロット数の確保ができます。
またIG証券では、国内ではじめて導入したノースリッページ注文のように、スリッページを抑えるための取り組みが日々行われています。
有利な価格でしっかり約定させたい方は、ぜひIG証券をご検討ください。
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JFX「MATRIX TRADER」
JFXは高い約定率を誇る業者です。
調査期間:2019年8月5日~8月7日(日本時間の20時~21時の1時間程度)、矢野経済研究所調べ
取引システム「MATRIX TRADER」のストリーミング注文(成行注文)を対象とした調査では、1,401回の発注に対して約定拒否は1回のみ、約定率は99.9%というデータが算出されました。
調査時のスリッページは218回中、有利な方向には104回、不利な方向には114回とどちらの方向にもスリッページしますが、しっかり約定させたい場面では「許容スリップ」を調整して注文を行うようにしてください。
JFXはスキャルピングが完全公認の業者であり、秒単位のスキャルピング(秒スキャ)にも対応します。
安心の環境でスキャルピングの約定力を重視するなら、JFXを候補に考えてみてください。

マネックス証券「FX PLUS」
約定力のあるFX口座で筆頭候補となるのが、マネックス証券のFX PLUSです。
マネックス証券のストリーミング注文では約定拒否がありません。

さらに設計上でスリッページを導入していないため、指定レートで約定してくれるので安心です。

多くの金融商品を揃える大手業者だけあって、安定した取引環境も強みのひとつ。
スキャルピング公式OKと大々的に謳っていませんが、サポートセンターに確認したところ一般的なスキャルピング取引は禁止していませんでしたので、安心して短期売買を行うことができます。
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マネーパートナーズ「PFX」
約定力に自信のあるマネーパートナーズでは、約定力100%を誇ります。
マネーパートナーズのPFX(パートナーズFX)口座は、PCからのPFXストリーミング注文は独自の非スリッページ仕様が採用されており、スリッページ・約定拒否ともに発生しません。
これによって、取引量に関わらず提示レートと約定レートにズレが生じない、100%の約定率が実現されています。
なおスマートフォンアプリ、もうひとつのパートナーズFX nano口座は非スリッページ仕様とはなっておりませんので、くれぐれもご注意ください。
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サクソバンク証券
サクソバンク証券は、雇用統計時など大きな変動が想定される場面でも、安定した約定力とスプレッド配信の実績がある業者です。
矢野経済研究所による2018年3月10日雇用統計時の調査では、有力FX4社において約定率が100%となったのはサクソバンク証券のみという結果となりました。

雇用統計時の約定率調査結果(雇用統計前30秒から発表後6分間の約定率。各社234約定 = (株)矢野経済研究所調べ)
参考URL:「有時」のFX取引で大切なことは?サクソバンク証券が調査結果を公表 – ロイター


雇用統計時のスプレッド(取引コスト)調査結果 / (株)矢野経済研究所調べ
※実質取引コスト=スプレッド+スリッページ
※雇用統計前30秒から発表後6分間の約定率。各社234約定
※調査対象はサクソバンク以外、ドル円0.3銭固定、ユーロドル0.4pips固定。
そして同調査により、スプレッドとスリッページを考慮した「実質取引コスト」も最も低い結果となりました。
また株式会社バリュー・アップが2019年6月7日雇用統計時に行ったFX5社の調査において、ベストレート獲得回数と総合約定力において第1位となった実績があります。

サクソバンク証券、総合約定力No.1獲得 – サクソバンク証券
経済指標発表時でても安定した約定力と拡大しにくいスプレッドが、サクソバンク証券のポイントです。
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OANDA証券
成行約定率100%、約定拒否なし、リクオート(レートの再提示)なしを掲げているのが、OANDA証券です。
約定スピードに自信があるだけあって、注文発注から約定までの流れがスピーディーです。
こちらから無料でオアンダ・ジャパンの口座開設ができます!
以下の記事では、各社が提供するスマートフォンアプリの注文方法で詳しく比較しています。
約定力だけではなく、スピーディーな発注機能などの注文方法で比べたい方は、ぜひご参考にしてみてください。
各FX業者は顧客がどんなトレードするかを想定してアプリを開発していますので、各社の戦略ごとに発注周りの機能に大きく違いが出てきます。注文方法が多彩であり、さらに発[…]
約定力のよくあるご質問
約定力で気になるコトをまとめました。
注文を素早く執行させる能力のことです。
約定力が高いFX業者の場合、スピード注文や成行注文を行うと即座に約定し、発注時のレートと約定レートに差が生まれにくいのが特徴です。
為替レートは刻一刻と変化していますので、約定力が低いとスリッページによって注文レートにズレが生じることになります。
新規注文時に不利な方向に滑るほど、スプレッドにスリッページが上乗せされ、取引コストの増大に繋がります。
決済注文時に不利な方向に滑った場合、損失額は想定よりも大きくなります。
小さな利幅を狙う短期売買のスキャルピング、デイトレードで重要になってきます。
スイングトレード、ポジショントレードといった中長期売買では大きな利益を狙っていきますので、約定力の高さをそれほど気にする必要はありません。
約定力に自信がある業者は、公式サイト上で「約定力」や「約定率」、「スリッページなし」などを掲げています。
当ページに記載するみんなのFX、LIGHT FX、IG証券、マネーパートナーズ、OANDA Japan、マネックス証券は約定力が高い業者だと判断できます。
IG証券では業界唯一、決済時にわずかな保証料を上乗せすることで一切スリッページさせない「ノースリッページ注文」を提供しています。
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