ロールオーバーとは?仕組み、建値方式、各社のスワップ付与時間を徹底比較!

ロールオーバーとは?仕組み、建値方式、各社のスワップ付与時間を徹底比較!

ロールオーバーを正しく理解すると、高金利通貨でスワップポイント狙いの長期運用において、上手な確定申告の進め方にもつながってきます。

ロールオーバーの仕組みから、各社のスワップポイント付与時間(ロールオーバー時間)の比較までご紹介します。

目次

ロールオーバーとは?

ロールオーバーとは何かを説明する前に、まずは直物為替(じきものかわせ)の仕組みから解説していきます。

外国為替の取引では、異なる通貨の交換(売買)を行います。
通貨の売買にあたり、通常、通貨を受け取ったり渡したり(受け渡し)する必要があります。

この通貨の受け渡しタイミングには「直物為替」と「先物為替」があり、FXは直物為替に分類されています。

直物為替とは?

取引日から2営業日後に通貨の受け渡しをを行なう取引のこと。

つまり、月曜日に新規注文をしても、水曜日には決済しなければいけません。
ただしFXは実際には現金で受け渡しがある訳ではなく、証拠金の預託で取引する差金決済なので、決済日を延長する必要があります。

「ずっと注文は保有しているのに、決済するって一体どうゆうこと?」と疑問に感じる方もいるでしょう。

そこで導入されたのが、決済日を先延ばしにするロールオーバー方式です。
ロールオーバーとは、FX業者に注文が入らない限り、自動的にポジションの保有を継続する仕組みです。

ロールオーバーの際に、金利差が調整されてスワップポイントが付与される仕組みですが、ロールオーバーで決済日を何日延ばすかでスワップポイントの金額が変わってきます。

ロールオーバーでスワップポイントが発生する仕組み
ロールオーバーでスワップポイントが発生する仕組み

このようにスワップポイントの付与日数が曜日ごとに異なるのは、ロールオーバーが理由なんですね。

上の画像に「土日を挟んだ場合」とありますが、水曜日マーケットクローズ〜木曜日マーケットオープンにかけて保有すると、実質金曜日から日曜日までのスワップポイントが3日分付くことになります。

木曜日スワップ3倍デー狙いなら、水曜日深夜に保有しよう!

月曜日・朝1日分
火曜日・朝1日分
水曜日・朝1日分
木曜日・朝3日分
金曜日・朝1日分
土曜日なし
日曜日なし
通常時のスワップポイント付与日数

多くのFX業者でスワップポイントが付与されるのは朝7:00前です。
つまり水曜日の深夜から木曜日の朝にかけて数時間、タイミングよく保有すれば数分間保有しているだけで、3日分のスワップポイントを受け取ることができるのです。

巷ではこれを「木曜日のスワップポイント3倍デー」と呼ばれています。

また、アメリカか日本の金曜日が祝日のときはスワップ付与が前倒しとなり、水曜日の早朝がスワップ3倍デーとなります。
つまりスワップポイントは、平日に祝日があれば付与スケジュールは変則的になります。

ゴールデンウィークのときには、10連休となる大型連休となる場合もあります。
こういったタイミングでは、「1日保有するだけで、前もって10日分のスワップポイントがもらえる」ように、事前に付くおいしいケースもあります。

スワップポイントについてはこちらのページもどうぞ。

建値維持方式と建値変更方式(値洗い方式)

建値維持方式とは、値洗いを行わずに(保有ポジションの損益を確定させないこと)、評価損益と未決済ポジションのスワップポイントが、決済時まで保持されるシステムのことです

建値変更方式とは、保有ポジションがロールオーバー時に値洗いされ、評価損益とスワップポイントが実現損益として発生するシステムのことです。

建値維持方式建値変更方式かの違いで、ロールオーバー時の挙動が異なってきます。

まずはそれぞれの違いを見てみましょう。

〈主流〉
建値維持方式
建値変更方式
ロールオーバー時
の建値
変わらず
維持される
変わる
ロールオーバー時
の扱い
含み損益確定損益
課税タイミング任意で損益を
確定させた時
日々の取引が
課税対象

現在、国内の主流は建値維持方式です。

建値変更方式(別名:値洗い方式)は減少傾向にありますが、GMO外貨が採用しています。
ロールオーバーのタイミングで、日々建値が値洗いされ、その都度建値が更新されるのが特徴です。
つまり建値変更方式では日をまたぐごとに、スワップポイントは取引口座に実現損益として付与されるんですね。

建値変更方式のメリットとして、毎営業日ごとの為替差益にスワップポイントの確定益が合算されるため、複利効果に期待ができることです。
また証拠金に反映されることから、レバレッジが少しづつ下がる効果にも期待ができます。

反面、建値が日々更新されてしまうと、元々買っていたレートが分からなくなってしまうのが、建値変更方式の大きなデメリットとなります。

ただし、このメリット・デメリット以上に大きく関わってくるのが税金です。

建値方式の違いと、未決済ポジションの税金について

FXではポジションを保有している状態の「未決済ポジション」であれば、為替レートの変動による含み益、積み重ねているスワップポイントともに税金は発生しません。
保有ポジションを決済して損益を確定させた時点で、課税の対象となります。

また通常、FXの年間の利益が20万円以下であれば確定申告する必要がありません。
しかし本来ならば年間利益が少なく確定申告しなくてもいい年だと思っていたものの、建値変更方式は自動的に値洗いされることで申告が必要となるケースが出てきます。

つまり、決済時に自分で損益を確定させたほうが節税のコントロールをしやすいのは言うまでもありません。
スワップ狙いの取引は長期的な運用になりますので、損益を確定させずに含み益の状態であれば、極端な話だと確定申告しなくても大丈夫ということになります。

FXで安定して毎年20万円以上稼ぐスワップ派トレーダーなら、建値変更方式の業者を使う選択をするのもいいでしょう。

スワップ付与時間でFX業者を比較

FXでは、早朝取引ができないメンテナンス時間というのがあります。

ロールオーバーは、ニューヨーク市場が終わったメンテナンス中に行われます。
そしてメンテナンスが終了とともにスワップポイントが付与されます。

なお、標準時間(冬時間)とサマータイムのある夏時間で、ロールオーバー時間は異なります。

それでは、各FX業者の取引開始時間と、スワップ付与が行われるメンテナンス時間を見てみましょう。

【標準時間】取引時間とスワップ付与時間

標準時間:11月第1日曜日 ~ 3月第2日曜日

FX会社名月曜日の
取引開始時間
火〜金曜日の
取引不可時間
(スワップ付与時間)
火〜土曜日の
取引可能時間
GMOクリック証券FXネオ7:00なし
(スワップ付与は7:00)
土曜7:00まで24時間
DMM FX7:00なし
(スワップ付与は7:00)
土曜6:50まで24時間
外貨ネクストネオ7:006:55~7:10火曜7:10~土曜6:55
GMO外貨外貨ex 7:006:55~7:00火曜7:00~土曜6:50
みんなのFX7:006:40~7:00火曜7:00~土曜6:40
LIGHT FX7:006:40~7:00火曜7:00~土曜6:40
外為オンラインFX7:006:55~7:05火曜7:05~土曜6:55
トライオートFX7:006:40~7:10火曜7:10~土曜6:00
トラッキングトレード7:006:55~7:05火曜7:05~土曜6:55
IG証券 FX6:00なし
(スワップ付与は7:00)
土曜7:00まで24時間
楽天FX/楽天MT47:006:55~7:10火曜7:10~土曜6:55
MATRIX TRADER7:007:00から
約5分間
火曜7:05頃~土曜6:00
FX PLUS7:006:55~7:10火曜7:10~土曜6:55
FXダイレクトプラス7:006:55~7:10火曜7:10~土曜6:40
OANDA FX7:00なし
(スワップ付与は7:00)
土曜7:00まで24時間
LION FX7:007:00から
約5分間
火曜7:05頃~土曜6:30
FXTF GX/MT47:056:55~7:05火曜7:05~土曜6:50
トラリピ7:206:50~7:20火曜7:20~土曜6:50
パートナーズFX/nano7:006:55~7:10火曜7:10~土曜6:55

【夏時間】取引時間とスワップ付与時間

夏時間:3月第2日曜日 ~ 11月第1日曜日

FX会社名月曜日の
取引開始時間
火〜金曜日の
取引不可時間
(スワップ付与時間)
火〜土曜日の
取引可能時間
GMOクリック証券FXネオ6:00なし
(スワップ付与は6:00)
土曜6:00まで24時間
DMM FX6:00なし
(スワップ付与は6:00)
土曜5:50まで24時間
外貨ネクストネオ7:005:55~6:10火曜6:10~土曜5:55
GMO外貨外貨ex 7:005:55~6:00火曜6:00~土曜5:50
みんなのFX7:005:40~6:00火曜6:00~土曜5:40
LIGHT FX7:005:40~6:00火曜6:00~土曜5:40
みんなのシストレ7:005:40~6:00火曜6:00~土曜5:40
外為オンラインFX7:005:55~6:05火曜6:05~土曜5:55
トライオートFX7:005:40~6:10火曜6:10~土曜5:00
トラッキングトレード7:005:55~6:05火曜6:05~土曜5:55
IG証券 FX5:00なし
(スワップ付与は6:00)
土曜6:00まで24時間
楽天FX/楽天MT47:005:55~6:10火曜6:10~土曜5:55
MATRIX TRADER6:006:00から
約5分間
火曜6:05頃~土曜5:00
FX PLUS7:005:55~6:10火曜6:10~土曜5:55
FXダイレクトプラス7:005:55~6:10火曜6:10~土曜5:40
OANDA FX6:00なし
(スワップ付与は6:00)
土曜6:00まで24時間
LION FX6:306:30から
約5分間
火曜6:35頃~土曜5:30
トラリピ7:205:50~6:20火曜6:20~土曜5:50
FXTF GX/MT47:055:55~6:05火曜6:05~土曜5:50
パートナーズFX/nano7:005:55~6:10火曜6:10~土曜5:55

夏時間になると、多くのFX業者では取引時間が1時間前倒しになります。

ポイントとしては、サマータイムとなっても月曜日の開始時間が標準時間と同じ7:00のままか、サマータイムによって6:00に早まるかが、各社で大きな違いとなってきます。

土日や週末にマーケットで大きな動きがあったとき、月曜日の早朝は窓開け(ギャップ)が生じやすく、窓埋めの動きを狙ったトレード手法も存在します。
もし「週明け月曜日の早朝から取引したい。」という方は、サマータイム時は6:00開始の業者なら、早くから取引を始めることができます。

メンテナンスには5分〜30分程度かかりますが、この間は注文をすることができません。

しかし定刻にメンテナンスを行なうことで、平日はメンテナンス時間がないFX業者もあります。
早朝メンテナンスがないGMOクリック証券DMM FXなら、取引不可時間を気にせず取引を行えるのがメリットです。

なおNYクローズは標準時間のときは7:00、サマータイムのときは6:00となります。
スワップ3倍デーを狙うなら、木曜日朝のメンテナンス前にポジションを保有しておくようにしてください。

ご覧のとおり、業者によっては数分程度の保有でもスワップポイントを受け取ることも可能です。
上記表を、スワップポイント狙いの戦略にぜひ活用してみてください。

平日メンテナンスのないFX業者

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