FXをはじめとした投資に興味を持つ人が増えています。
為替だけでなく、S&P500や日経225、ビットコインなどの値動きも注目されており、こうした金融商品はスキマ時間に取り組めるのが魅力です。
FXはネット環境さえあれば、自宅のパソコンや普段使っているスマホからでも取引できます。しかし、間違った方法で始めてしまっては元も子もありません。
FXに興味を持ったきっかけは人それぞれかもしれませんが、「お金を稼ぎたい」という思いが根底にあるのではないでしょうか。
そこで、誰でも1から始められるように、FXを始めるまでに必要な準備、口座開設時の注意点、取引開始後の取り組み方まで、基礎から詳しく解説します。
【準備編①】FXの基礎知識を学ぶ


FXの基礎知識は、FXクイックナビなどのWebメディアやYouTube、書籍などで学べます。ネットで情報を得る際は、執筆者の信頼性をしっかり確認しましょう。
ここでは基本的な考え方とチャート分析の概要を紹介します。
FXの基本的な考え方
FXは、2つの通貨が今後どう変動していくかを予測する投資です。
たとえば米ドルと円の通貨ペア(USD/JPY)では、今後どちらが強く・弱くなるかを見極めて取引します。
つまりFXは、2国間の通貨がどう変化していくかを考えていく投資、ということになります。


- 米ドルが強くなり、円が弱くなる相場のときは、ドル高・円安となり、米ドル/円は上昇します。
→つまり「買い(ロング)」で利益を狙う - 米ドルが弱くなり、円が強くなる相場のときは、円高・ドル安となり、米ドル/円は下落します。
→つまり「売り(ショート)」で利益を狙う
こうした判断に役立つのが、みんなのFXのアプリで提供されている「通貨強弱チャート」です。
(会員限定機能のため、利用には口座開設が必要です)


強弱チャートでは、通貨が買われれば上昇、売られれば下落する様子が視覚的に確認できます。
以下は、強弱チャートと同期間のチャートです。
通貨強弱チャートが反転した時刻から、円安ドル高から円高ドル安へと転換している動きが確認できますね。


日本で生活していると、日本円を基準に考えるのが一般的です。
しかしFXの世界では、基軸通貨の米ドルが大きな影響を与えるため、米ドルを中心に考えることが重要です。
近年は米国の関税問題や米中関係のニュースが、マーケットに与える影響が大きい傾向にあります。
ファンダメンタルズ要因(政治・経済ニュースなど)をトレードに活用する際には、米ドルの動きが少なくても、円にポジティブな材料があれば、米ドル/円は売られる要因となります。
逆に、米ドルに好材料があれば、円が相対的に弱くなり、米ドル/円は上昇する要因となります。
FXでは、アメリカ人の投資家となった視点から米ドルを基準に相場を見ていくと、マーケットの方向性を捉えるのに有効的といえます。


ローソク足と移動平均線とライン描画
FXでは、次の2つの要因から相場の先行きを判断します。
- ファンダメンタルズ要因(経済指標やニュース)
- テクニカル要因(チャートによる分析)
ここではテクニカル要因に着目して説明します。


ローソク足
FX業者の取引システムでチャートを表示すると、ローソク足が表示されます。
ローソク足は、1本で始値、高値、安値、終値の4つの価格を表し、多くの情報が込められています。




- 陽線(上昇を示す)
- 陰線(下落を示す)
- 十字線(買いと売りが拮抗)
形状によっては、強い上昇を示す大陽線、安値圏で現れれば反転上昇を示唆するトンボなど、さまざまなパターンが存在します。
ライン描画によるチャート分析
チャートにラインを引いて分析する方法ですが、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、以下のようにテクニカル分析を分類しています。
- トレンド分析:トレンドライン(レジスタンスライン、サポートライン)、チャネルライン、水平線、など
- チャートパターン分析:三角保ち合い、ダブルトップ・ダブルボトム、ヘッドアンドショルダーなど
トレンド分析とは、チャートにトレンドラインを引いて相場のトレンド(方向性)を分析する方法のことです。
チャートパターン分析(フォーメーション分析)とは、引いたトレンドラインから一定のパターン(形状)を見つけて分析する方法を指します。
水平線を使った分析(サポートライン・レジスタンスライン)については、明確に「水平線分析」として独立分類していないものの、通常はトレンド分析に該当すると考えて問題ないでしょう。
なぜなら、NTAAでは「ライン分析」をトレンド分析の一部として扱っており、そこには斜めのトレンドラインだけでなく、水平方向のサポート/レジスタンスラインも含まれているからです。
そのため、水平線を使った分析も「トレンド分析」に含まれると考えるのが適切だといえます。
分析の第一歩としては、直近の重要な高値・安値に「水平線」を引く方法から始めるのがおすすめです。
これは、多くのトレーダーが同じ水準を意識するため、再現性の高い手法だからです。
なぜなら、サポートラインなどのトレンドラインは、チャートの時間軸や個人の裁量によって、異なる位置にラインが描かれやすいです。
一方で、水平線は世界中の人が同一の価格に注目できることが、信頼性が高いとされる要因となっています。


体系化されたチャート分析手法
ローソク足やフォーメーション分析を体系化した分析手法として、酒田五法とプライスアクションがあります。
- 酒田五法(日本生まれのチャート分析手法)
- プライスアクション(酒田五法をベースとして、欧州で体系化されたチャート分析手法)
それぞれ「三山」や「インサイドバー」など多くのチャートパターンがありますが、これらは売買チャンスの見極めに役立ちます。




プライスアクションをベースに、より進化させたトレード手法にディナポリ・チャートがあり、実践的なトレードテクニックとして活用することができます。
テクニカル指標によるチャート分析
テクニカル指標を使った分析では、基本となるトレンド系でトレンドの分析を行い、それを補完する目的として短期的な強弱をオシレーター系で分析を行います。


テクニカル指標の中でもっとも基本的なのが移動平均線です。
移動平均線では、ラインの傾きや複数本の関係性からトレンドの強さを判断し、ゴールデンクロスなどのシグナルでエントリーの判断材料とします。
また、ローソク足と移動平均線を組み合わせてトレードする「グランビルの法則」や、オシレーター系のテクニカル指標を用いた「ダイバージェンス」などの分析手法もあります。






テクニカル分析は奥が深く、習得には時間がかかります。
さまざまな指標の見方を学ぶことも重要ですが、まずは「ローソク足」「移動平均線」「ライン描画(とくに水平線)」に注力して、基本を固めていきましょう。
【準備編②】デモトレードを試してみよう
多くのFX業者では、仮想取引ができるデモ口座を提供しています。


以下のような練習にデモトレードは効果的です。
- 取引ツールの操作方法を覚える
- さまざまな注文方法を試す
- レート変動による損益を確認する
- 自分のトレード手法を検証する
おすすめのデモトレード対応業者は、GMO外貨、GMOクリック証券、DMM FXの3社です。
いずれも仮想資金を自由に設定でき、最小10万円から始められる点が魅力です。
実際の運用では使わないような大きな金額で始めてしまうと、現実的なシミュレーションができません。
どの程度の含み損で強制ロスカットが発動するかなど、あえて失敗を経験しておくことも重要です。
本番を想定して、積極的にデモトレードに取り組みましょう。


注文方法の使い分け
FXには多くの注文方法があります。
- 成行注文
- ストリーミング注文(スピード注文、2WAY注文、クイック注文)
- 指値注文
- 逆指値注文
- 複合注文(OCO注文、IFD注文、IFD-OCO注文)
それでは、どんな場面でどの注文方法を使うといいのか、使い分けについて解説します。
ストリーミング注文
ストリーミング注文は、スピード注文やクイック注文など呼び方は業者によって異なりますが、基本的な仕組みは同じです。
今すぐ注文を出して約定させたいときに使う注文方法で、スキャルピングやデイトレードに適しています。


成行注文では、今の提示レートでスリッページを考慮せずに、すぐに発注したいときに成行注文を使います。
この成行注文をベースに、スリッページ(価格のズレ)を設定できるのがストリーミング注文です。
つまりストリーミング注文なら、大きく動いているときはスリッページをコントロールしながら発注できることが特徴です。
自動利食い・損切り設定や、チャートを見ながら発注もでき、すぐ売買できるように独立した注文機能として用意されています。
指値注文
指値注文は、現在よりも有利なレートで売買したいときに活用します。
たとえば、上昇トレンド中に一時的に下がったところで買いたい場合、指値注文を入れておき、指値注文を入れた価格に達した時点で注文が約定します。
ストリーミング注文ですぐ買うよりも、10pips下がったところで指値注文が約定したら、10pips分有利なレートで買えたことになります。


指値注文はあらかじめ待ち構えておく注文方法ですので、デイトレードからスイングトレード、ポジショントレードまで幅広く使えます。
逆指値注文
逆指値注文は新規注文でも使えますが、まずは決済用として使い方を覚えるのがおすすめです。
今より有利なレートで売買する指値注文に対し、今より不利なレートで売買するのが逆指値注文なので、主に損切りの目的で使います。


応用としては、上昇すると考えるとき、高値のブレイクアウトで逆指値注文で新規エントリーすることもできます。
ここまでが、FXで基本となる注文方法の使い分け方です。
複合注文
指値注文と逆指値注文を組み合わせたいときに下記の複合注文があります。
ただし、最初のうちはシンプルに成行、指値、逆指値だけでも全く問題ありません。
- OCO注文(新規OCO):新規指値 or 新規逆指値
- OCO注文(決済OCO):決済指値 or 決済逆指値
- IFD注文:新規指値+(決済指値 or 決済逆指値)
- IFD-OCO注文:新規指値+決済指値+決済逆指値


具体的な注文のやり方はこちらで解説していますので合わせてご参照ください。




デモトレードの注意点
デモトレードで注意すべきなのが、無茶なトレードをデモ環境で行ってしまうことです。


たまたまギャンブル的なデモトレードで大きな利益が出て、同じように本番で行うと大きな損失となってしまう可能性があるからです。
またデモトレードを始める前の段階で、本番口座の開設をして、入金まで済ませておきましょう。
なぜなら多くのFX業者では、デモ口座の期限は1ヶ月間などと制限されているからです。
本番口座を作ってからデモ口座を作れば、1ヶ月間フルにデモトレードを行えます。
そしてデモトレードをやっている最中にマーケットに大きなニュースが駆け巡り、大きなトレンドの変化やトレンドの加速が起こってしまうこともあります。
チャンスは一瞬で過ぎ去ってしまいますから、コツコツ練習しつつ、急にチャンスが到来してもすぐ波に乗れるように、準備は万全にしておきましょう。
【準備編③】取引資金とFX口座を準備する
FXを始めるのに必要なのは、下記の3つです。
- 取引資金
- FX口座
- パソコンかスマートフォン
順番に説明していきます。
取引に必要な資金の目安
FXの取引単位は1万通貨(1ロット)が基準ですが、大半の業者では1,000通貨(0.1ロット)から取引ができます。


1,000通貨の場合は最小で4,000円程度から取引も可能ですが、これだとレバレッジが高くなってしまうので、最低でも3万円〜5万円は入金するようにしてください。
10万円程度の入金があれば、レバレッジを大幅に下げられるだけではなく、複数注文の発注もできるのでおすすめです。
近年はリピート系注文という自動売買に人気が集まっています。
これは10本、20本といった複数の注文を何度も繰り返す仕組みなので、自己判断で売買を行う裁量取引よりも多くの証拠金(口座内の資金)が必要となります。
リピート系注文の提供業者はほぼ1,000通貨に対応していますが、リピート系注文での運用を考えているなら最低でも30万円が必要になります。
自動で利益を狙える魅力があるリピート系注文ですが、自身の判断で売買する通常のFXに比べると、多くの元手が必要になる設計であることを理解した上で始めるようにしてください。


FX業者の選び方
FX業者の選び方ですが、最初は全体のスペックが高いオールマイティーな業者を選ぶのがおすすめです。
スキャルピングやデイトレードならスワップポイントの高さは必要ない代わりに、売買を繰り返すことで低コストが重要になってきます。
つまり売値と買値の差を示すスプレッドが狭い業者が有利となります。
ただしスキャルピングは禁止する業者もあるため、超短期取引を規制していない業者を選んでみてください。
少ない売買回数でまったりと利益を狙っていくスイングトレードやポジショントレードの場合、低スプレッドよりもスワップポイントの高さに注目すれば、保有方向によっては金利差益も狙えます。
とはいえ自分はどんな取引スタイルに落ち着くのか、だれでも最初は分かりません。途中から取引スタイルが変わる可能性すらあります。
オールマイティーさでいえば、外為どっとコム、みんなのFX、GMO外貨がイチオシです。
口座開設時に準備するもの
口座開設はスマートフォン、パソコンどちらからもお申し込みができます。
この際に、本人確認書類とマイナンバーの提出が必須となります。


- 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
- マイナンバー(通知カード、個人番号カード、マイナンバー入り住民票など)
スマホでオンライン本人確認(eKYC)に対応している業者なら、上記2点とスマートフォンさえあれば、早ければお申し込み日の当日から取引を始めることができます。


【実践編①】入金して取引を始める
無事に口座を開設できたら、あとはFX口座に入金さえ済ませば、実際の取引を始められます。


取引口座への入金はATMや銀行窓口からも行えますが、振込手数料がかかる上に入金はリアルタイムではありません。
銀行のインターネットバンキングを利用している方は、クイック入金というサービスを使えば、振込手数料がかからず即時入金されます。
まだインターネットバンキングを使っていない方は、この機会に各銀行のWebサイトにてお申し込みしておくと何かと便利です。
通貨ペアの選び方


FX業者にもよりますが、たいてい20〜30通貨ペア程度が用意されています。
このなかで7〜8割の方は最初に米ドル/円を選びますが、これには何も問題ありません。
むしろ、最初慣れるまでは米ドル/円ひとつだけで全然OKです。
FXは取引量の多い通貨ペアほどスプレッドが安定しやすいため、初心者ほど値動きが安定した通貨ペアを選ぶべきだからです。
取引量が少ない通貨ペアだと、大きく相場が動いているときは極端にスプレッドが拡大したり、注文がスリッページ(滑ること)して意図しないレートで約定することもあります。
しいていえば、世界で一番取引量の多いユーロ/米ドルはテクニカルに忠実に動きやすい特徴もあるため、米ドル/円とともに注目してみてください。
米ドル/円に慣れてきたら、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、高金利通貨なども視野に入ってくると思います。


もちろん対円通貨ペアは親しみやすさが魅力ですが、それなりにFXに慣れ親しんだ第3フェーズに突入したら、ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルなど対円以外の通貨ペアにも目を向けると、より広い視点で相場を見れるようになってくるでしょう。
通貨ペアにこだわらず、長期でトレンドが継続しているような取引チャンスのある通貨ペアを探すことで、収益チャンスの幅が大きく広がります。
【実践編②】マーケットを常に学び続ける
100人トレーダーがいたら分析手法も100通りあるように、正解はひとつではありません。


色々な業者の取引ツールや、多様なテクニカル指標を試して、自分に合ったものを見つけるのもいいでしょう。
FX業者が主催するセミナーに参加して情報を得たり、マーケットレポートを読んでプロの考察を参考にするのも学びになります。
テクニカル分析のサポートツールを活用する
実際のトレードでは、本業がある方はチャートに張り付いてトレードチャンスを待つことができません。
そのため、価格に達したことを知らせる「アラート機能」や、テクニカル指標の売買シグナル発生を「プッシュ通知」してくれる機能を活用することで、売買チャンスを逃がすことなく知ることができます。
こうした売買シグナルやアラート機能を使うことで、普段忙しい方でも、テクニカル分析の時間を短縮して取引に役立てることができます。
外為どっとコムの売買シグナル機能を搭載するぴたんこテクニカルなら、取引チャンスの通貨ペアを瞬時に探し出すことができ、未来の値動きを予想するチャートも使うことができます。




ファンダメンタルズ分析は政策金利などの金融政策に注目
ファンダメンタル要因はそのときどきで変化しますが、世界情勢には常に耳を傾けておくようにしましょう。


最近注目されているのは、アメリカの関税問題や米中関係などです。
各国の政策金利の変化や情勢の動向によっては、その後のトレンドに大きな影響を与えます。


経済指標もファンダメンタル要因のひとつですが、経済指標の予想値と発表値の差を判断してトレードする方もいます。


通常は経済指標の発表値が公表後、FX業者から利用者の端末へ表示されるまで若干タイムラグがあるのですが、JFXのロイター経済指標速報ならほぼリアルタイムに配信されています。

経済指標をスキャルピングに活用したい方は、ぜひ活用してみてください。
マーケット情報、セミナー
FXで長期的に利益を追求していくには、情報収集は欠かせません。


まずマーケット情報ですが、「スマホアプリの配信ニュース」「アプリや取引ツール上で閲覧できるマーケットレポート」を分けて考える必要があります。
配信ニュースが多いのはマネックス証券で、FXi24、MarketWin24、フィスコが配信されており、どれも為替を中心とした内容のため、ファンダメンタルズ分析に役立てることができます。
マーケットレポートなどの情報なら、外為どっとコム、JFX、セントラル短資FXの3社が情報力が抜群です。
元ディーラー、アナリストなど為替のスペシャリストによる情報が配信されており、プロの目線による相場展望を日常的に参考にすることができます。
FXのやり方・始め方【まとめ】
FX初心者にとって、「注文方法」「取引資金」「通貨ペアの選び方」「テクニカル分析・ファンダメンタルズ分析」「口座の準備」は、取引を始めるにあたり、最初の通過点となります。これらをしっかり理解し、正しく実践することで、損失リスクを抑え、安定したトレードが目指せるでしょう。
FXはリターンもありますが、リスクもある金融商品です。やみくもに取引するのではなく、基本的な知識を身につけてから、デモトレードや少額取引などで経験を積んでスタートしてみてください。